研究領域 | 高次機能性タンパク質集合体の設計法『SPEED』の確立 |
研究課題/領域番号 |
21H05118
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岡本 泰典 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (50843405)
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研究期間 (年度) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
42,510千円 (直接経費: 32,700千円、間接経費: 9,810千円)
2023年度: 16,380千円 (直接経費: 12,600千円、間接経費: 3,780千円)
2022年度: 12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
2021年度: 13,260千円 (直接経費: 10,200千円、間接経費: 3,060千円)
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キーワード | タンパク質工学 / 人工金属酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
生体内では複数のタンパク質が連携することで生命機能システム (エネルギー変換やシグナル伝達など) が動作している。近年、この生命機能システムを再設計し、望みの機能を発現する細胞の構築をめざす合成生物学的研究が精力的に進められている。では、生命機能システムの構成要素の一つであるタンパク質のみで同様のタスクを実行可能な高次機能性タンパク質の構築は可能だろうか?これに対するProof-of-Conceptとして本研究では人工金属酵素と天然酵素の機能がリレーするタンパク質複合体を構築し、生体内情報分子の変換システムの構築をめざす。
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研究実績の概要 |
複数のタンパク質からなるシステムがエネルギー変換やシグナル伝達などの生命現象を司る高次機能を発現している。タンパク質1分子の形や機能の設計が可能となってきた現在において、複数のタンパク質機能が連関した高次機能の設計が次なる課題である。本研究では、「外部情報による構造変化をトリガーとする人工-天然酵素複合体によるシグナル変換デバイス」の構築をめざしている。 本研究では人工金属酵素のテンプレートタンパク質としてβロールタンパク質を選定している。このテンプレートタンパク質とマルトース結合タンパク質(MBP)の融合タンパク質の大腸菌による発現系および精製系の構築については2021年10月から2023年3月までに確立した。これに続いて、類似する構造的特徴を持つ天然の金属タンパク質を参考にして、新規な金属イオンの結合サイトの構築のために多重変異を導入した変異体を十数種類ほど設計した。これらの変異体においては、多重変異導入による不溶性画分への発現はみられず、野生型で確立した発現・精製法をそのまま利用可能であった。これらの変異体が外部刺激に応答した金属イオンとの結合挙動を示すか検討したが、そのような結合挙動は見られなかった。そこで、当初の計画の金属イオンとは異なるが、バックアップとして計画していた別の金属錯体とβロールタンパク質の外部刺激に応答した結合を狙い、さらに10種類程度の変異体を設計、調製した。極めて予備的ではあるが、外部刺激によって金属錯体の結合挙動が変化する変異体が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
人工金属酵素のテンプレートとなる構造変化するタンパク質の大腸菌による発現および精製系については令和3年度中に確立している。そこで、二年度目である令和4年度は、このテンプレートタンパク質上に金属イオンの結合サイトを構築することをめざして、研究を進めた。類似する構造的特徴を持つ天然の金属タンパク質の金属中心を参考にして、多重変異を導入した変異体を十数種類ほどデザインした。いずれも野生型と同様の手法で発現および精製可能であった。本研究で選定したテンプレートタンパク質は外部刺激に応答して構造変化することが知られている。そこで、金属イオンの結合サイトを新規に設計した変異体群のうち、外部刺激に応答して金属イオンと結合するものがあるか検討した。しかしながら、そのような結合挙動を示す変異体を見出すことができなかった。そこで、バックアップとして計画していた別の金属錯体とテンプレートタンパク質の外部刺激に応答した結合を狙い、さらに十数種類の変異体を設計、調製した。極めて予備的ではあるが、外部刺激によって金属錯体の結合挙動が変化する兆候が見られた。当初の計画にあった金属イオンとの結合挙動を確認することができず、バックアッププランへと方針を切り替えたため、進展に遅れがある。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である令和5年度は、外部刺激に応答した金属錯体との結合挙動が垣間見られた変異体の詳細な解析を実施する。結合挙動を評価後は触媒活性について検討する。また、得られた情報から、さらなる機能の最適化のために追加の変異導入を試みる。また、当初ねらっていた金属イオンに結合する変異体についても引き続き検討をしていく予定である。また、精製および可溶化のために融合発現させていたマルトース結合タンパク質を他の天然酵素へと置き替えることで最終目的である酵素複合体の開発まで展開していく予定である。
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