研究領域 | デジタル化による高度精密有機合成の新展開 |
研究課題/領域番号 |
21H05214
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
菅 誠治 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (50291430)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,080千円 (直接経費: 31,600千円、間接経費: 9,480千円)
2024年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2023年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
2022年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2021年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
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キーワード | 触媒 / 電解反応 / フロー合成 / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
本課題では「触媒」をキーワードに二つのタイプの触媒反応の機械学習最適化を最終目標として研究を推進する。具体的には、①A01班で追及する高効率かつ高選択的な触媒反応のための最適な反応モジュールを開発し、フロー反応を使って優れた質と豊富な量のデータを迅速に得る高効率なシステムを構築・提供することを第一の主題とする。また、②触媒量の電気で進む反応のための電解反応モジュールの開発と各種パラメータの機械学習による最適化という前例の全くない試みを第二の主題とする。
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研究実績の概要 |
本研究では、化学的な触媒および電子あるいはホールを「触媒」として用いる反応に着目し、本領域の核心であるAI支援による反応の迅速最適化のために、フローケミストリーを用いて、高い質と豊富な量のデータを得る方法を確立することを目的とする。触媒量の電気による酸化あるいは還元で駆動する反応については、これを確固たるサイエンス&テクノロジーに昇華することを主たる研究目的として研究を推進している。以下、令和5年度の実績を記す。 ①電子の授受により駆動する触媒型反応のための電解フローモジュールを用い、反応パラメータを様々に変化させて8つのアルデヒド類に対するアセトニトリルの付加反応(シアノメチル化)を行い、200点以上のデータを効率よく取得できた。予備的検討の段階ではあるが、化学情報、反応パラメータおよび収率の関係を、機械学習を用いて解析し、どの化学情報がもっとも反応に大事であるかについて、考察を行った。今後、最適化モデルの構築とブラシュアップを試み、化学情報を指標にして、未知の基質に対する最適反応条件を迅速に獲得できるモデルを構築したい。 ②昨年見出した、上記電解フローモジュールを用いる、スチレンオキシドの異性化と生成するアルデヒドへのニトロメタンの連続的な付加反応における最適条件の機械学習による探索と、基質適用範囲についての調査を行い、論文投稿を行った。 ③昨年度までに見出した電解酸化(触媒量の電気)により駆動するCarbon-Ferrier転移反応の最適条件探索をガウス過程回帰やベイズ最適化などの機械学習を用いて行った。 ④フロー反応ではないが、トリメチルシリルアセチレンのカルボニル化合物への触媒量の電気量を用いた還元的付加反応も論文投稿し受理された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、電解フロー反応を用いてデータを効率よく取得する電解フローモジュールとそれを用いた反応システムの構築と、機械学習を用いて最短時間で反応の最適条件へと導く方法を開発してきた。分子変換反応としては、糖類におけるCarbon-Ferrier転移反応、アルデヒド類に対するアセトニトリルの付加反応(シアノメチル化)、スチレンオキシドの異性化と生成するアルデヒドへのニトロメタンの連続的な付加反応、などをとりあげ、様々な反応において機械学習を用いた反応最適化(反応条件探索)が非常に有効であることを示すことができた。このように、研究は概ね順調に進んでいるが、当初の予定にあった、触媒を担持した固体相を充填したカートリッジ型の反応モジュールに関する検討が遅れているので、その点をテコ入れしたい。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように、アルデヒド類に対するアセトニトリルの電気化学的手法を用いた付加反応(シアノメチル化)において、化学情報、反応パラメータおよび収率の関係を、機械学習を用いて解析し、化学情報を指標とする未知の基質に対する最適反応条件の迅速探索モデルの構築に向けて検討を行っている。令和6年度はA3班メンバーとも連携し、確固たるモデル構築および論文投稿を行いたい。 また、これまでに研究室で見出している触媒量の電気量によるトリメチルシアニドのアルデヒドへの付加を基軸とした新規反応にも取り組んでいる。具体的には触媒量の電気量を用いてα,β-不飽和アルデヒドに対するトリメチルシアニドの付加を行い、この付加物の異性化を組み合わせた新たな連続的フロー反応に着目して研究を行っている。この反応においても、フロー電解システムの反応パラメータ設定が非常に複雑なので、最適反応条件の探索には機械学習が有効であると思われるので、この反応を例に機械学習の有効性の検証にも取り組みたい。
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