研究領域 | 超温度場材料創成学:巨大ポテンシャル勾配による原子配列制御が拓くネオ3Dプリント |
研究課題/領域番号 |
21H05193
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小泉 雄一郎 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (10322174)
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研究分担者 |
奥川 将行 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (70847160)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
107,640千円 (直接経費: 82,800千円、間接経費: 24,840千円)
2024年度: 20,280千円 (直接経費: 15,600千円、間接経費: 4,680千円)
2023年度: 20,280千円 (直接経費: 15,600千円、間接経費: 4,680千円)
2022年度: 20,280千円 (直接経費: 15,600千円、間接経費: 4,680千円)
2021年度: 27,690千円 (直接経費: 21,300千円、間接経費: 6,390千円)
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キーワード | Digital Twin Science / Additive Manufacturing / Solidification / Crystal growth / Super-Thermal Field / Digital Twin / Super-thermal Field / Process monitoring / CtFD simulation / Phase- field method / Process tonitoring |
研究開始時の研究の概要 |
3Dプリントにて発生する超温度場での溶融・凝固を、プロセスモニタリングや組織観察およびそれと整合した熱流体力学計算、さらにその計算結果を境界条件に反映したフェーズフィールド(PF)計算により解析し、3DPのデジタルツイン科学を構築し、その実践を行う。具体的には、微細組織形成への超温度場の影響を、最大1000万 K/m以上の急峻な温度勾配での結晶成長、液相表面での温度勾配に由来したマランゴニ流など、超温度場特有の溶融・流動・凝固現象を解析する。その結果を3DPプロセスの最適化予測に役立てるとともに、超温度場での材料の挙動の理解のための基礎となる新しい学術的知見として体系化する。
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研究実績の概要 |
領域内共通試料とした316Lステンレス鋼に加え、種々のスレンレス鋼、Fe-Cr-Co合金、Fe-Al合金などのFe系合金などへのEB高速走査実験およびLB高速走査実験を行った。316L鋼については、溶融領域表面の温度分布変化モニタリングと凝固組織の解析の結果に基づき造形実験を行いプロセスモニタリングにも成功した。特に、レーザーPBFでのmicro-Helix法による316Lステンレス鋼の単結晶化にも成功し、領域の研究の進展に大きく貢献した。その成果をまとめた論文が、領域で企画したMaterials TransactionsのSpecial Issue "Creation of Materials by Super-Thermal Field"に掲載決定した。EB高速走査実験についても2021年度にEB積層造形装置に取り付けた観察用窓に、高速度カメラ用ステージを設置し、実際に観察を行った。また、他の班との連携も進め、レーザビーム照射時による溶融凝固の熱流体力学(CtFD)シミュレーションによる温度分布変化の解析を、その場観察実験系やチタン合金を対象に実施した。さらに、鉄系合金に昨年度よりも鋼種数を2倍以上に増して実施し、CtFDシミュレーションの結果を併せて凝固条件と冶金学的性質との相関データを拡充した。着実にデータを取得しており当初の計画以上に進展している。当初は2023年度に予定していたセラミックスへの電子ビーム照射の実験もアルミナを用いて前倒しで実施した。その成果を発表した学生が受賞するなど、領域内外の研究者からも高い評価を得た。絶対安定性の発現に関する研究が、A02班やA03班の研究にも広まり、連携研究も進んでいる。CAシミュレーションなど公募研究との重複を避け中止した部分もあるが、計画よりも前倒しで進展している部分が多く全体としては計画以上に進展している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2022年度には、領域内共通試料とした316Lステンレス鋼に加え、Fe-Cr-Co合金、Fe-Al合金、各種ステンレス鋼といった当初予定していた数よりも多い数のFe系合金などへのEB高速走査実験およびLB高速走査実験を行った。316Lステンレス鋼については、ビーム照射から造形までの一連のプロセスを詳細に評価した。溶融領域表面の温度分布変化モニタリングと凝固組織の解析の結果に基づいて設計した条件での造形実験を行うことで、単結晶の育成に短期間で成功し、プロセスモニタリングにも順調に成功した。特にビーム走査とEB高速走査実験では2021年度にEB積層造形装置に取り付けた観察用窓に高速度カメラ用ステージを設置し、効率的に実験できるようにした。また、他の計画班、公募研究者との連携も進展している。レーザービーム照射時による溶融凝固の熱流体力学(CtFD)シミュレーションによる温度分布変化の解析を、その場観察実験系や、チタン合金を対象にして実施した。さらに、鉄系合金に関しては昨年度の3種から9種へと鋼種を増やして照射実験と組織観察まで実施し、冶金学的性質との相関データを拡充した。着実にデータを取得し当初の計画以上に進展している。さらに当初は2023年度に予定していたセラミックスへの電子ビーム照射の実験も前倒しして実施した。その成果を金属学会の研究会で発表した学生が優秀発表賞を受賞するとともに、2023年3月の金属学会で領域外の研究者から賛辞を得るなど高い評価を得ている。 また、絶対安定性発現に関する実験データについては、A02班のデータ科学手法取り入れたシミュレーションや、A03班の造形実験においても取得されはじめ、領域内連携研究も加速度的に進んでいる。当初予定したCAシミュレーション、公募研究との重複を避けて中止し、その分全体として計画よりも進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
鉄鋼、Ti合金を中心に金属材料へのPBF用びーム(EB、LB)の照射による急速溶融・凝固挙動を、巨大な温度勾配(超温度場)に注目したモニタリング、熱流体力学(CtFD)計 算、フェーズフィールド(PF)計算を中心としたシミュレーション、実験では高速度カメラと2色法による表面の温度分布変化測定の手法が確立され、CtFD計算での温度勾配 (G)、凝固速度(R)、流速(U)、凝固方向(Φ)を評価のデータも拡充してきた。融体物性についてその実測を専門とする公募研究者の参入もあり検証が可能となった。A01-b班のインフォマティックスと連携も進んできた。今後は、これら研究をさらに進めてデータを拡充し。材料の各種物性、冶金学的性質と単結晶化および微細粒化の傾向との相関から単結晶化と微細粒化の指針を得る。これにより超温度場での結晶成長のデジタルツインを構築し、A03班のスーパーチタンの基となるTi合金、共通試料とした316L鋼、さらに機能性が期待されるFe系合金を対象に、 (1) 絶対安定性発現、マランゴニ効果によるデンドライトの溶断など、超温度場特有の現象と結晶成長との関係に注目して解析するとともに、超温度場材料創成学の理論体系構築に資する。さらに、2022年度に先行着手した、セラミックスへの電子ビーム照射の研究を実験、計算の両面で、A03のレーザー照射の研究とも連携して推進し、金属とセラミックスの、レーザー、電子ビームとの相互作用の類似点と相違点を整理して理解することを目指す。具体的には (1-1) EBの高速走査実験、(1-2) LBの高速走査実験、(1-3) 凝固界面挙動解析、凝(1-4) 凝固界面TEM解析を、 (2-1)PFシミュレーションを、セラミックスでも実施し、金属合金の結果と比較してビームの種類と材料との相互作用と超温度場と関係を解明する。
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