研究領域 | 脳の若返りによる生涯可塑性誘導ーiPlasticityー臨界期機構の解明と操作 |
研究課題/領域番号 |
20H05918
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
内ヶ島 基政 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (10614662)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
59,150千円 (直接経費: 45,500千円、間接経費: 13,650千円)
2024年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
2023年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
2022年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
2021年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
2020年度: 15,600千円 (直接経費: 12,000千円、間接経費: 3,600千円)
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キーワード | 臨界期 / スパイン / シナプス可塑性 / 分子標識 / イメージング / 眼優位可塑性 / ゲノム編集 / 可塑性 / 長期可塑性 / 大脳皮質 / マウス |
研究開始時の研究の概要 |
神経回路再編能は生後発達期にピークを迎え(臨界期)、その後は急激に低下する。しかし、その細胞内メカニズムの詳細は不明である。この解明のため、本研究はニューロンが情報入力を受ける場として神経回路再編に関わるスパインの構造長期可塑性に着目する。まずスパインの構造長期可塑性に関連する内在タンパク質を標識し、各スパインにおける構造長期可塑性を可視化する。次にこれをマウス大脳皮質一次視覚野の臨界期に応用し、臨界期とスパイン構造長期可塑性の関係を見出す。さらに臨界期発現に重要な興奮/抑制バランスを操作した際のスパイン構造長期可塑性を調べることで、臨界期の神経回路再編を制御するメカニズムの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、独自に開発した生体内ゲノム編集に基づいた単一細胞内在分子局在解析技術によって、マウス生後発達過程の臨界期における大脳皮質感覚野ニューロンの個々のスパインに発現する分子の分布パターンおよび動態を大規模かつ網羅的に観察することで、臨界期を特徴づけるスパイン分子発現プロファイルを明らかにする。本年度は、単一ニューロンにて化学タグ標識された内在スパイン分子を細胞全体で網羅的に解析するため、広視野かつ高解像度のボリュームイメージングの手法と得られた蛍光シグナルの半自動的な大規模解析技術を導入した。その結果、単一ニューロン上に形成された数千個にもおよぶスパインの定量的分子発現プロファイルを1スパインの解像度でマッピングできる新たな解析パイプラインを構築した。例えば、興奮性シナプス伝達の強度を決めるシナプス表面のAMPA型グルタミン酸受容体サブユニットと興奮性シナプスの足場タンパク質であるPSD95が二重標識された単一大脳皮質錐体細胞において、AMPA受容体発現強度の1細胞空間マッピングを千数百個もの興奮性シナプスのスケールで実現した。個々のスパインにおけるAMPA受容体発現強度には、PSD95に比べて大きなばらつきが存在し、興味深いことに、シナプスの増強が起こっていると考えられるAMPA受容体に富んだシナプスと、サイレントシナプスと呼ばれるようなAMPA受容体に乏しいシナプスの空間分布の可視化にも成功した。これらの技術開発成果を取りまとめ、論文として発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、単一ニューロン上の数千個のスパインにおける複数の分子発現を定量的かつ網羅的に解析することに成功したように、イメージング画像の解析技術の面において想定以上の進展があった。一方、in vivoにおける分子動体解析については、標識分子から得られるシグナル強度が解析に十分なレベルに達していないため、さらなる改善が必要である。以上を考慮して、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までに得た単一ニューロン上のスパインにおける内在分子発現の網羅的・定量的マッピングに関する技術開発の成果を論文として発表するための準備を進める。また、この技術のマウス一次視覚野臨界期への応用も並行して行う。
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