研究領域 | 脳神経マルチセルラバイオコンピューティング |
研究課題/領域番号 |
21H05165
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅳ)
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研究機関 | 同志社大学 (2023) 岡山大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
松井 鉄平 同志社大学, 脳科学研究科, 教授 (10725948)
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研究分担者 |
根東 覚 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 特任准教授 (20301757)
桂林 秀太郎 福岡大学, 薬学部, 教授 (50435145)
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研究期間 (年度) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
35,490千円 (直接経費: 27,300千円、間接経費: 8,190千円)
2023年度: 13,650千円 (直接経費: 10,500千円、間接経費: 3,150千円)
2022年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
2021年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
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キーワード | 脳活動イメージング / カルシウムイメージング / 機能的MRI / 大脳皮質 / シナプス / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,脳を模した深層神経回路が画像認識などにおいて人と同等かそれを凌駕する性能を実現している.しかし,現在の深層神経回路はそのエネルギー効率や学習効率に大きな問題があり,生体脳における深層神経回路がこれらの性能を実現するメカニズムを明らかにすることが次世代の課題だと言える.本研究では,大規模公開データおよびマウス等でのシナプスレベル活動計測を通して,生体脳の異なるレイヤーでの情報の伝達および単一ユニット(=神経細胞)による入力の統合のメカニズムを解析する.これによりマルチセルラ系の学習則の生物学的基盤を明らかにする.
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研究実績の概要 |
近年,脳を模した深層神経回路が画像認識などにおいて人と同等かそれを凌駕する性能を 実現している.しかし,現在の深層神経回路はそのエネルギー効率や学習効率に大きな問題 があり,生体脳における深層神経回路がこれらの性能を実現するメカニズムを明らかにする ことが次世代の課題だと言える.代表者はこれまで,大脳皮質における多細胞(マルチセルラ)ネットワークの時空間発火パターンを計測するために,in vivo カルシウム(Ca)イメージング技術を確立してきた. 本研究では,げっ歯類のマウスを対象とし,大規模画像データに対する神経活動を計測することが可能な大脳皮質・視覚野でのin vivo2光子Caイメージングにより,大脳皮質での神経活動を軸索末端および樹状突起スパインで計測し,生体脳の異なるレイヤーでの情報の伝達および単一ユニット(=神経細胞)による入力の統合を可視化する.これによりマルチセルラ系の学習則の生物学的基盤を明らかにする. 本年度は、代表者の機関異動があったため上記の計画を遂行するための研究環境の整備を中心にプロジェクトを推進した。具体的にはin vivoカルシウムイメージングを行うための顕微鏡設備の構築、マウスin vivo実験に必要な設備の構築、大規模イメージングデータを解析するための計算機環境の構築を行った。また、計算機環境の構築においては、ヒトfMRIの大規模データを用いた実際の脳活動の解析や、アレン脳科学研究所から公開されているマウス脳活動データを用いた解析を行った。特にヒトfMRIの解析結果については大脳自発活動の時空間パターンについての統計的な分析や、深層学習による脳活動データ解析の新しい手法の開発に成功し、論文として報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画は当初の計画以上に進展したと考えている。本年度の目標は、げっ歯類のマウスを対象とし,大規模画像データに対する神経活動を計測することが可能な大脳皮質・視覚野でのin vivo2光子Caイメージング,大脳皮質での神経活動を軸索末端および樹状突起スパインで計測し,生体脳の異なるレイヤーでの情報の伝達および単一ユニット(=神経細胞)による入力の統合を可視化する研究環境を構築することであった。軸索および樹状突起の活動観察については分担研究者の桂林、根東により順調に整備が完了した。細胞レベルでの神経活動観察については松井の所属の異動があったが、すでに顕微鏡などの主要設備の構築を完了している。 加えて、松井が異動期間に行った公開脳活動データを用いた解析研究が予想外の成果をもたらし、自発的脳活動についての新しい発見と論文発表に繋がった。以上の理由により、本研究は当初の計画よりも進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度に構築した研究環境を用いた実験的研究を行う。また、細胞レベルを解析する松井、軸索を解析する桂林、樹状突起を解析する根東が密に連携をとりつつグループとしての相互作用を醸成していく。また、本年度の研究を通して神経活動の公開データ解析も、本プロジェクトの推進について非常に有益であることが分かったので、これについても推進し、実験的研究と並行して進めることによる相乗効果を出していく。
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