研究領域 | ゆらぎの場としての水循環システムの動態的解明による水共生学の創生 |
研究課題/領域番号 |
21H05180
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅰ)
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
松本 朋哉 小樽商科大学, 商学部, 教授 (80420305)
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研究分担者 |
真野 裕吉 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (40467064)
高野 宏康 小樽商科大学, グローカル戦略推進センター, 研究員 (40596780)
加治佐 敬 京都大学, 農学研究科, 教授 (50377131)
山内 慎子 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (50583374)
木島 陽子 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (70401718)
高槻 泰郎 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (70583798)
齋藤 邦明 東洋大学, 経済学部, 准教授 (70738814)
江頭 進 小樽商科大学, 商学部, 副学長 (80292077)
有本 寛 一橋大学, 経済研究所, 教授 (20526470)
後藤 健太 関西大学, 経済学部, 教授 (70454981)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
129,870千円 (直接経費: 99,900千円、間接経費: 29,970千円)
2024年度: 25,480千円 (直接経費: 19,600千円、間接経費: 5,880千円)
2023年度: 23,270千円 (直接経費: 17,900千円、間接経費: 5,370千円)
2022年度: 31,980千円 (直接経費: 24,600千円、間接経費: 7,380千円)
2021年度: 27,170千円 (直接経費: 20,900千円、間接経費: 6,270千円)
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キーワード | 水共生学 / 農村経済 / 開発経済学 / 経済史 / ミクロ実証 / 水共生 / アフリカ / 水アクセス |
研究開始時の研究の概要 |
本計画研究では、水資源が希少な地域や水インフラが貧弱な地域において、健康で豊かな暮らしを実現するためには、どの様な水利用の方法が適しているのか、また持続的に水資源を利用するためには、どのような水環境の保全・維持の方策・仕組みが必要なのかについて、開発経済学・経済史の立場から家計や村落レベルのミクロデータ・歴史データを用いて実証的に検証する。
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研究実績の概要 |
本計画研究では、水資源が希少な地域や水インフラが貧弱な地域において、健康で豊かな暮らしを実現するためには、どの様な水利用の方法が適しているのか、また持続的に水資源を利用するためには、どのような水環境の保全・維持の方策・仕組みが必要なのか、開発経済学・経済史の立場から家計や村落レベルのミクロデータ・歴史データを実証的に分析し、持続可能な水資源ガバナンスの在り方を探る。具体的には、研究課題として3つのサブテーマ、ST1)水資源が希少で水インフラが未整備なアフリカ農村部における水アクセスと農業・健康・貧困との関係の検証、ST2)急速な気候変動による水環境の変化や経済発展に伴う人口変動に直面するアフリカ、アジアの途上国農村における水資源利用と管理の動態を検証、ST3)かつての「途上国」日本における水資源利用と管理の動態の歴史的検証を掲げている。 R3年度は、ST1に対応する研究の資料収集のため、ケニア・ホマベイ郡の健康医療調査を実施した。ST2に対応する研究資料収集のため、ケニアのムエア郡の灌漑調査を実施した。ST3に対応する研究として、近世・近代を中心とする歴史資料の整理を行い、気候データとの接続し、気候と飢饉の関係の検証を進めている。加えて、ST1に対応する研究としてエチオピアの農村家計調査を計画していたが、同国での内戦拡大により調査対象地域に戦闘の影響があることが判明し、調査は内戦終息の目途がつくまで保留とし、予算の一部をR4年度に繰越した。しかし、R4年度にもエチオピアの調査対象の一部地域で状況は改善せず、エチオピアでの調査は無期限の延期とした。代わりに、隣国ウガンダでの家計調査を当初計画から前倒しR4年度に実施した。現在は上述の調査、歴史資料により得られたデータをもとに水と人との関わりとその変化についての解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本計画研究は、水インフラが未発達な地域や時代において、調査データ、歴史データに基づいた実証研究を行い水と人との関わりとその変化のメカニズムを明らかにすること、そしてその成果を国際学術雑誌等に掲載し、研究結果を広く世界に発信していくことを目的としている。こうした目的に照らすと、達成度を評価する基準は、1)現地調査の実施及び歴史データの整理状況、2)分析および研究の質と進捗状況、3)成果の発信状況の3点に集約されよう。 初年度であるR3年度は、[研究実績の概要]でも述べた通り(1)の調査データの収集及び歴史データの整理に注力した。現在は上述の調査、歴史資料により得られたデータをもとに水と人との関わりとその変化についての解析を進めている。 (2)に関しては、研究代表及び研究分担者が頻繁に連絡を取合い、随時、共同研究の進捗の確認及び新たな研究課題の提案等を行っている。また、本研究領域で勉強会を運営しているが、本研究計画の研究者は、R3年度5本の報告を行い、研究情報を他分野の研究者と共有すると共に、共同研究の可能性を探り、研究のスコープの拡大と質の向上を模索している。 (3)に関しては、R3年度の本研究の研究代表者及び研究分担者が関わる学術的な成果物として、査読付き国際学術雑誌への論文の掲載実績は、8本となっている。それらに加え、国際学雑誌への投稿中の論文も複数あり、近い将来それらの多くが掲載されることを期待される。 以上の点からプロジェクト全体として概ね順調に進展しているといえよう。
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今後の研究の推進方策 |
本プロジェクトで計画している現地調査を実施すると共に、これまでに収集、整理したデータを解析し、論文の執筆を進める。また、その成果を国際学術雑誌等に掲載し、これまで以上に研究結果を広く世界に発信していくことに注力する。 本計画研究の3年目であるR5年度は、ST1に対応する研究として、ケニアでの農村家計調査を計画している。当該調査は研究代表が手がける東アフリカ長期農村家計調査、Reserach on Poverty, Environment, and Agricultural Technology (RePEAT調査)の一環で、ケニアで2004年に開始した家計、村落パネル調査の6ラウンド目の調査となる。当該データを利用して、貧困と水アクセス、気候変動と農業生産などの関係に注目し、途上国農村における中長期的な水利用の変化とその社会経済的な影響を検証する。 ST2に対応する研究として、フィリピン中部ルソン稲作家計長期パネルデータの2023-24ラウンド調査の実施する。当該地域では、近代化の影響(工場、商業施設、道路の建設など)により農地の伝統的な水循環が阻害され、洪水や干ばつの被害が以前より多発し、それが農業生産性停滞の一要因となっている。長期パネルデータを分析することで、近代的構造物の出現タイミング、構造物から圃場までの距離、構造物の種類といった情報を活用し、農業生産への異なるインパクトを明らかにする。 ST3に対応する研究として、昨年に引き続き近世・近代を中心とする歴史資料の収集・整理を行うと共に、古気候データと接続し、気候の農業生産、飢饉への影響に関する分析を進める。
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