研究領域 | 新興硫黄生物学が拓く生命原理変革 |
研究課題/領域番号 |
21H05260
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
和田 啓 宮崎大学, 医学部, 教授 (80379304)
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研究分担者 |
田中 良和 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (20374225)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
72,280千円 (直接経費: 55,600千円、間接経費: 16,680千円)
2024年度: 12,740千円 (直接経費: 9,800千円、間接経費: 2,940千円)
2023年度: 13,650千円 (直接経費: 10,500千円、間接経費: 3,150千円)
2022年度: 13,650千円 (直接経費: 10,500千円、間接経費: 3,150千円)
2021年度: 19,370千円 (直接経費: 14,900千円、間接経費: 4,470千円)
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キーワード | 超硫黄分子 / X線結晶構造解析 / クライオ電子顕微鏡解析 / 鉄硫黄クラスター / グルタチオン |
研究開始時の研究の概要 |
ごく最近、生体内において硫黄原子が複数連結した「超硫黄分子」が発見された。本研究では、タンパク質中における超硫黄分子の反応性/機能性を理論的に議論するために、原子・分子レベルでの「可視化」を進める。これまで超硫黄分子の原子レベルでの構造解析の前例がないことから、本研究では二つの異なる手法(X線結晶構造解析およびクライオ電子顕微鏡解析)を用いて可視化を目指す。本課題の成果は、現在謎に包まれている超硫黄分子を理論的に解釈できるようになるだけでなく、今後の応用展開に向けての理論基盤を与える。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、超硫黄分子種がもつ立体構造およびタンパク質への結合様式を原子レベルで可視化することである。タンパク質との相互作用によって初めて顕 在化する超硫黄分子の活性化状態、例えば分子内双極子モーメントや超原子価状態による触媒反応などを捉え、立体化学をベースに生理学的な意義に迫る。タン パク質と協働して機能する超硫黄分子の可視化を目指し、システインを生合成材料としている二つの系「鉄硫黄クラスター 生合成系」および「グルタチオン代謝 系」に加え、超硫黄分子の結合タンパク質にも着目する。X線結晶構造解析(電子密度解析)およびクライオ電顕解析(原子電荷粒子解析)を併用することで、タンパク質内でインタクトな超硫黄分子構造を明らかにする。本年度は以下の項目を実施した。 [1] 鉄硫黄クラスター合成の超硫黄分子結合型コア複合体の構造解析:前年度までに調製方法を確立した超硫黄分子結合型コア複合体を用いて、クライオ電子顕微鏡解析像の構造解析を進めた。 [2]超硫黄型グルタチオン、システインの調製:グルタチオン分解酵素、システイン分解酵素の機能解明に向けて、超硫黄型システインを酵素的に合成を予定していた。しかし、領域内の共同研究(九州大学 有澤美枝子 教授)により、有機合成的に超硫黄化合物を合成、精製して頂いた。これらの化合物を用いて、グルタチオン分解酵素の基質特異性などを測定した。 [3]超硫黄分子(オクタサルファー)結合タンパク質の探索・機能解析:前年度に発見したオクタサルファー結合タンパク質に関して、性状解析を進めた。このタンパク質は、オクタサルファー存在下でオリゴマー状態が変化することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題では、二つの系「鉄硫黄クラスター生合成系」および「グルタチオン代謝系」での超硫黄化合物の可視化を目指している。上記、[1]は鉄硫黄クラスター生 合成系、[2]はグルタチオン代謝系の成果であり、さらに[3]では新たなタンパク質をターゲットにしている。概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下の項目の実施を計画している。 ・超硫黄分子結合型コア複合体のクライオ電子顕微鏡解析像の構造解析を進める。 ・超硫黄型グルタチオンを用いてグルタチオン分解酵素の超硫黄認識機構をX線結晶構造解析により明らかにする。 ・これまでの研究により同定された新たな超硫黄分子結合タンパク質の性状解析、立体構造解析を進める。
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