研究領域 | 不均一環境変動に対する植物のレジリエンスを支える多層的情報統御の分子機構 |
研究課題/領域番号 |
20H05908
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
壽崎 拓哉 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (40575825)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
48,230千円 (直接経費: 37,100千円、間接経費: 11,130千円)
2024年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
2023年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
2022年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
2021年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
2020年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 窒素栄養 / 環境適応 / 根粒共生 / 窒素応答 / 根粒形成 / 植物微生物共生 / 環境応答 / 長距離シグナル伝達 / 不均一環境 / 長距離移行シグナル / 器官間コミュニケーション / 転写因子 / ミヤコグサ / 長距離シグナリング |
研究開始時の研究の概要 |
マメ科植物は様々な環境要素の変化に柔軟に応答して窒素栄養獲得器官である根粒の形成を調節する。これまでに研究代表者は窒素栄養が十分な環境では植物は根-地上部-根を介した器官間コミュニケーションにより根粒形成を抑制することを明らかにしてきた。その一方で、本制御系の詳細を理解するために必須な因子の多くは未同定であり、より自然に近い不均一環境下での窒素応答制御システムの理解も不十分である。本研究では、不均一窒素栄養環境条件における上述の器官間コミュニケーションの分子基盤解明と複合的な環境要素の変化が根粒形成の制御へと統合される機構の解明に取り組むことで、植物の環境適応機構の深い理解を得ることを目指す。
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研究実績の概要 |
土壌中に窒素栄養が豊富に存在する環境では根粒形成が抑制されることが知られている。これまでこの制御に異常を示すnrsymと名付けたミヤコグサのEMS変異体を単離し、それらを用いた分子遺伝学的な解析を行ってきた。その結果、2つのNLP転写因子NRSYM1/LjNLP4およびNRSYM2/LjNLP1が硝酸態窒素に応答した根粒形成遺伝子の発現制御に関わることや硝酸イオン輸送体NRSYM3/LjNRT2.1がNLP依存的な遺伝子発現制御を仲介する機能をもつことを明らかにしてきた。これまでの研究では順遺伝学的なアプローチは有効に作用してきたが、この手法では特定することのできる遺伝子の数は飽和状態に近いことが考えられた。そこで、ミヤコグサの国内野生系統に着目し、自然変異を利用して新規因子を同定することを試みた。まず、硝酸存在下における根粒形成を調べたところ、系統間で表現型に大きなバリエーションがあることが分かった。硝酸応答の表現型を指標にしてGWASを行い、新規因子をいくつか同定した。 NLPとNINは同一の転写因子ファミリーに属しているが、それぞれ硝酸シグナリング、根粒形成シグナリングにおいてマスターレギュレーターとして機能する。NLPとNINはDNA結合ドメインが高度に保存されており、共通した標的遺伝子をもつ一方で、根粒形成の正の制御遺伝子のプロモーター上に存在するシス配列にはNINのみが結合することが分かっている。これまでの研究により、このNLPとNINのDNA結合特異性の違いを生み出している新規モチーフを同定している。今年度はCRISPR-Cas9システムにより、このモチーフを特異的に欠失させた植物を作出した。その表現型を解析したところ、根粒形成に著しい影響が出ることが分かり、根粒形成の制御におけるこのモチーフの重要性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
並行して進めている複数の研究項目について着実に研究成果が蓄積しており、一部については論文発表につながっているため。
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今後の研究の推進方策 |
並行して進めている複数の研究項目について、詰めの実験を行い論文発表に必要なデータを取得する。
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