研究領域 | クロススケール新生物学 |
研究課題/領域番号 |
21H05251
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
福間 剛士 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 教授 (90452094)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
91,780千円 (直接経費: 70,600千円、間接経費: 21,180千円)
2024年度: 17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2023年度: 16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
2022年度: 17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2021年度: 24,310千円 (直接経費: 18,700千円、間接経費: 5,610千円)
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キーワード | 原子間力顕微鏡 / 原子間力顕微鏡(AFM) / ナノ内視鏡AFM / In-Cell AFM / 細胞内現象 / In-cell AFM / 細胞内構造動態計測 / ナノ動態計測 |
研究開始時の研究の概要 |
我々が世界で初めて開発した生細胞内部を直接観察できるIn-cell AFMの性能、機能、解析法を大幅に発展させ、細胞内での分子分解能動態計測やナノ力学物性計測を実現する。さらに、水上・藤原班と共同して、1分子蛍光法や超解像顕微鏡法とIn-cell AFMの複合システムを開発する。これによって、ターゲットとなる細胞内現象が生じている箇所を超解像顕微鏡で特定してAFM計測を行うことや、1分子蛍光で測定した標識分子の動きと、AFMで観察した標識されていない周囲のナノ構造との相関を捉えることが出来る様になることが期待される。また,領域内の生命科学研究者と共同で様々な細胞内ナノ構造動態解析に取り組む。
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研究実績の概要 |
クロススケール新生物学領域の発展のために、In-Cell AFM技術を代表とするバイオAFM技術の開発と、それを用いた細胞内現象のナノレベル研究に取り組んだ。 技術的には、In-Cell AFM計測の際にニードル探針が汚染されることを防ぐために、探針表面にフッ素系の分子膜を形成して防汚効果を持たせる技術を開発しており、一定の効果が確認できている。また、細胞核を直接インデントして硬さを測定する技術について、解析ソフトを改良し、その客観性、定量性、作業効率などを大幅に改善することができた。また、観察速度の向上を妨げる主たる要因である細胞内への探針の挿入速度を向上させるために、探針を水平方向に振動させながら挿入する方法を検討したが、現時点では改善の効果が確認できていない。現在は、分子修飾探針により挿入効率が改善できるかどうか、その可能性を検討し始めている。 応用研究としては、仁田班と共同でチューブリンの集合体形成に与えるCamsup2の影響を高速AFMにより調べている。主要な結果は既に得られており、論文化の作業を進めつつ、必要に応じて補足データの取得やデータ解析を進めてきた。来年度には論文としてまとめて公表できる見込みである。また、田中班と共同で、アミロイド繊維の表面に存在するファジーコートとよばれる揺動構造の3D-AFM観察に取り組んでいる。これまでに、コートの有無やpHの違いによって、大きな表面構造の違いがみられることを確認している。あとは補足データが取得できれば、論文化へと進められる。水上・藤原班と共同で、接着斑の細胞内計測を実施してきた。接着斑の成長や崩壊に合わせて、形状や硬さが変化する様子を可視化することができた。この結果は、論文化に足るデータが取得できているので、あとは論文としてまとめて発表を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
In-Cell AFM技術の基礎は完成しており、また、本研究の目標であった、超解像顕微鏡、TIRF顕微鏡、共焦点顕微鏡などの光学顕微鏡技術との融合も実現できている。現在は、実用性、機能性、速度、再現性などの改善に向けた改良に努めている。一方、応用研究については、多数の応用班のメンバーとの共同研究を模索して、いくつかの研究テーマについては、すでに論文化に足るデータが得られている。来年度は、これらを論文としてまとめて発表することで、集大成としたい。以上の通り、技術開発、応用研究ともに計画通り、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
現在まで、研究計画通りに順調に進展しており、最終年度である来年度は、これらの成果をとりまとめて、できるだけ多くのデータを論文として公表することを目標とする。具体的には、仁田班との共同研究で進めているチューブリン集合体の形成過程に関する研究成果、田中班との共同研究で進めている微小管表面のファジーコートの3次元計測に関する研究成果、水上・藤原班と共同で進めている接着斑の細胞内計測に関する研究成果などをとりまとめて論文として発表する。その一方で、引き続き、In-Cell AFM技術の改良と、その他の応用研究の模索も並行して進める予定である。
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