研究領域 | 実世界の奥深い質感情報の分析と生成 |
研究課題/領域番号 |
20H05955
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅳ)
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
南本 敬史 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 脳機能イメージング研究センター, 次長 (50506813)
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研究分担者 |
小松 英彦 玉川大学, 脳科学研究所, 研究員 (00153669)
網田 英敏 京都大学, ヒト行動進化研究センター, 特定助教 (80845321)
村田 航志 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (10631913)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
134,030千円 (直接経費: 103,100千円、間接経費: 30,930千円)
2024年度: 22,100千円 (直接経費: 17,000千円、間接経費: 5,100千円)
2023年度: 22,100千円 (直接経費: 17,000千円、間接経費: 5,100千円)
2022年度: 22,100千円 (直接経費: 17,000千円、間接経費: 5,100千円)
2021年度: 20,930千円 (直接経費: 16,100千円、間接経費: 4,830千円)
2020年度: 46,800千円 (直接経費: 36,000千円、間接経費: 10,800千円)
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キーワード | 質感 / 価値 / 好み / サル / 神経活動操作 / 神経活動操作技術 |
研究開始時の研究の概要 |
私たちは多様な感覚情報を評価するにあたって、生物的な欲求、学習・経験、環境、文脈、感情などによる影響をうける。本研究は、この深奥質感認知のコアをなす生態学的価値計算とその変調の仕組みの理解を目指す。そのために高次感覚野と複数の価値変調システムと相互作用による生態学的価値計算処理について、質感や価値に関する神経情報の計測や解読に加え、神経活動を制御することで脳情報処理の相関・因果をあわせて解析する。
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研究実績の概要 |
(1)価値システムと高次感覚野との相互作用による質感-価値変換の並列処理機構の解明:マカクザルを対象として生物学的価値システムの一つである前頭眼窩野やそこから投射する神経経路を化学遺伝学的に抑制する複数の実験結果により、意欲制御(内的欲求の変化に伴う価値判断)、経験・推論に基づく行動、情動音声に対する反応、視覚記憶、のそれぞれの機能に関与する神経ネットワークとその作動原理の理解が進んだ。また、サル用の仮想現実(VR)システムの開発とその利用をすすめ、環境の複雑さと探索行動との関連について定量解析できる可能性を見出した。またサルの下側頭皮質と第一次視覚野のニューロン活動の解析を進め、物体表面属性の形成に重要な役割を果たす充填の過程に第一次視覚野へのフィードバック信号が関係する可能性を見出した。(2)価値システム間をつなぐ神経ネットワークとモノアミン系の作動による価値統合・変調処理の解明:セロトニン受容体の4つのサブタイプの脳内分布と視覚刺激に基づく価値判断課題における役割について調べ、内側前頭葉や扁桃体においてセロトニンが5HT1A受容体を介してコスト感受性を制御している可能性を見出した。また逆行性ウイルスベクターを用いて線条体に投射するドーパミン細胞を標識した。その結果、投射先の違いによってドーパミン細胞のカルビンディン発現レベルに違いがあることを見つけた。この成果は、パーキンソン病患者における価値判断の変容を解明する手がかりとなりうる。さらに、ラット味覚反応試験を用いた行動薬理学実験により、腹側線条体領域(嗅結節)において快反応形成に関わる局所領域を探査し、嗅結節の前内側部が快反応形成に関わることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特に、前頭眼窩野の機能と他の脳領域との相互作用についての知見が蓄積されるなど、視覚と価値の変換メカニズムの理解が深まった。また、サルVRシステムの開発が進み、質感と価値の関係に新たな理解が得られる道筋を示した。ドーパミン信号計測については、2頭のサルで成功し、脳内に蛍光ドーパミンセンサーが発現していることを確認できたため、これまでに行ったドーパミンの価値変調システムにかかわる研究結果を裏付けることができた。
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今後の研究の推進方策 |
領域の終了に向けて、これまでの成果を取りまとめる。開発したサルVRシステムの応用研究を進め具体的な成果として示せるように取り組む。これまでに行ってきたサル線条体におけるドーパミン信号計測の研究成果を論文化する。
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