研究領域 | DNAの物性から理解するゲノムモダリティ |
研究課題/領域番号 |
20H05936
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
前島 一博 国立遺伝学研究所, 遺伝メカニズム研究系, 教授 (00392118)
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研究分担者 |
日比野 佳代 国立遺伝学研究所, 遺伝メカニズム研究系, 助教 (40435673)
杉山 弘 京都大学, 高等研究院, 研究員 (50183843)
谷口 雄一 京都大学, 高等研究院, 教授 (90556276)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
182,390千円 (直接経費: 140,300千円、間接経費: 42,090千円)
2024年度: 35,490千円 (直接経費: 27,300千円、間接経費: 8,190千円)
2023年度: 35,490千円 (直接経費: 27,300千円、間接経費: 8,190千円)
2022年度: 35,490千円 (直接経費: 27,300千円、間接経費: 8,190千円)
2021年度: 33,670千円 (直接経費: 25,900千円、間接経費: 7,770千円)
2020年度: 42,250千円 (直接経費: 32,500千円、間接経費: 9,750千円)
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キーワード | ヌクレオソーム / クロマチン / 超解像顕微鏡 / ゲノミックス解析 / 原子間力顕微鏡 / ゲノミクス解析 / 超解像イメージング / AFM / PIポリアミド |
研究開始時の研究の概要 |
ゲノムクロマチンは一体どのように細胞内に収納され、どのように振る舞うのだろうか?この10年間、代表者らは、細胞のクロマチンは従来考えられてきたような、規則正しく折り畳まれた階層構造ではなく、液体のように不規則でダイナミックな構造であることを明らかにしてきた。本計画研究では、1分子蛍光イメージング(前島・日比野)、ゲノムHi-CO解析(谷口)、高速AFM・DNA配列結合ポリアミドPIP(杉山)を用いて、ゲノムの構造単位であるヌクレオソームレベルでのクロマチン構造と動態の観点から、ゲノムモダリティを理解することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本計画研究では、1分子蛍光イメージング(前島・日比野)、ゲノムHi-CO解析(谷口)、高速AFM・DNA配列結合ポリアミドPIP(杉山)を用いて、ゲノムの構造単位で あるヌクレオソームレベルでのクロマチン構造と動態の観点から、ゲノムモダリティを理解することを目的とする。2022年度、計画代表者前島らは、ヒト生細胞において、発現させたH2B-HaloTagを介してヌクレオソームを非常にまばらに蛍光ラベルし、斜光照明顕微鏡法で単一ヌクレオソームの動態を検出した。そして間期クロマチンの細胞周期におけるヌクレオソームの局所的なゆらぎを観察した。間期ではDNAの量は二倍になり、DNAを収納する核の大きさも二倍以上になる。これまで、このような核内の環境の変化は、クロマチンの動きに大きな影響を与えるとされてきた。しかし本研究によってヌクレオソームのゆらぎの程度は、DNAの量や核の大きさの変化に影響されず、間期でほぼ一定であることを示した(Iida et al. Science Adv.2022)。つぎに代表者前島、分担者日比野らは細胞分裂期の進行に伴うヌクレオソームの局所動態を解析した。これにより、染色体凝縮の進行に伴うクロマチンの物性変化をヌクレオソームの1分子の動きの変化として直接的にとらえた。分担者杉山らはDNAオリガミ法で作成したDNAフレーム中に再構成させたヌクレオソームを配置し、その運動性について高速原子間力顕微鏡で解析した。また配列選択的結合分子であるシリコンローダミンで修飾したピロールイミダゾールポリアミドタンデム4量体を合成し、正細胞において染色体のテロメア領域を近赤外領域で観察した。分担者谷口らは試験管再構成により構築したヌクレオソーム鎖の3次元構造解析の実現を目指し、ヒストン等の必要タンパク質の精製を行うと共に、再構成産物を得るためのプロトコルの構築を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね計画通りに進行したため。
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今後の研究の推進方策 |
計画代表者前島は、ユークロマチンドメインの実体に迫るため、2色の蛍光色素を用いてユークロマチン内の近接した2つのヌクレオソームの動きを同時に観察・比較する。日比野らは1分子・超解像顕微鏡法とタンパク質迅速除去法(AID法)を組み合わせ、コンデンシンIやコンデンシンII,更にはKi67を個別に除去した状態で、ヌクレオソーム動態を1分子計測する。杉山らはピロールーイミダゾールポリアミド(PIP)とDNADNAフレームを用いて遺伝子発現制御について解析を進める。谷口らは試験管再構成により構築したヌクレオソーム鎖の構造解析を行うのに必要な高純度の再構成産物を得るため、生化学条件のさらなる最適化を行うと共に、計算シミュレーションに基づく構造計算法の開発を行う。
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