研究領域 | メガダルトン生命機能深化ダイナミクス |
研究課題/領域番号 |
21H05156
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
車 兪徹 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究開発プログラム), 主任研究員 (40508420)
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研究期間 (年度) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
33,280千円 (直接経費: 25,600千円、間接経費: 7,680千円)
2023年度: 12,350千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 2,850千円)
2022年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
2021年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
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キーワード | 人工細胞 / 合成生物学 / 脂質膜 / 無細胞合成系 / 生命の起源 / 膜タンパク質 / 無細胞系 / タンパク質 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では生命の最も生命らしい特徴である自己複製に着目し、細胞を形成する膜が成長し分裂する現象を再現することを目標とする。具体的には、アセチルCoA合成、脂肪酸合成、リン脂質合成という複数の細胞機能を構成要素から再構築し、人工膜内で統合することで増殖する人工細胞システムの構築を目指す。複雑な細胞内反応を詳細に定量的に解析できる人工細胞システムは、構造生物学的理解をよりリアルに細胞内環境を反映した機能的理解につなげることや、分子動力学計算のための純度の高い基盤データの供給を可能とすることが期待できる。本領域内でこれらの連携を達成し、構造生命システム科学という新しい分野を切り開くことを目指す。
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研究実績の概要 |
規定された精製酵素と低分子を適正量混ぜ合わせることで試験管内でのリン脂質合成系が完成した。この系は、アセチル-CoAとマロニル-CoAを出発物質(基質)として、脂肪酸合成とリン脂質合成を同時に行う系である。脂肪酸合成時に必要なNADPHの添加により、反応が開始される。またリン脂質合成酵素3種は膜局在タンパク質であるため、無細胞翻訳系により遺伝子から合成しリポソーム膜上稼働させた。このように構築した人工脂質合成系により、最大400-500マイクロMのリン脂質の合成が確認できた。さらに。上記2つの基質から副産物として生産されるCoAを再度アセチル-CoAとマロニル-CoAに変換し、CoAを循環させるために、アセチルCoA合成酵素とアセチルCoAカルボキシラーぜを精製し系に追加した。その結果CoAが反応中に再利用され、醋酸とHCO4-を炭素源として100マイクロMのリン脂質が合成されることを確認した。現在この試験管内系を人工膜小胞の内部で反応させるために実験を行なっている。 巨大膜小胞を迅速に再現良く作成できる技術についてFrontier Bioeng Biotechnolから論文を出した。 領域内研究では、野澤班との共同研究により、タンパク質を膜小胞に内包した状態で電顕像を取る新しい手法について開発をこなっている。塚崎班とは、細胞内で発現困難な毒性タンパク質の無細胞合成実験について進めている。森班とは、膜局在ペプチドの膜内安定性についてMSシミュレーションを行う計画を立てている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に進んでいるといえる。特に試験管内リン脂質合成系が構築できたことは今後の研究推進にとって重要な成果だといえる。また領域内共同研究も着実に実験を進めている。今年度はプロトコル論文1報をパブリッシュした。 また、人工細胞研究に関する数件の招待講演を行なった。
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今後の研究の推進方策 |
自己複製する人工細胞の構築を目指して、試験管内リン脂質合成系を細胞サイズの巨大膜小胞の内部で稼働させることを試みる。単に反応液を膜に内包するだけではなく、内部の閉鎖空間でタンパク質合成を阻害しない低分子の供給について注意が必要であるため、これについて検討を行う。また共同研究二位おいては、今後の新しい研究発展を目指しこれまでに着手してこなかった研究にも積極的に取り組む。具体的には、脂質膜調整技術を応用して精製タンパク質を規定された膜内に閉じ込めてCryo電顕撮影する手法を確立することを試みる。
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