研究領域 | 糖鎖ケミカルノックインが拓く膜動態制御 |
研究課題/領域番号 |
21H05078
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 (2023) 京都大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
上田 善弘 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (90751959)
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研究期間 (年度) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2023年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2022年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 糖 / 化学変換 / ライブラリ / 多様化 / アシル化 / 位置選択性 / シリル化 |
研究開始時の研究の概要 |
糖類は細胞間コミュニケーション等において分子認識に関与し、多様な生命現象に関わっている。本研究では、申請者がこれまで独自に開発した触媒的位置選択的反応の知見を基盤に、様々な糖共存下で特定の糖選択的化学変換法を開発する。これによって酵素でも実現不可能な人工糖修飾法を提示し、領域目標である糖タンパクの膜動態の解析や人為制御に向けた糖鎖ケミカルノックイン研究を推進する。
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研究実績の概要 |
糖はアミノ酸と並び生体高分子の主要な構成成分であり、広範な生体内反応に関わっている。糖が関与する生命現象を理解し制御するためには、化学的に純粋な糖関連物質の精密合成が必要となる。しかし、糖は分子内に複数の水酸基を有し、その水酸基が置換される位置や数によって多様性を持つ化合物群であるため、保護/脱保護を駆使して水酸基を区別しながら合成することとなり、煩雑さを極める。本研究では糖鎖上のある特定の糖選択的に化学修飾を行う手法を開発することで、合成法の確立されている糖鎖ライブラリの直接多様化することを目的としている。糖鎖は複数の末端糖を有することがほとんどであり、糖鎖の一部を選択的に化学変換するためには、糖を見分ける手法が必要となる。今年度は、糖を見分ける際のモデルとして、単糖誘導体の混合物を用いた競争的反応の検討を行なった。その結果、当研究室独自に見出したグルコース誘導体の位置選択的アシル化反応に有効な触媒が、他の糖共存下においても、グルコース選択的にアシル化を進行させることが明らかとなった。また、グルコース以外の糖へ選択的にアシル化させる触媒系を探索したところ、グルコース共存下でガラクトース選択的アシル化が進行することを見出した。また、アシル化以外の官能基変換として単純なアルコールを用いた競争的シリル化の検討により、キラル4-ピロリジノピリジン誘導体が官能基間距離を識別して、基質選択的シリル化を進行させることを発見した。以上の結果は、糖鎖の位置選択的化学変換に向けた基盤的知見としてさらなる展開が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
単糖ユニットとして、グルコース誘導体、マンノース誘導体及びガラクトース誘導体を用いて、競争実験を行なった。グルコース誘導体の位置選択的アシル化条件において競争実験を行うと、マンノース及びガラクトース共存下においても、グルコース誘導体へ位置選択的アシル化が進行した。三種の糖共存下でも同様の結果となった。さらに、グルコース以外の糖へ選択的アシル化を進行させる触媒系を探索したところ、ガラクトース選択的にアシル化が進行する条件を見出した。触媒の糖認識機構に関して知見を得るべく、触媒活性種のモデル化合物としてアルキルピリジニウム塩を用いて、分光学的手法による解析を行なった。さらなるメカニズム解析から、他の官能基変換へも応用可能な知見が得られると期待される。 触媒による基質認識機構を調べるべく、単純な構造を有するアルコールの競争実験を行う過程で、アミノアルコール類の基質選択的シリル化反応を見出した。触媒が官能基間距離を見分け、スルホンアミド基と水酸基との距離が5炭素分離れた基質に対して顕著な反応促進効果を示した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度開発したアシル化反応の条件を利用して、A01「つくる」班との共同研究により、糖鎖の位置選択的アシル化反応の検討を行う。単糖とオリゴ糖で同様の認識が働くかどうか検討し、必要に応じてさらなる触媒系のスクリーニングを行う。位置選択的に進行する条件が見出されれば、化学修飾が糖鎖機能に与える影響を評価する。機能評価についてはA02「みる」班との共同研究により実施する。 また、応用研究へと展開可能な官能基変換として、アシル化以外の官能基変換について検討を行う。アシル基は水中で加水分解が懸念されるため、化学変換による糖鎖機能の制御を目指す場合、生理的条件でより安定な置換基の導入が求められる。基質選択的シリル化で見出した条件を糖類にも展開することで、位置選択的あるいは糖選択的シリル化反応を検討する。また、オキシカルボニル化やカルバモイル化等の検討も行い、糖鎖機能をあやつる化学変換ツールの拡充を図る。
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