研究領域 | 散乱・揺らぎ場の包括的理解と透視の科学 |
研究課題/領域番号 |
20H05888
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
渡邉 恵理子 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (20424765)
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研究分担者 |
宮本 洋子 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (50281655)
池田 佳奈美 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (70822568)
田渕 絢香 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (30981948)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
124,930千円 (直接経費: 96,100千円、間接経費: 28,830千円)
2024年度: 18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2023年度: 23,010千円 (直接経費: 17,700千円、間接経費: 5,310千円)
2022年度: 23,920千円 (直接経費: 18,400千円、間接経費: 5,520千円)
2021年度: 21,840千円 (直接経費: 16,800千円、間接経費: 5,040千円)
2020年度: 37,700千円 (直接経費: 29,000千円、間接経費: 8,700千円)
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キーワード | ホログラフィ / 相関イメージング / 計算機ゴーストイメージング / 深層学習 / 位相シフトデジタルホログラフィ / デジタルホログラフィ |
研究開始時の研究の概要 |
本計画研究では、散乱・揺らぎ現象を解明していくために、散乱・ゆらぎ媒質に対する入力光と出力光とを関係づけ、散乱特性のデータベース化およびモデリングを試みる。また、大規模光データベースによる光相関計算機イメージングなど、新たな揺らぎ・散乱除去法を提案・構築していく。本年度は、高速ホログラフィック光記録・再生(光相関)システムによる、散乱・揺らぎ媒質と複素符号化光パターンとの相関特性の安定取得、光相関計算機イメージングによる散乱・揺らぎ除去の基礎検討、散乱光の偏光状態分布を詳細に撮影する基礎光学系の構築、近赤外波長帯での散乱・揺らぎ場解析に向けたの基礎光学系の構築やシミュレーションを行う。
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研究実績の概要 |
2023年度は、昨年度に引き続き散乱・ゆらぎ特性のデータベース化およびモデリング、散乱媒体背後の透視実験に向けて、下記の項目を実施した。 (1)時間変動する空間ノイズへの耐性を高めるために、単一画素イメージングの再構成に利用する特徴拡張型時分割パターン学習ネットワークをを提案し、有効性を確認した。また、自己符号化学習と追加学習法を組み合わせることで、学習コストの高いノイズに対して有効な手法を提案し、ノイズ耐性が向上することを確認した。(2)散乱・揺らぎのモデリングの一つとして、大気ゆらぎをコルモゴロフ乱流論に基づき定量化し大気ゆらぎモデルとして生成した。ハワイ・マウナケア山頂上空の値を参考にして作成した大気ゆらぎを用い、大気ゆらぎが抑制されたイメージングが可能であることを確認した。(3)ホログラフィック光相関システムと単一画素イメージングを融合させた光相関デジタルホログラフィの光学系に向けて、 SLMを用いた基礎実験光学系を作成し、シミュレーションと実験により原理検証を実施した。 (4)共通光路デジタルホログラフィと位相シフトデジタルホログラフィを用いた新たな揺らぎ・散乱除法の実現デバイスとして、Functionally Integrated Waveguide Illuminatorを製作し、異種複合媒質によって引き起こされる波面歪みと散乱を克服したことを実証した。(5)薄い散乱物体について散乱光の偏光状態分布を撮影して特徴量を評価するとともに、並行して散乱前後の空間分布と偏光状態の不可分性の変化の実験検証を進め、解析方法について検討した。より複雑な散乱物体の例として積層構造を持つ散乱体の構成について検討し特性測定を行った。 (6)適応対象に合わせた変調パターンの空間周波数や必要切り替え速度などを考察するために、適応対象に合わせた具体的なシミュレーションを開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績概要に示した通り,申請時に計画していた実施事項を基本的に計画通りに実施できたため。
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今後の研究の推進方策 |
(1)単一画素イメージングの再構成時に深層学習を利用することにより,散乱・揺らぎを抑制可能な透視イメージングシステムを構築し,天体観測への応用,光通信への応用に向けた実験系の構築や基礎的な実証実験を行う。 (2)単一画素イメージングと2次元イメージングを組み合わせることで,深層ニューラルネットワークの層構造をより詳細に解析し,散乱・揺らぎの解析とモデリング,深層ニューラルネットワークの改善を行う。 (3)複素振幅分布を高速に測定可能な波面センサに向けて,ホログラフィック光相関システムと単一画素イメージングを融合させた光相関デジタルホログラフィの光学系を実装する。 (4)共通光路デジタルホログラフィと位相シフトデジタルホログラフィを用いた新たな揺らぎ・散乱除法の実現デバイスであるFunctionally Integrated Waveguide Illuminatorを,生きた生体計測へ活用する手法を具現化し,応用範囲を拡大する。 (5)複数の層からなる等、複雑な構造を持つ散乱物体についても散乱光の偏光状態分布を撮影し、薄い散乱物体による散乱光との比較を行う。散乱物体のタイプによる特徴量の振る舞いの違いについて検討する。 (6)適応対象に合わせた変調パターンの空間周波数や必要切り替え速度などを考察するために、適応対象に合わせた具体的なシミュレーションを引き続き行う。光通信用に構築したシミュレーションと基礎実験光学系を用いて,単波長での検証を進め,多波長での解析に向けた課題を精査する。
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