研究領域 | クロススケール新生物学 |
研究課題/領域番号 |
21H05256
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 日本医科大学 (2022-2024) 東京大学 (2021) |
研究代表者 |
山本 林 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (80551283)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
70,590千円 (直接経費: 54,300千円、間接経費: 16,290千円)
2024年度: 12,740千円 (直接経費: 9,800千円、間接経費: 2,940千円)
2023年度: 12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
2022年度: 12,740千円 (直接経費: 9,800千円、間接経費: 2,940千円)
2021年度: 19,370千円 (直接経費: 14,900千円、間接経費: 4,470千円)
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キーワード | クロススケール / メゾ複雑体 / オートファジー / LLPS / Fluidophagy / 液滴 / マクロオートファジー / ミクロオートファジー / メゾスケール |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳類では選択的オートファジーによる細胞内クリアランスが恒常的に行われている。基質が作る液滴を選択的に分解する液滴オートファジー(Fluidophagy)では、液滴と膜の相互作用によってオートファゴソームの膜変形が促されるが、その分子メカニズムは不明である。本研究では、最先端のIn-cell計測技術によって、液滴と膜の相互作用を細胞内のありのままの状態で、ミクロスケールからメゾスケールまでシームレスに定量解析することで、「液滴による膜変形の分子メカニズム」と「膜変形に伴う液滴の標的化メカニズム」の解明を行う。
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研究実績の概要 |
(1) オートファゴソーム膜変形を促す因子のIn-cell、On-membrane解析:鉄貯蔵タンパク質であるフェリチンがNCOA4とともに液滴を形成し、マクロオートファジーとミクロオートファジーの共通基質になることを論文として報告した(Ohshima et al., JCB, 2022)。フェリチン液滴が膜と相互作用する際の詳細局在をin-cellで解析するため、形状ラベルをCRISPR法でノックインし、(3)のオートファジー定量法と組み合わせて機能解析を行った。フェリチン液滴と隣り合って局在するp62液滴についても同様のノックインを行い、in-cell解析の準備を進めている。 (2) 2つのオートファジーでの「仕分け」と選択的オートファジー始動メカニズムの解析:フェリチン液滴がマクロオートファジーとミクロオートファジーの両経路に仕分けされる分子メカニズムの解析を行い、RAB5Q79L誘導性発現細胞を用いることでミクロオートファジー特異的因子を同定した。この因子のノックアウトではフェリチン液滴ミクロオートファジーは阻害されるものの、p62液滴ミクロオートファジーには影響がなく、液滴オートファジーの機能分化を解明するための示唆的結果を得た。また、TAX1BP1によるオートファジー関連タンパク質のリクルートメカニズムの解析を行い、ATG9小胞上のSCAMP3がTAX1BP1と相互作用することでATG9小胞をリクルートすることを明らかにした(論文準備中)。 (3) 新規蛍光プローブを利用した液滴オートファジー定量法とスクリーニング系の確立:領域内共同研究で開発されたpH応答性蛍光プローブをHaloTag-NCOA4に導入し、昨年度までに行った液滴オートファジーの新規スクリーニング系を使って一次スクリーニングを行った。HaloTagを利用した新規オートファジー活性定量法を確立した(Yim et al., eLife, 2022)。他に領域内共同研究で、新規手法によるマイトファジー誘導実験を行った(論文改訂中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
フェリチン液滴オートファジーについて解析を進め、フェリチン液滴がマクロオートファジーとミクロオートファジーの共通基質になる分子メカニズムを解明して論文報告するなど、液滴オートファジーの解析で想定以上の成果を挙げている。また、HaloTagを利用した新規オートファジー活性定量法を確立して論文報告を行った。オートファジー国際会議でもすでに複数の研究者が本定量法を使用するなど、国内外のオートファジー研究者から高く評価されている。in-cell解析に向けて必要なノックイン細胞を作成し、計画に合わせて研究を進められている。また、TAX1BP1相互作用因子の同定など新たな展開もあり、研究全体として当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までに作成した形状ラベル導入細胞を用いて、本領域の目標である液滴オートファジーのin-cell解析を進める。特にin-cell AFMでの液滴物性の計測に注力し、in-cellとin vitroでの物性の違いなどを明らかにする。また、液滴ミクロオートファジー特異的因子の同定に成功しており、その機能解析を進めるとともに、これまで分子レベルでの切り分けができていなかったマクロオートファジーとミクロオートファジーについて、それぞれを特異的に引き起こす変異細胞の樹立を行う。この細胞を用いてミクロオートファジーの生理的意義の解明を行い、さらに液滴分泌へと解析を進める。
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