研究領域 | 新興硫黄生物学が拓く生命原理変革 |
研究課題/領域番号 |
21H05267
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
澤 智裕 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (30284756)
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研究分担者 |
住本 英樹 九州大学, 先端医療オープンイノベーションセンター, 特任教授 (30179303)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
89,050千円 (直接経費: 68,500千円、間接経費: 20,550千円)
2024年度: 17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2023年度: 16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円)
2022年度: 17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2021年度: 22,360千円 (直接経費: 17,200千円、間接経費: 5,160千円)
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キーワード | 超硫黄分子 / NADPHオキシダーゼ / NO合成酵素 / 炎症 / 超硫黄 / カテネーション |
研究開始時の研究の概要 |
本課題では、これまで全く知られていなかったNADPHオキシダーゼ(Nox)およびNO合成酵素(NOS)ファミリーの新規超硫黄分子代謝機構の解明を目指す。具体的には、NoxとNOSがともにNADPH依存的に超硫黄分子を活性化する可能性を検討し、これらの酵素を、硫黄の酸化還元酵素という機能特性に基づき、NADPH:Sulfur Oxidoreductase (NSOR)として再定義する。さらに、活性酸素や一酸化窒素と超硫黄分子による抗菌・抗炎症制御のクロストークを明らかにして、NSOR活性に基づき抗菌・抗炎症を誘導するという新たな発想に立脚した超硫黄分子創薬を目指す。
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研究実績の概要 |
NADPHオキシダーゼ (Nox) はこれまで、Noxは酸素分子に電子を渡すことで、スーパーオキシド等を生成するとされてきた。しかし、最近、Noxファミリー因子であるNox2とNox4がそれぞれ、極めて効率よく超硫黄分子に電子を渡して、硫黄側鎖が伸長した高反応性の超硫黄分子を産生することを示した。さらに、一酸化窒素合成酵素NOSも同様の活性を有することを見出した。本課題では、NoxとNOSがともにNADPH依存的に超硫黄分子を活性化する可能性を検討し、これらの酵素を、硫黄の酸化還元酵素という機能特性に基づき、NADPH:Sulfur Oxidoreductase (NSOR)として再定義する。さらに、活性酸素や一酸化窒素と超硫黄分子による抗菌・抗炎症制御のクロストークを明らかにして、NSOR活性に基づき抗菌・抗炎症を誘導するという新たな発想に立脚した超硫黄分子創薬を目指す。本年度は、細胞内で超硫黄分子が活性化される場所、つまり細胞内のどこにNoxが局在化されるか、という点を解析した。Noxファミリー(ヒトではNox1からNox5およびDuox1とDuox2の7メンバー)は膜貫通型の酵素であるが、本研究により、上皮細胞ではそれぞれが異なる膜に局在することを示した。また本研究で、Nox1/2をapical膜に局在化させる分子機構について解析し、その局在化にはアダプタータンパク質GRAF3が必要であることを明らかにした。Trans-Golgi network (TGN)からrecycling endosomeを経てapical膜に輸送される過程にGRAF3が関与する(GRAF3のそのような役割は今まで全く知られていなかった)。さらにNoxタンパク質の安定化についても解析し、低酸素によってNox4の発現量が増加することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまで明らかではなかったNoxの細胞内局在についてそれらを制御する機構を含めて明らかにすることができた。これは本研究の目的である超硫黄のリモデリングにも大きく関わる可能性があり、今後の研究の方向性にも大きく寄与すると考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、昨年度に調製が完了した肺炎球菌由来Noxについて機能解析をすすめる。現在まで予備的な検討で、得られた肺炎球菌由来NoxがNADPHを酸化すること、さらにこの反応にGSSSGを基質として用いることを確認している。今年度はさらに、この反応物における超硫黄メタボロミクスを行い、酵素反応の詳細を解析する。さらにその大腸菌の酸化ストレス抵抗性を解析する。
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