研究領域 | マテリアルシンバイオシスための生命物理化学 |
研究課題/領域番号 |
20H05874
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
山吉 麻子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (70380532)
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研究分担者 |
植畑 拓也 京都大学, 医学研究科, 准教授 (50785970)
山本 剛史 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (80636994)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
197,600千円 (直接経費: 152,000千円、間接経費: 45,600千円)
2024年度: 39,650千円 (直接経費: 30,500千円、間接経費: 9,150千円)
2023年度: 39,650千円 (直接経費: 30,500千円、間接経費: 9,150千円)
2022年度: 39,650千円 (直接経費: 30,500千円、間接経費: 9,150千円)
2021年度: 37,570千円 (直接経費: 28,900千円、間接経費: 8,670千円)
2020年度: 41,080千円 (直接経費: 31,600千円、間接経費: 9,480千円)
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キーワード | 物質共生 / 核酸医薬 / 免疫反応 / 毒性 / 弱い相互作用 / エクソソーム / 人工核酸 / DDS / 免疫応答 / 抗体産生 |
研究開始時の研究の概要 |
高度に最適化された抗体医薬や核酸医薬をはじめ、多くのバイオ医薬品において免疫原性が認められ、これを回避するのは現状ではほぼ不可能と言える。本研究では、これらの機能性分子が「なぜ免疫原性を示すのか?」について分子レベルで解明することにより、物理化学的シンバイオティック・パラメーターを取りまとめ、真の物質共生のための理論構築を目指す。
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研究実績の概要 |
1 エクソソーム上のHLA-Gのもつ免疫抑制機能の解明(山吉):昨年度に引き続き、エクソソーム上のHLA-G が結合する細胞受容体の同定を試みた。HLA-G との結合が確認されているNK細胞のKiller cell inhibitory receptor (KIR)、 ならびにT細胞受容体(TCR)など、各々の候補タンパク質のHLA-G結合ドメインをリコンビナントタンパク質として得た後に、阻害実験などの手法によってHLA-G が結合する細胞受容体を絞り込んだ。その結果、想定された受容体とは異なる分子が候補分子として絞り込まれた。今後、より詳細な解析を行っていく。 2 抗人工核酸抗体産生系の構築(山吉):人工核酸に対して抗体産生する動物実験モデルを用い、人工核酸の化学修飾が抗体産生能にどの様に影響するか評価した。その結果、ギャップマー構造を有する人工核酸を皮下投与した場合にのみ抗体産生が認められたため、人工核酸の化学修飾をさらに検討している最中である。 3 人工核酸に対する免疫応答の責任分子の同定(担当:植畑):核酸医薬として既に認可されているミポメルセンに対する免疫反応機構を明らかにするため、核酸認識に関与するタンパク質をコードする遺伝子を欠損した細胞にミポメルセンを導入し、その免疫応答を網羅的に解析した。前年度までの研究により人工核酸を認識する核酸センサー候補分子が絞られてきたが、その候補分子がほぼ責任分子であることが同定された(未発表データのため詳細割愛)。 4 核酸医薬の毒性低減技術の開発(担当:山本):核酸医薬に対して部分相補配列を有するユニークな人工核酸(弟鎖)を装着することで毒性低減を実現することに成功し、国際的インパクトの高い学術誌に採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は本領域の計画研究実施の4年目に当たる。領域発足時はコロナ禍の影響で全てのスケジュールが遅延したが、その中でも着実に構築された研究地盤の上に様々な研究を展開することが出来た。さらに、領域内共同研究により、予期しなかった研究成を得ることにも成功した。当初の計画以上に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
1 エクソソーム上のHLA-Gのもつ免疫抑制機能の解明(山吉):本年度に引き続き、エクソソーム上のHLA-G が結合する細胞受容体を同定する。既に候補タンパク質のHLA-G結合ドメインをリコンビナントタンパク質として得ているため、引き続き阻害実験などの手法によってHLA-G が結合する細胞受容体を絞り込む。この実験はA01-2班前仲らと共同で行う。また同時に、エクソソーム上のHLA-Gが受容細胞へ入力する免疫抑制シグナルの分子機構についても解析を行う。現時点ではインターフェロン応答が抑制されることを見出しているが、この上流ならびに下流シグナルについても精査する。 2 抗人工核酸抗体産生系の構築(山吉):高度に最適化された核酸医薬品に対しても抗体産生されるメカニズムを解明する。本年度、人工核酸に対して抗体産生する動物実験モデルの作成に成功したため、人工核酸の化学修飾が抗体産生能に及ぼす影響について評価する。 3 人工核酸に対する免疫応答の責任分子の同定(担当:植畑):核酸医薬として既に認可されているミポメルセンに対する免疫反応機構を明らかにするため、核酸認識に関与するタンパク質をコードする遺伝子を欠損した細胞にミポメルセンを導入し、その免疫応答を網羅的に解析する。独自に開発した免疫制御人工核酸を用いて,in vitro及びin vivoにおいて免疫応答を評価する。 4 核酸医薬の毒性低減技術の開発(担当:山本):核酸医薬の投与によって免疫反応や腎毒性など、様々な問題が認められているが、その毒性低減技術を引き続き開発する。本年度までに、核酸医薬に対して部分相補配列を有するユニークな人工核酸(弟鎖)を装着することで毒性低減を実現することに成功した。次年度はその毒性低減メカニズムの詳細にまで踏み込み解析を行う。
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