研究領域 | 散乱・揺らぎ場の包括的理解と透視の科学 |
研究課題/領域番号 |
20H05893
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
早野 裕 国立天文台, ハワイ観測所, 教授 (80390623)
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研究分担者 |
入部 正継 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (60469228)
西川 淳 国立天文台, TMTプロジェクト, 助教 (70280568)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
147,290千円 (直接経費: 113,300千円、間接経費: 33,990千円)
2024年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
2023年度: 66,820千円 (直接経費: 51,400千円、間接経費: 15,420千円)
2022年度: 25,740千円 (直接経費: 19,800千円、間接経費: 5,940千円)
2021年度: 34,060千円 (直接経費: 26,200千円、間接経費: 7,860千円)
2020年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
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キーワード | 観測天文学 / 系外惑星検出 / 太陽系外惑星 / 高コントラスト撮像技術 / 位相制御 / 高速制御系 |
研究開始時の研究の概要 |
太陽系外惑星の直接撮像のための新しいアイデアを使ったコントラストの高いイメージングの理論的・実験的な実証を行う。また、既存の望遠鏡にこの新しいアイデアを実現するための高コントラスト装置を追加して、天体を使った実証実験を実施する。その有効性を実際の観測条件にある天体で示すことで、太陽系外惑星の直接撮像の従来の限界を突破する。最終的には将来の地上超巨大望遠鏡や宇宙望遠鏡に組み込み、太陽系外惑星の直接撮像を達成する。
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研究実績の概要 |
1. CDI-SANを実証する実験系を構築し、数値シミューレーションで予測されるコントラストの達成を目指してきている。前年度はCDI-SANのアルゴリズムや制御をPCでできるようになった。今年度は従来予定していたFPGAボードに制御系を置き換えた。その結果、より高速にCDI-SANが動作するようになり、PC制御と同等のコントラストを達成することができた。しかし、実験を進めているときに、可変形鏡が故障し実験を中止せざるをえなくなった。修理費用が予算の範囲を超えていたため、修理を断念し、今年度の計画にあった、より位相分解能の高い可変形鏡のアップグレードを前倒しですすめ、故障した可変形鏡と置き換えた。新しい可変形鏡をPCで制御することに成功し、FPGAをつかった制御ができる構成に変更し、実験を進めている。 2. Roman Space Telescopeは、口径2.4mのNASAの次期光学赤外線望遠鏡ミッションで、広視野赤外線サーベイを主目的としながらも、High Contrastによる系外惑星直接観測を狙うコロナグラフと補償光学の試験装置も搭載され、将来における第2の地球の本格的な発見と調査に必要な技術実証も目的とされている。CDI-SAN法は、Romanで試験する価値のある方法である。本年度は、本格的にRomanのCoronagraph Community Participation (CPP) Programに参加し、CDI-SANの実装可能性を模索してきている。 3. 電気通信大学の渡邊氏(本学術変革領域の計画研究代表者)と共同で、機械学習を用いた大気ゆらぎ補正をシングルピクセルイメージングによって実施する共同研究を本格化した。数値シミュレーションによる検討、フィールド実験の準備などを進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CDI-SANの実証実験を順調に進めてきたが、年度始まってすぐに可変形鏡が故障した。修理費用が予算を超えていたため、修理を断念し、今年度予定していた、駆動精度を向上させた可変形鏡の購入を急いだ。しかし、新しい可変形鏡が納入されるまで、実験が中断し、コントラスト向上を追求する実験が実施できなかった。新規の可変形鏡による実証実験系の構築を若干前倒しにすることができたが、コントラスト向上を目指した実験経験は得ることができなかった。 それゆえ、予定よりも若干おくれているのは事実だが、リカバリー可能である。
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今後の研究の推進方策 |
1. 新しい可変形鏡によるCDI-SANの実証実験系を用いて、コントラスト向上を追求する実験を進める。実験中断はあったが、予定よりも若干前倒しで新しい実証実験系に移行することができたため、計画の遅れを取り戻せると考えている。 2. ROMAN宇宙望遠鏡のCoronagraph Community Participation Programの参加を通して、Romanプロジェクトで得られた実験データにアクセスし、CDI-SANと組み合わせたデータ解析が可能であるか検討を進めていく。 3. 電気通信大学と始まった共同研究を進める。また、領域融合推進班メンバーとともに、散乱透視学の総括をする。
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