研究領域 | グリアデコーディング:脳-身体連関を規定するグリア情報の読み出しと理解 |
研究課題/領域番号 |
20H05898
|
研究種目 |
学術変革領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松田 道行 京都大学, 生命科学研究科, 研究員 (10199812)
|
研究分担者 |
隅山 健太 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (00370114)
寺井 健太 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (20616073)
幸長 弘子 兵庫県立大学, 理学研究科, 准教授 (30729207)
山平 真也 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (70750652)
|
研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
100,100千円 (直接経費: 77,000千円、間接経費: 23,100千円)
2024年度: 21,580千円 (直接経費: 16,600千円、間接経費: 4,980千円)
2023年度: 21,840千円 (直接経費: 16,800千円、間接経費: 5,040千円)
2022年度: 20,670千円 (直接経費: 15,900千円、間接経費: 4,770千円)
2021年度: 19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2020年度: 16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
|
キーワード | 上皮細胞増殖因子 / FRETバイオセンサー / ERKマップキナーゼ / 細胞集団運 / グリア / 多光子顕微鏡 / 近赤外蛍光タンパク質 / 蛍光イメージング / フィコシアノビリン / マウス生体イメージング / ERK MAPキナーゼ / 細胞間情報伝達 / ERK / マップキナーゼ / 蛍光タンパク質 / FRET / バイオセンサー |
研究開始時の研究の概要 |
本領域のA01班は、脳内の複数の機能要素(神経回路、グリア、血管など)の統合メカニズムを探索し、A02, A03班で実施される末梢臓器や全身レベルでの応答と関連付けることで領域全体の推進と当該学問分野の変革を目指す。本計画研究はグリア細胞間、グリアと神経、グリアと血管など、グリアを中心とするさまざまな細胞間コミュニケーションを可視化する技術の開発と提供を担う。特に、神経回路活動のような速い情報処理(ミリ秒~分)ではなく、代謝環境変化に代表される遅い情報処理(分~日)を担う分子の時空間活性変化を可視化する技術を確立し、他の計画班と協力してグリアが脳機能を制御するメカニズムをデコーディングする。
|
研究実績の概要 |
2021年度に開発したCre依存性にPhycocyanobilin (PCB)を発現するトランスジェニックマウスを用いてiRFPによる深部イメージングの研究を継続した。まず、Cre依存性PCB発現マウスのバッククロスを継続するとともに数を増やして実験に供与した。Cre遺伝子の導入およびiRFP遺伝子の導入はAAVを用いた。CMVプロモータによりすべての細胞にPCBを誘導する系、CaMKIIプロモータにより神経特異的にPCBを発現させる系を確立した。ここに、CMVプロモータ下にiRFPを発現するAAVを使うこと、すべての細胞あるいは神経細胞特異的にiRFPを発現する系を作った。さらに、PCBに対する親和性を高めるためにiRFPV256C変異体を作成した。これにより、従来のiRFPより10倍明るくすることに成功した。さらに、レンズや光学系の調整を行うことで、前頭前野においては2 mmの深さまで観察することに成功した。従来の方法では1.5 mmが限界とされていたので、それを大きく上回る成果である。海馬領域においても、従来はCA1までが限界とされていたが、それを越えて歯状回まで観察できた。さらに、近赤外蛍光タンパク質を使ったカルシウムセンサーNIR-GECO2に変異をいれてPCBに結合するNIR-GECO-HIを作成した。このセンサーは、従来のNIR-GECO2よりも少なくとも10倍以上明るくなっていた。このNIR-GECO-HIをマウス一次体性感覚野に発現させ、刺激依存性のカルシウム上昇を検出することに成功した。一方、ERKのFRETバイオセンサーを発現するマウスのイメージングを行い、一次体性感覚野において同期してERK活性が上昇する細胞があることを見出した。今後、その細胞種の同定、さらには意義について明らかにしていく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスを増やすのに時間を要したこと、AAVを使った実験系に変更したことなどから、予定より研究が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
世界最深の脳イメージングに成功したことから、可及的速やかに成果発表をする予定である。また、血液脳関門を透過できるAAVにより研究が加速しつつあり、今後、様々なプロモータを使ってこの技術の有用性を高めていく予定である。
|