研究領域 | 低エントロピー反応空間が実現する高秩序触媒反応化学 |
研究課題/領域番号 |
21H05081
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
布施 新一郎 名古屋大学, 創薬科学研究科, 教授 (00505844)
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研究期間 (年度) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
32,760千円 (直接経費: 25,200千円、間接経費: 7,560千円)
2023年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
2022年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
2021年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
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キーワード | 不安定活性種 / 有機分子触媒 / 低エントロピー / ペプチド / マイクロフロー / 環状ペプチド / 短寿命複合体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、触媒反応開発において利用が忌避されてきた、短寿命の不安定複合体に関する化学的知見蓄積を基盤として、従来の合成手法では実現困難な反応プロセスの開発を目指す。すなわち、本研究では有機分子触媒反応、特に求核性アミン触媒と求電子剤から生成する、律速段階直前の不安定複合体に焦点を当て、複合体を高秩序かつ均一に生成させて反応を詳細に解析し、学術的な知見蓄積と反応設計原理の探求を進める。また、これまでの常識を覆すペプチド合成法の開発を第一歩とし、有機分子触媒化学の変革を目指す。
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研究実績の概要 |
触媒反応開発において短寿命の不安定複合体の利用は忌避されたきた。これは、反応の進行に伴って複合体が分解などを起こし、収率低下につながるリスクが高いためであるが、そもそも不安定活性種を用いる触媒反応についての知見は十分に蓄積されているとは言い難い状況である。そこで本研究では、律速段階直前の不安定複合体に焦点を当て、複合体を高秩序かつ均一に生成させて反応を詳細に解析し、学術的な知見蓄積と反応設計原理の探求を進めることを目的とした。具体的には、有機分子触媒を用いるペプチドの環化反応を開発対象として、研究を進めることとした。 R3年度は、環化前駆体の代わりとして、入手容易でなおかつ単純な構造のフェネチルカルボン酸、およびフェネチルアミンを用いて、望むカルボン酸選択的な活性化を実現する反応条件を探索した。その結果、第三級脂肪族アミンとクロロギ酸アルキルの組み合わせで生じる不安定活性種のアシルアンモニウムカチオンがカルボン酸を選択的に活性化する新規な知見を得た。また、この活性種の寿命に関する定量的な知見は存在しないことから、活性種の経時的な分解を追跡して、分解速度がアミンの種類によって大きく異なることを明らかにした。また、実際のペプチドにより近い、アミノ酸を環化前駆体の代わりとして用いて、同様の検討を行ったところ、さらにカルボン酸の選択性が向上することが明らかになった。 また、この過程で、A01班永木グループと連携してフラッシュクエンチフロー法の利用を進めて活性種の分解速度を明らかにし、A03班宮村グループと連携して反応機構検証実験に取り組み、想定機構を支持する結果を得て、また、A04班浅野グループと連携して、温度と混合効率の関係について検証を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに研究は進捗しており、他の班と連携しつつ研究を進められた。
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今後の研究の推進方策 |
R4年度はR3年度に確立した手法により、実際のペプチドの環化反応を検討する。環化反応では、望まない分子間反応の競合やC末のエピメリ化等がリスクとして考えられる。温度、濃度なども検討し、副反応の回避について検討する。
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