研究領域 | 神経回路センサスに基づく適応機能の構築と遷移バイオメカニズム |
研究課題/領域番号 |
21H05246
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 京都大学 (2022-2024) 北海道大学 (2021) |
研究代表者 |
島崎 秀昭 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (50587409)
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研究分担者 |
田中 琢真 滋賀大学, データサイエンス学系, 准教授 (40526224)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
74,880千円 (直接経費: 57,600千円、間接経費: 17,280千円)
2024年度: 14,430千円 (直接経費: 11,100千円、間接経費: 3,330千円)
2023年度: 14,560千円 (直接経費: 11,200千円、間接経費: 3,360千円)
2022年度: 14,300千円 (直接経費: 11,000千円、間接経費: 3,300千円)
2021年度: 17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
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キーワード | 適応原理 / 状態空間モデル / 神経活動ダイナミクス / 学習則 / 理論モデル / 神経スパイクデータ解析 / エントロピー生成 / 回路推定 / 高次相関 / ベイズ脳仮説 / 自由エネルギー原理 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、生物の環境への適応を担う神経細胞集団・回路は何であり、適応の原理は何か、という問いに対して、詳細な細胞プロファイルを取り込んだデータ解析と、適応理論に基づく予測を組み合わせて答えを出すことを目指す。そのために、多様な細胞情報を活用した神経細胞集団活動の時系列解析技術を開発する。これを適応・学習中の動物から記録された大規模神経活動データに適用して、学習のダイナミクスを可視化し、変化を担う細胞種を明らかにする。加えて、適応学習の理論モデルを構築して原理に基づく学習則を導出し、理論予測と観測を比較することで適応原理の仮説を検証する。これにより適応を担う基盤回路とその原理を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、刻々と変化する環境に効率的かつ柔軟に適応する生物の適応能力の情報論的な機構を遺伝子・回路レベルで明らかにすることを目的とし,そのために必要な神経細胞集団の時系列解析技術と適応学習の理論を一貫した数理モデルで構築することで,データに基づく統一的な適応理論を構築することを目標としている.これにより先鋭的な神経回路活動の計測・操作技術と網羅的な遺伝子発現の解析技術に基づいて,適応を担う基盤回路を解明するという学術的な問いに答える.
3年目にあたる本年度は,神経細胞集団に対する統計モデルの研究を進め,神経細胞集団が多様かつスパースな神経活動パターンを示すために必要な統計構造の条件を明らかにし,観測された神経細胞集団活動の特徴を捉えた新たな統計モデルを構築した.また,イジングモデルを用いて神経細胞集団活動の巨視的な状態を定量化する目標に向けて,活動の時間非対称性を表すエントロピー生成に注目し,非対称な結合を持つ動的Sherrington-Kirkpatrickモデルのエントロピー生成の厳密解を得た(Aguilera, Igarashi, Shimazaki. Nature Communications, 2023).これにより,再帰的ニューラルネットワークにおける時系列の時間非対称性を正確に記述することが可能となり,多様かつ強い結合を有するネットワークが示す無秩序相において活動の時間非対称性が最大となることが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動的Sherrington-Kirkpatrickモデルのエントロピー生成の厳密解を示した論文が発表された.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに開発した状態空間ーイジングモデルによる神経スパイク時系列データの解析手法をさらに拡張し,細胞種ごとの結合の特徴の変化を捉える手法の開発に着手する.また,多様な刺激選択性を持つ神経細胞集団による情報符号化に関する理論研究を進める.
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