研究領域 | デジタル化による高度精密有機合成の新展開 |
研究課題/領域番号 |
21H05216
|
研究種目 |
学術変革領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
外輪 健一郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (00336009)
|
研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
50,310千円 (直接経費: 38,700千円、間接経費: 11,610千円)
2024年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2023年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
2022年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2021年度: 13,520千円 (直接経費: 10,400千円、間接経費: 3,120千円)
|
キーワード | IoT / 自動実験 / 最適化 / 制御システム / 鈴木・宮浦カップリング / フロー合成 / cccc |
研究開始時の研究の概要 |
機械学習を利用して有望な有機化学反応を見出す技術が注目されている。これを成功させるには機械学習に用いるデータを収集し、さらに機械学習による予測が有効であることを確認するための実験が欠かせない。ここで必要となる実験点数は多く、化学実験の自動化技術が注目されている。しかし実験の手順や用いる試薬が多様であるため、自動化技術の開発には柔軟性をいかに確保するかが課題となる。本研究ではフロー実験装置の柔軟な組み換えを可能とし、かつ組み換え後に制御・最適化システムを迅速に構築できる技術を開発し、この課題の解決を目指す。
|
研究実績の概要 |
前年度までにIoT化した実験機器をネットワークを介して制御する方式の自動実験システムの構築を目指し、システムのプロトタイプを完成させた。本年度はより一般的な実験を実施できるよう、システムのインターフェースやデータベースの改善に取り組んだ。さらに本年度は新たに電動バルブやフラクションコレクターなどの機器をIoT化し、本システムの要素として活用可能とした。 本システムの有効性を確認するため、鈴木・宮浦カップリング反応を実施した。触媒として均一触媒と固定化触媒の2通りを用いた。流量や温度を変化させるだけでなく、均一触媒を用いた場合には滞留時間も変化させて合成実験を行った。生成物の分析にはガスクロマトグラフを用いた。開発したシステムを用いることで、反応条件を変えながら実験とサンプリングを繰り返せることを確認した。得られた結果は鈴木カップリング反応の特性として一般に知られている傾向と一致しており、信頼性のある実験を実施できることが示された。使用する触媒によって装置の種類や数が異なるため、本年度の検討では2通りの構成の自動実験システムが必要であった。IoT化された実験機器を本システムに接続することでそれぞれの自動実験システムを迅速に構築することができた。不均一触媒を用いた場合では、自動実験システムの構築を開始してから実験を開始するまでに要した時間は2時間程度であった。これより本システムは柔軟性が高く、研究途中で実験装置の構成を変更する場合であっても短時間で対応できると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データベースの再設計が必要になったため、計画の進行に遅れが見られた。しかし、当初の計画通り、開発したシステムを用いて実際に有機合成反応を実施し、システムの特性を票することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
実験機器のIoT化とそれらを制御することによる自動実験システムの開発を続ける。特に自動最適化を可能とするため、分析機器を本システムで活用できるようにIoT化する。またインターフェースやデータベースも見直しを続け、実験手順の繰り返しを効率よく表現できるように努める。 さらに、本システムを用いた有機合成反応の実施例を増やす。領域内外の研究者と連携し、取り上げる反応を決定する。実施する反応の例を増やすことで、IoT化するべき実験機器を明らかにしつつ、実際にIoT化を進める。
|