研究領域 | 生物を陵駕する無細胞分子システムのボトムアップ構築学 |
研究課題/領域番号 |
21H05226
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
築地 真也 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40359659)
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研究分担者 |
寺井 健太 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (20616073)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
148,330千円 (直接経費: 114,100千円、間接経費: 34,230千円)
2024年度: 24,700千円 (直接経費: 19,000千円、間接経費: 5,700千円)
2023年度: 25,220千円 (直接経費: 19,400千円、間接経費: 5,820千円)
2022年度: 25,610千円 (直接経費: 19,700千円、間接経費: 5,910千円)
2021年度: 47,450千円 (直接経費: 36,500千円、間接経費: 10,950千円)
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キーワード | 人工細胞 / バイオセンサー / バイオマーカー / 情報伝達 / シグナル増幅 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、人工合成分子、脂質、タンパク質、蛍光プローブといった異種分子材料を組み合わせ、極微量のバイオマーカーやウイルスを超高感度に検出可能な「人工細胞センサー」をボトムアップ構築することを目的とする。血液や唾液などのサンプル中の極微量のバイオマーカーやウイルスを短時間で超高感度に検出可能な人工細胞センサーを構築し、デバイス設計に必要な分子設計指針を明らかにすると同時に、革新的な次世代デジタル診断技術や体内感染診断技術へ展開する。
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研究実績の概要 |
本研究では、人工合成分子、脂質、タンパク質、蛍光プローブといった異種分子材料を組み合わせ、極微量のバイオマーカーやウイルスを超高感度に検出可能な「人工細胞センサー」をボトムアップ構築することを目的とする。本年度は以下の成果を達成した。 1)昨年度までに、特定のバイオマーカー(加水分解酵素)に応答してリポソーム内のタンパク質レポーターの膜移行を誘導する合成レセプター化合物の設計原理を確立している。本年度はまずその化合物構造の最適化を行なった。さらにその原理の適用範囲を検討するために、複数の異なるバイオマーカー酵素に対する合成レセプター化合物を創製した。それらの化合物はいずれも標的特異的な応答を示すことが明らかとなり、計3種類のバイオマーカー酵素に対応した合成レセプター化合物および人工細胞センサーを構築した。 2)1で確立したタンパク質膜移行の原理を発展させ、特定のバイオマーカー酵素に応答して内水相が光る人工細胞センサーシステムの設計に取り組んだ。これまでに、タンパク質膜移行を誘導する合成レセプター化合物と分割型タンパク質レポーターを組み合わせることで、標的バイオマーカー酵素の存在下でのみ分割型タンパク質レポーターの膜移行と再構成を誘導できることを見出しつつある。本年度はそのさらなる最適化と蛍光プローブの検討を行い、標的バイオマーカー酵素の存在を蛍光増幅シグナルとして読み出すことのできる、より高感度な人工細胞センサーの創製に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のように本年度は、超高感度人工細胞センサーをボトムアップ構築するための要素システムの確立と最適化を達成した。増幅効率に関しては更なる改善の余地があるものの、人工合成分子、脂質、タンパク質という比較的シンプルな構成成分で、バイオマーカーの検知から情報伝達、シグナル増幅まで実現できる人工細胞センサーシステムを創製できた点は特筆に値する。また、現在は合成化合物を人工レセプターとして使用しているが、膜貫通型人工タンパク質をリポソーム膜に組み込むための試みも検討を始めており、より高次な情報伝達機能を持つ人工細胞の構築へ向けて着実に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこれまでに確立した要素システムのさらなる改良と最適化を進めると同時に、膜を介した情報伝達とシグナル増幅のための新たな化学原理の構築を目指す。また、社会実装を視野に、人工細胞センサーを基盤とした新規バイオマーカー・がん診断ツールとしての応用に着手する。
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