研究領域 | 2.5次元物質科学:社会変革に向けた物質科学のパラダイムシフト |
研究課題/領域番号 |
21H05233
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岡田 晋 筑波大学, 数理物質系, 教授 (70302388)
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研究分担者 |
櫻井 英博 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (00262147)
吾郷 浩樹 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (10356355)
渡邊 賢司 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 電子・光機能材料研究センター, 特命研究員 (20343840)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
201,500千円 (直接経費: 155,000千円、間接経費: 46,500千円)
2024年度: 38,480千円 (直接経費: 29,600千円、間接経費: 8,880千円)
2023年度: 40,300千円 (直接経費: 31,000千円、間接経費: 9,300千円)
2022年度: 42,770千円 (直接経費: 32,900千円、間接経費: 9,870千円)
2021年度: 40,820千円 (直接経費: 31,400千円、間接経費: 9,420千円)
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キーワード | 2.5次元物質 / 原子層物質 / 有機合成 / 化学気相成長 / 計算物質科学 / 2.5次元物質 |
研究開始時の研究の概要 |
A01班はユニークな特性を示す高品質二次元物質の設計と合成を行い、2.5次元物質科学のビルディングブロックとなる物質の創製を行い、「2.5次元物質科学」推進の基盤となる物質創製科学の学理を担う。具体的には、グラフェン、遷移金属ダイカルコゲナイド、六方晶窒化ホウ素などの二次元物質の高結晶・ウェハースケール合成を行うとともに、エキゾチックな物性を有する新たなタイプの二次元物質の結晶成長とその成長に関する基礎学理に関する研究も行う。同時に、第一原理計算を活用した物質設計と研究支援を行う。さらに、有機合成を駆使して曲率を備えた擬二次元構造体を創出し、あらたな2.5次元構造の構築も目指す。
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研究実績の概要 |
2.5次元物質科学に必須となる、高品位な原子層物質や機能性分子の合成を行い、それを集積化班、分析班、物性開拓班、機能創出班の研究者に提供した。また、量子論に立脚した計算物質科学の手法を用いて、合成を目指すべき、新たな2.5次元物質の構造提案を行なった。加えて集積化班、分析班、物性開拓班、機能創出班で合成/創成された物質郡の物性解明を行なった。 岡田は、物質設計として、新しい2次元π電子系の物質設計を行い、当該物質が磁性炭素同素体の候補となることを予言した。さらに、2層グラフェンの層間にコラヌレンと呼ばれるお椀状分子を挿入することで、全炭素P/N接合系の可能性を提示した。また、実験の解析として、遷移金属カルコゲン化合物の組成変化による連続的な電子物性変化の起源の解明、多層の面内ヘテロ遷移金属カルコゲン化合物の電子物性の原子種や積層構造依存性を明らかにし、その応用の糸口を与えた。 吾郷は、種々の原子層物質のCVD成長と層間の二次元ナノ空間へのインターカレーションに関する研究を行った。特に、大面積多層hBNの合成と転写を行なった。また、2層グラフェンへの分子インタカレーションを行い、層間において、挿入された分子が極めてユニークな結晶構造をとることを明らかにした。 櫻井は、お椀状炭化水素分子の合成を行なった。スマネン端の置換による種々のスマネン誘導体の合成、さらに、お椀形状がスマネンとことなるより広いお椀状炭化水素分子の合成をおこなった。また、配列スマネンを用いた新しい2.5次元物質の創出を行い、分析班と共同でその構造の解明を行なった。 渡邊は、高温高圧法によってhBNのホモエピタキシャル成長法の開発をおこなった。 特に、将来的な2段階成長技術のための気相成長の最適条件の探索を行なった。また、高品位なhBNの合成を行い、当該資料を領域内の多くの共同研究者に提供し多くの共同研究を推進した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論面での物質設計においては、複数のユニークかつ実現可能性が高い物質の提案を複数行った。また、新奇な電子物性を有する2.5次元物質の提案、さらに実 験グループの理論解析サポートも複数行った。物質合成では、新しい2.5次元物質の合成をおこなった。また、高品質な種々の原子層物質の提供もA02~A05班への提供をおこなっている。また、二層グラフェンの積層構造の解析法の提示をおこなっている。さらに、分子系として、お椀状分子の2.5次元系への応用に向けた基礎的知見の確立も行われつつある。さらに、 hBNについても、領域内のみならず世界に対して安定した供給がなされた。 以上の点からこれまでの研究は計画に沿って順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
岡田は、2.5次元物質を構成要素となる新しい2次元物質の物質設計と物性解明をおこなう。さらに、領域内の実験グループと引き続き共同研究を行い、実験の理論解析のサポートを行う。 吾郷は、グラフェンの研究に加え、六方晶窒化ホウ素、繊維金属カルコゲン化合物等のCVD成長を継続するとともに、2.5次元物質のビルディングブロックとなる各種二次元材料を領域内に提供して、領域研究の活性化に貢献する。また二次元ナノ空間内での分子構造と物性に関する探索研究をさらに展開していく。 櫻井は、お椀型共役系小分子であるスマネン誘導体のインターカレーション分子としての機能開拓を継続して行う。具体的には、顕微ラマンによって追跡が可能なスマネン誘導体のデザイン及びその合成とインターカレーションの試み、スマネンと2次元物質を共有結合でつなげたものを合成して、その物性を測定する。 また、非平面性2次元物質の合成にも取り組む。 渡邊は、hBN気相成長による成長試料の高純度化を図るために、ガス供給系統および成長室を従来のものと交換し成長環境を整える。前年度の拡散法による高濃度 炭素不純物の発光バンドの結果をもとに希薄密度における不純物欠陥の構造の解明を試みる。
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