研究領域 | 脳の若返りによる生涯可塑性誘導ーiPlasticityー臨界期機構の解明と操作 |
研究課題/領域番号 |
20H05923
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
牛場 潤一 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (00383985)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
73,970千円 (直接経費: 56,900千円、間接経費: 17,070千円)
2024年度: 13,780千円 (直接経費: 10,600千円、間接経費: 3,180千円)
2023年度: 13,780千円 (直接経費: 10,600千円、間接経費: 3,180千円)
2022年度: 13,780千円 (直接経費: 10,600千円、間接経費: 3,180千円)
2021年度: 13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
2020年度: 19,500千円 (直接経費: 15,000千円、間接経費: 4,500千円)
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キーワード | ブレイン・マシン・インターフェース / 脳可塑性 / 磁気共鳴画像 / 回復曲線 / 脳卒中片麻痺 / 可塑性 / 神経機能再生 / 体性感覚運動野 / 頭皮脳波 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究計画では、標的脳領域に選択的に作用する次世代型BMI技術を脳卒中後の臨界期に経日的に適用して、機能代償回路の形成をガイダンスすることに挑戦し、機能回復臨界期が外因的に延長・増大できることを明らかにする。また、その過程で安静時機能結合MRIを計測し、傷害脳の回復期に誘導できる可塑的変化量を同定する。また、運動機能スコアへの利得を算出し、脳卒中後の機能回復臨界期における潜在的回復量を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度は、本研究課題ではない別活動として実施していた「ブレイン・マシン・インターフェース(Brain-Machine Interface, 以後BMI)技術を応用した医療機器開発」において、3月26日付で医療機器認証の取得に至ったため、本研究課題で推進中の亜急性期および慢性期での脳卒中片麻痺症例介入研究に関し、生命倫理審査面での難易度が緩和された。すなわちBMIの利用に際して、通常の医療機器を用いた介入あるいは観察研究として通常臨床倫理審査での実施が可能となった。そのような環境変化の恩恵を受ける形で共同研究希望が他大学から寄せられるようになったことから、新たにA大学医学部脳神経外科との共同研究ならびにB医学部脳神経外科との共同研究を新たに構築し、ヒストリカルコントロールの作成ならびにBMI介入群のアウトカム分析をおこなうためのプロトコルの作成し、合意に至った。また、BMI医療機器の利用手技に関して臨床研究サイトのスタッフ向けの研修をおこない、自立的継続的なデータ収集が可能な環境整備を完了させた。以上により、令和3年度で実施し獲得した研究結果の更なる充実化を図る。 また、今年度の課題として予定していた、脳卒中後の慢性期におけるBMI介入結果に対する解析に関しては、全39症例の解析を終え、、BMIによる機能回復に影響する因子(人口統計情報、脳損傷部位、初回時のBMI操作能力など)を多変量解析によって特定することができた。以上の通り、標準的なリハビリテ ーションを実施した際に辿る回復曲線(ヒストリカルコントロール)に対して、BMIによる機能回復の上乗せ効果に関するメカニズムの理解を一定程度進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた「脳卒中片麻痺症例(慢性期)でのBMI介入と分析」に関し、取得済みデータ39症例に対する解析を終え、BMIによる機能回復に影響する因子(人口統計情報、脳損傷部位、初回時のBMI操作能力など)を多変量解析によって特定することができた。このことは、当初計画で予定していた症例数(30症例)を上回っており、また、当初予定で計画していた「回復臨界期の期間と可塑性の量の再定義」に対する1つの回答となっていると考えた。以上のことから、(2)概ね順調に進展している と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度新たに立ち上げた、A大学ならびにB大学の医学部脳神経外科との共同研究で臨床研究を開始し、脳卒中後の急性期、亜急性期、回復期、慢性期に至るpatient journeyの回復曲線全容に対するBMI介入効果を把握していく。課題としては、複数施設で異なる被験者から取得された横断面データをスーパーインポーズさせてデータを解析するためのデータハーモナイゼーションの方法や、得られた結果の解釈上のピットフォールと制約を明確化することである。こうした課題を克服するための学術的検討を今後は重点的に推進し、「脳卒中後の機能回復臨界期」という概念の再定義を試み、BMI技術による神経回路操作性に関する科学的エビデンスの強化を図る。
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