研究領域 | マルチファセット・プロテインズ:拡大し変容するタンパク質の世界 |
研究課題/領域番号 |
20H05932
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
太田 元規 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (40290895)
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研究分担者 |
福地 佐斗志 前橋工科大学, 工学部, 教授 (70360336)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
137,670千円 (直接経費: 105,900千円、間接経費: 31,770千円)
2024年度: 23,530千円 (直接経費: 18,100千円、間接経費: 5,430千円)
2023年度: 23,920千円 (直接経費: 18,400千円、間接経費: 5,520千円)
2022年度: 23,920千円 (直接経費: 18,400千円、間接経費: 5,520千円)
2021年度: 22,750千円 (直接経費: 17,500千円、間接経費: 5,250千円)
2020年度: 43,550千円 (直接経費: 33,500千円、間接経費: 10,050千円)
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キーワード | 天然変性タンパク質 / バイオインフォマティクス / データベース / ノンコーディングRNA |
研究開始時の研究の概要 |
ノンコーディングRNAからの翻訳産物,非典型的な翻訳機構から得られるタンパク質といった未開拓タンパク質は基本的には天然変性タンパク質であり,その構造・機能を理解するためには,対象となるデータを集めて編集し,情報解析を行う必要がある.研究代表者は研究分担者らと共同し,これまでに天然変性タンパク質データベース:IDEALを構築・運用し,世界標準データベースに育て上げた.本研究では未開拓タンパク質の収集と注釈付け,複合体遷移,液滴形成を含む天然変性タンパク質の高度なアノテーションを加えた新IDEALを開発し,データ解析による未開拓タンパク質の特徴抽出と予測を目指す.
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研究実績の概要 |
教科書的な翻訳ルールに従って生合成され,自発的に固い構造に折りたたまるという古典的描像の埒外にあるタンパク質が近年存在感を増している.ノンコーディングRNAや非典型的な翻訳機構に由来するタンパク質を対象とした予備的な解析では,それらの多くは比較的短い天然変性タンパク質であった.反復配列,低複雑性配列を含む天然変性タンパク質が翻訳後修飾などを契機として液-液相分離を引き起こして液滴を形成し,機能することも話題となっている.つまり本領域で研究対象とする未開拓タンパク質の多くは,天然変性タンパク質だと考えられる.その構造・機能を理解するためには,対象となるデータを集めて編集し,情報解析する必要がある. 2021年度は年度当初から加わった2名のアノテータ,1名のプログラマー,2022年1月より加わった1名の博士研究員を含めた研究推進チームを組織し,本格的な研究開発を始動させた.ノンコーディングRNAに由来するタンパク質配列が記載されている3報の論文を参考に,ゲノム情報とタンパク質配列情報を整理し,ゲノムブラウザーに情報を載せた.翻訳後修飾を受けた天然変性タンパク質が相互作用の相手を変えながら機能する様子を表現するための情報を整理し,情報入力を実施するためのエディター開発を開始した.エディターはSBGNフォーマットのデータを出力し,これをグラフソフト,ChiSEに入力するとネットワーク図が描画される仕組みを利用する.タンパク質の立体構造予測法:AlphaFoldのベンチマークとして天然変性タンパク質データベース:IDEALに登録されている「折りたたみに伴う結合領域」Protean Segmentの構造予測の評価を開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度当初から人員を増強し本格的に始動することができた.未開拓タンパク質として対象とするノンコーディングRNA由来の翻訳産物についてもサンプルを検証することができた.つまり著者らが記載している核酸情報,データベースで公開されている核酸情報,タンパク質の配列情報に矛盾がないかを調査するシステムを構築できた.新規参加のアノテータについても教育期間が終了し,実践的に実務に参加している.高精度のタンパク質の立体構造予測法,AlphaFoldについても研究に組み込む目途がたった.天然変性タンパク質の複合体遷移を記述するためのエディター開発も進んでいる.以上を鑑みるに多くの課題に取り組んでおり,そのそれぞれでロード相応の結果がでていると考える.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に実施した研究開発を継続して行う.具体的には,未開拓タンパク質の配列を集めてその構造について調査した結果をまとめたデータベースを構築する,天然変性タンパク質IDEALについて翻訳後修飾に関連した複合体遷移についてのアノテーションを強化する,AlphaFoldを利用した構造予測のベンチマークを実施する.これらに加え来年度は,領域内の各班との共同研究を推進し,生命情報アノテーションセンターとしての活動も行っていく.
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