研究領域 | 情動情報解読による人文系学問の再構築 |
研究課題/領域番号 |
21H05063
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅰ)
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
石津 智大 関西大学, 文学部, 教授 (50726669)
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研究分担者 |
大黒 達也 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特任講師 (60886464)
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研究期間 (年度) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
31,200千円 (直接経費: 24,000千円、間接経費: 7,200千円)
2023年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
2022年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
2021年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
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キーワード | 神経美学 / 悲哀 / 共感 / 利他性 / ユーダイモニア / 悲哀美 / 利他 / 美 / 情動情報学 / 美的判断 |
研究開始時の研究の概要 |
人間は、快不快を超え集団に資する行動に自分を動機づけられる利他性や共感性を備えている。負の感情価と美的快の混合された美学的体験には利他性を促進させる効果があり、近年人文学的議論だけでなく認知科学や経験美学においても注目されている。本研究では、このような美的体験の構成情動を明らかにし、人間らしい利他自己犠牲の意思決定へ与える影響について、行動特性と脳内機構を情動脳情報学の視座から解明する。
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研究実績の概要 |
負の感情価と美的快の混合された美学的体験には利他性を促進させる効果があり,近年学際的に注目されている.本研究ではこのような特殊な美的体験の構成情動を明らかにし,利他自己犠牲的な意思決定へ与える影響について行動特性と脳内機構を解明する.この目的の達成のため,以下に3つの研究目標を設定している.研究1:悲哀美の構成情動を調べ,同時に悲哀美の体験を最大化する情動の配分を明らかにする,研究2:研究1の結果から悲哀美を最大化できる刺激を選定し,それを用いて悲哀美に関係する脳内機構をMRI実験により同定する,研究3:研究2で同定する悲哀美の脳内機構の知見を利用し,悲哀美が利他自己犠牲を促進する際の行動特性と認知の仕組みを解明する. これまでの研究では,オンライン実験および先行研究のオープンデータを活用し,悲哀美の情動の構成を多変量解析により調べた.対面実験からオンライン実験主体に変更して研究を進めた結果,悲哀美の体験に際してヒトが受容する悲しみの感情は,むしろポジティブな感情価として認知されている可能性を示した.22年度では,生理学研究所でfMRI計測を用い,悲哀美の脳活動を歓喜美の脳活動とを比較する実験を実施し,データ取得を完了した.各被験者において基本6情動の脳活動テンプレートを作成し,このテンプレートとニューロシンスを利用することで,混合感情の美的体験について脳活動の遷移を調べている.現在は引き続きデータ分析を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対面実験からオンライン実験主体に変更して研究を進めた結果,多変量解析を行うために適切な大人数の実験参加者データを収集できた.また,MRIによる脳データ計測も完了できたので今後解析を進める.
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今後の研究の推進方策 |
ヒトの社会性に影響を与えうる美的体験,悲哀美の構成情動を明らかにし,人間らしい利他自己犠牲の意思決定へ与える影響について,行動特性と脳内機構を情動脳情報学の視座から解明を目指している.2023年度は,引き続きfMRIの脳データの解析を行い,脳内の活動領域の遷移を調べる.各主要情動の体験による脳の反応をテンプレート化し,このテンプレートをニューロシンスとを組み合わせることで,悲哀美と歓喜美の脳活動とその遷移を詳細に検討する.また,これまでの研究の結果から,悲哀美で受容するネガティブな感情(つまり悲しみ)は,真の悲しみの感情とは異なることがわかってきた.そこで芸術や娯楽の中での悲しみを「仮想の悲しみ」(仮想の情動)と名付けた.オンライン実験による大規模データを多変量解析することで,仮想の悲しみの体験の構成情動を明らかにする.多変量解析によって基本となる情動構成を明らかにし,最終的に負の感情価の美的体験を最大にする各情動の配分を解明する.
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