研究領域 | 大規模計測・シミュレーションによる脳の全体性の理解 |
研究課題/領域番号 |
21H05137
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
五十嵐 潤 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 上級研究員 (60452827)
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研究期間 (年度) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
30,030千円 (直接経費: 23,100千円、間接経費: 6,930千円)
2023年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
2022年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
2021年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
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キーワード | スパイキングニューラルネットワーク / 大脳皮質 / 小脳 / 大脳基底核 / コネクトーム / 筋骨格 / 神経振動 / HPC / Spiking Neural Networks / 視床 / データ同化 / 高性能計算 / 全脳シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
脳・身体・外界が相互作用する中で実行される脳の高次認知処理において、複数脳領域が一つのシステムとして協調動作する機構はよくわかっていない。本研究課題では大型計算機の膨大な並列計算性能を利用して、大規模脳計測データやコネクトームデータに基づくげっ歯類全脳と身体モデルの連関シミュレーションを実現する。そのため、大規模計測データを脳モデル構築や脳モデルの活動の拘束条件として、データ同化の手法を導入した大規模脳シミュレーションプラットフォームの開発を行う。細胞から全脳規模の神経回路を扱うことで複数脳領域が一つのシステムとして動作する仕組み、脳の全体性について、構成論的手法による理解を目指す。
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研究成果の概要 |
マウス脳座標と脳結合データにもとづくマウス大脳皮質、大脳基底核、小脳の神経回路モデルを構築し、シミュレーションを実施した。その結果、刺激によって一次運動皮質で30-50Hzの同期的神経活動が二次運動皮質、橋、小脳に伝搬し、細胞種ごとの特異的発火位相分布を示した。1次・2次運動皮質間では、同じ体部位を表す隣接領域で振動的活動が伝搬する現象が発生した。これらは領域間の振動的活動を介した神経集団の協調した動作機構として働く可能性を示唆する。「富岳」を用いたマウス両半球大脳皮質100体のシミュレーションの同時実行を実現した。マウス脳モデルと筋骨格モデルの連携シミュレーションを実現した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
脳の情報処理において脳全体の神経細胞の協調機構についてはまだよくわかっていない。本研究の領域内、領域間の振動的同期活動のシミュレーションは、脳の複雑な結合を通した振動による協調の可能性について示唆する。本研究成果は、様々な脳疾患でみられる領域間協調における問題の理解やその治療法開発、脳の協調機構にヒントを得た省エネルギーのプロセッサ開発に役立つ可能性がある。「富岳」によるマウス大脳皮質100体のシミュレーションはデータ同化によるデータの効率的利用への第一歩となる。マウス脳―筋骨格シミュレーションは神経相互作用と身体・脳の相互作用をデジタル上で統合し、神経科学研究の新たなアプローチを可能にする。
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