研究領域 | グリアデコーディング:脳-身体連関を規定するグリア情報の読み出しと理解 |
研究課題/領域番号 |
20H05901
|
研究種目 |
学術変革領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石井 優 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 教授 (10324758)
|
研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
103,220千円 (直接経費: 79,400千円、間接経費: 23,820千円)
2024年度: 18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2023年度: 19,370千円 (直接経費: 14,900千円、間接経費: 4,470千円)
2022年度: 19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2021年度: 18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2020年度: 27,300千円 (直接経費: 21,000千円、間接経費: 6,300千円)
|
キーワード | マクロファージ / 医療・福祉 / 神経関連マクロファージ / 免疫・炎症 / 末梢神経 / 生体イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
末梢神経(自律神経)と免疫・炎症システムには密接な関連があることが知られている。しかしながら、炎症の進行とともに神経系の機能や、それを取り巻く組織構造との関係も含めてどのように変化していくのか、そしてその結果、炎症細胞の局所への動員や機能がどのように変化するか、それらのダイナミクスを時空間的に可視化し追跡できている例はほとんどなかった。本研究では骨髄や皮膚を始めとする標的臓器における末梢神経系の構造・機能に注目し、末梢神経を構成する神経やグリア細胞の蛍光標識・光操作系を活用して、末梢神経と炎症細胞の相互作用をその形態と動態を指標として追跡し、統合的に解析する。
|
研究実績の概要 |
当該年度には、肝臓の門脈周囲マクロファージについて統合的な解析を行った。あらゆる臓器では血流は動脈から組織内の毛細血管を経て静脈へと還流していくが、肝臓だけは門脈を介して腸管から直接血流を受ける点が特異的な性質である。腸管からは経門脈性に様々な栄養素のみならず細菌やその断片などの催炎症物質が肝臓に大量に流れてくるため、何らかの炎症制御メカニズムが存在するはずであろうと示唆されていたがその実態は明らかではなかった。申請者は肝臓の生体イメージング系を駆使して、レーザー焼却によって組織局所の炎症を定量的に評価する系を確立した結果、門脈周囲ではそれ以外の部位(中心静脈周囲など)に比べて、同一の催炎症刺激に対する免疫応答が有意に抑制されていることを発見した。さらにこの結果から、門脈周囲のみ存在する抗炎症性のマクロファージを発見したが、これは元々肝臓に常在するクッパ―細胞と呼ばれるマクロファージが門脈から流入してきた腸内細菌やその代謝物に反応して、局所で適応して形質変化したものであることが分かった。この門脈周囲の抗炎症性マクロファージの機能を阻害すると、慢性脂肪肝炎(NASH/MASH)や原発性硬化性胆管炎(PSC)などの発症につながる結果も得られ、肝臓における常在性マクロファージの「適応能」が、肝臓のレジリエンス機能を担っていることが示された。さらには、本研究では門脈周囲の交感神経周囲の神経関連マクロファージについて解析を行い、網羅的シングルセルトランスクリプトームにより当該マクロファージ特異的マーカー分子の探索や作出したリポーターを用いて神経との関連についてイメージング解析、肝門脈周囲の交感神経を光操作で活性化させることで、マクロファージの分化や機能の変化について解析などを行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特に令和5年度から遂行している肝臓での神経関連マクロファージの研究が大きく進捗しており、その関連プロジェクトが本年度にNature誌に発表することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
肝臓での神経関連マクロファージと神経との相互作用の実体的解析のために、学術変革領域内での連携により光遺伝学的手法などの新たな解析ツールの導入を行っていく。
|