研究領域 | 非ドメイン型バイオポリマーの生物学:生物の柔軟な機能獲得戦略 |
研究課題/領域番号 |
21H05276
|
研究種目 |
学術変革領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
廣瀬 哲郎 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 教授 (30273220)
|
研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
92,170千円 (直接経費: 70,900千円、間接経費: 21,270千円)
2024年度: 17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2022年度: 17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2021年度: 20,410千円 (直接経費: 15,700千円、間接経費: 4,710千円)
|
キーワード | lncRNA / RNA結合タンパク質 / 非膜オルガネラ / 天然変性領域 |
研究開始時の研究の概要 |
アーキテクチュラルRNA (arcRNA) は、天然変性領域 (IDR) を持つ複数のタンパク質を集約して細胞内相分離を誘発し、非膜オルガネラの形成を主導する非ドメイン型RNAである。本研究では、近縁種間でのarcRNAの配列保存性の低さに注目して、一次配列以外の規則性に則って共通の機能を獲得するための非ドメイン型バイオポリマー特有の分子機構を解明する。さらにその機構に関わるarcRNA領域とIDRタンパク質が、非膜オルガネラの物性を決定している機構も取り上げ、arcRNAとIDRという二つの代表的な非ドメイン型バイオポリマーが協調して機能を獲得するための基盤則の確立を目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究では、非ドメイン型lncRNAのモデルとしてNEAT1, PVT1, 新規な難溶性RNA種を対象として、その機能獲得機構の研究を進めている。一方で非ドメイン型lタンパク質のモデルとしてHSATIIIから翻訳されるタンパク質についても対象にしている。今年度は、NEAT1について、NEAT1が骨格となって核内で形成しているパラスペックルが、核スペックルという他の非膜オルガネラから分離して存在する機構の解析を進め、SFPQ, HNRNPF, BRG1という分離促進因子の機能ドメインの同定と作用機構に関する知見を得た。一方で、パラスペックルの核スペックルへの取り込みを促進する因子としてU2 snRNPを明らかにした。これによって、2つの非膜オルガネラの核内存在様式は、相反する機構のバランスから成り立っていることを明らかにし、現在論文をリバイス中である。PVT1については、長大なイントロンを含むRNA種が細胞核内に多く蓄積していることを明らかにし、そのうちintorn1内でトランケートするアイソフォームが蓄積して核内fociを形成していることを発見した。新規な難溶性RNAについては、次世代シーケンス解析から血清飢餓ストレスで誘導されるlncRNAを同定することに成功し、そのRNAが核内で非膜オルガネラ様のfociを形成していることを見出した。また500種類ものストレスによって誘導されたmRNAの3'末端が延長したDoGs転写物が難溶性を示し、核内でfociを形成していることを見出し、新たな非ドメイン型RNAと考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
NEAT1機能に関して2種類の非膜オルガネラの独立性獲得機構の新しい分子機構モデルを提唱する論文作成し、一流ジャーナルにリバイスの状態にまでこぎつけることができた点、難溶性RNA-seqで得られたRNAの中から多数の核内foci形成能を持つRNA種を見出したことなど、今後の研究方向性を決定づけるような計画以上の新しいデータが得ることができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
新規な難溶性RNAを含めた多数の非ドメイン型RNAが同定されたので、それらが示す核内foci形成機能を、これまでに解析してきたNEAT1で得られた知見を参考に詳細に解析していくことによって、非ドメイン型lncRNAの基盤的な作用機構の解明に至らせることを目指したい。
|