研究領域 | 生物を陵駕する無細胞分子システムのボトムアップ構築学 |
研究課題/領域番号 |
21H05230
|
研究種目 |
学術変革領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
油谷 幸代 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究部門長 (10361627)
|
研究分担者 |
白井 智量 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 上級研究員 (00639586)
本田 孝祐 大阪大学, 生物工学国際交流センター, 教授 (90403162)
|
研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
123,500千円 (直接経費: 95,000千円、間接経費: 28,500千円)
2024年度: 26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2023年度: 26,130千円 (直接経費: 20,100千円、間接経費: 6,030千円)
2022年度: 25,610千円 (直接経費: 19,700千円、間接経費: 5,910千円)
2021年度: 19,890千円 (直接経費: 15,300千円、間接経費: 4,590千円)
|
キーワード | システム最適化 / 統計的因果推論 / ノネナール検出 / ATP合成システム / ノネナール / ATP生産システム / 最適化モデル / 酵素反応 / 無細胞分子システム / 人工解糖経路 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究計画班は超越分子システム構築のための基盤技術開発として、(i) 無細胞分子システムの構成因子となる酵素を人為的に創出、(ii) 創出された酵素を含む各種分子群をシステムへと統合する際の最適化アルゴリズムを開発し、最適化された超越分子システムを構築する。課題(i)と(ii)を通じて、超越分子システム構築に必要な ①システム構築のための材料選定、②システム最適化設計、③設計されたシステムの物理的構築、という3段階の基盤技術を開発する。具体的な実用展開として「測る」機能を有した「においセンサーシステム」と「造る」機能を有した「天然を超えるATP合成能を有する超越分子システム」を構築する。
|
研究実績の概要 |
1.加齢臭の原因となるノネナール検出システムの開発 アルコール還元酵素を鋳型として、trans-2-ノネナールの基質結合に重要と推定されるアミノ酸残基に変異を導入したライブラリを100個程度作製した。これらの活性・耐熱性を評価したところ、活性や耐熱性が野生型よりも向上している変異酵素が数種類得られた。さらに、これらを訓練データとして用いて高活性型・高耐熱性型の変異酵素を予測するための機械学習モデルの構築に取り組んだ。複数のモデルに実装し、またハイパーパラメータなどの最適化を行い、精度向上に取り組んだ。 2.解糖系を超えるATP合成能を有する分子システムの構築 前年度までに作成した非酸化的解糖経路(NOG)カスケードの機能を拡張すべく、当該カスケードに適当な耐熱性酵素をアドオンすることで、(i) アデニンを基質としたATPの生産カスケード、(ii) アデニンとニコチンアミドを基質としたNAD生産カスケードを構築した。前者については、使用する酵素の最適化により、2 mMのアデニンを化学両論的にATPへと変換することができた。また、種々のグリコシル反応の糖供与体である(iii) UDP-グルコースの再生カスケードを構築し、これを用いたグルコースからのトレハロース生産を実証した。 3.Pure systemの開発への貢献 公開されているセルフリータンパク質合成システムのデータを元に、大規模アクティブラーニングの再現を実施するとともにオリジナルの構造推定技術を適用し、推定された構造をもとに4^11の組合せをシミュレーションした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題1、2ともに実施計画に記載した通りに進捗している。 具体的にいは、1.加齢臭の原因となるノネナール検出システムの開発については、白井がtrans-2-ノネナールの基質結合に重要と推定されるアミノ酸残基に変異を導入したライブラリを100個程度作製し、これらの活性・耐熱性を評価している。これまでに油谷が開発した最適化モデルやグラフ理論による酵素反応推定技術をこれから適用していく。 また、2.解糖系を超えるATP合成能を有する分子システムの構築については、本田が非酸化的解糖経路(NOG)カスケードの機能を拡張すべく、当該カスケードに適当な耐熱性酵素をアドオンすることで、(i) アデニンを基質としたATPの生産カスケード、(ii) アデニンとニコチンアミドを基質としたNAD生産カスケードを構築している。今後は最適化技術を本システムに適用していく予定である。 また他計画班との共同研究についても基盤となる最適化技術を開発し、後半にむけて共同研究をすすめていく予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで個々の課題解決に必要となる技術基盤の開発を実施してきた。今年度からはそれぞれの技術の融合を実現していく。 具体的には、1.のノネナール検出については、白井が開発してきた技術やこれまでに評価してきた酵素反応に対し、油谷の開発した化学物質構造特徴量抽出技術を組み合わせたツール開発を開始する。これらのツールを作成することで、、必要な酵素反応の触媒機能強化につながることが期待される。 次に2.の分子システム構築については、本田が獲得してきたデータを元に最適化技術を適用した解析を実施する。これらのデータ解析が期待するATP合成量を達成するかどうかを確認し、必要に応じて技術のチューニングを実施する。 他の計画班との共同研究については、各データが供与され次第、計算を実施し解析結果をフィードバックすることで各技術の向上に貢献する。
|