研究領域 | デジタルバイオスフェア:地球環境を守るための統合生物圏科学 |
研究課題/領域番号 |
21H05317
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅳ)
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
小林 秀樹 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(北極環境変動総合研究センター), グループリーダー代理 (10392961)
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研究分担者 |
甘田 岳 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 学振特別研究員 (70907914)
Eko Siswanto 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), 主任研究員 (90726762)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
111,930千円 (直接経費: 86,100千円、間接経費: 25,830千円)
2024年度: 21,320千円 (直接経費: 16,400千円、間接経費: 4,920千円)
2023年度: 21,450千円 (直接経費: 16,500千円、間接経費: 4,950千円)
2022年度: 21,320千円 (直接経費: 16,400千円、間接経費: 4,920千円)
2021年度: 26,260千円 (直接経費: 20,200千円、間接経費: 6,060千円)
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キーワード | 森林生態系 / 沿岸海洋生態系 / 生物多様性 / 生態系機能計測 / リモートセンシング |
研究開始時の研究の概要 |
アジア圏では人口の40%が沿岸から100km以内(60%が400km以内)に密集し、陸上生態系と沿岸海域が密接にリンクして生物圏システムを形成している。本研究では森林生態系と沿岸生態系に着目し、生物圏の二酸化炭素交換量やバイオマス生産の推定のための生態系の機能、構造、多様性の地理空間情報の観測を行う。本課題で得られる新しい生物圏地理空間情報と既存の空間情報を統合することで、デジタルバイオスフィアに最適化した新たな生物圏地理空間データの創出を目指す。また、得られた生態系機能・多様性データを解析し、アジア地域を中心として人間活動や気候変動が生物群集に与える影響を評価する。
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研究実績の概要 |
2022年度は本課題では下記3つの研究課題のうち主に課題1と課題2を中心に研究を進めた。 (課題1)航空機データによる生物圏情報の抽出手法の開発 (課題2)衛星観測データによる広域スケールへの適用 (課題3)生物圏データの地理空間情報の統合とモデルへの活用 課題1については、沿岸と森林のサイト(計2サイト)でフィールドキャンペーンを実施した。東京湾における赤潮観測では、2022年7月24日に航空機ハイパースペクトルセンサ(CASI)を用いて東京湾北部で2パス(2km x 26km)の赤潮発生海域のイメージング画像の取得に成功した。また、同日のAqua/MODIS, Sentinel-3 OLCI, Suomi/VIIRSのデータを取得して航空機観測データとの比較を行った。現場観測については、同期観測は実現できなかったものの、8月から9月にかけて小型船舶による現地調査を実施した。その他、新規雇用のポストドクトラル研究員が中心となり、タイランド湾での船舶調査を実施して、衛星観測の検証データの取得を進めた。森林においては、アラスカのクロトウヒ林において、NASAのプロジェクトと連携し、航空機ハイパースペクトルセンサAVIRIS-NGの観測に合わせて同期観測(分光反射率データの取得)を実施したほか、植物形質情報の取得などを行った。また、ハイパースペクトルドローンの開発を進めた。この新規開発のドローンは、2023年度以降により高解像度のイメージング画像を取得するために利用する予定である。課題2については、沿岸観測ではGCOM-C/SGLIやHISUIデータを中心に観測データを収集し、タイランド湾赤潮ブルームの検出や北海道厚岸沖で発生した赤潮の検出を行った。得られた結果の一部は論文として投稿し受理されたほか、国際学会で解析結果を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、当初の予定通り、沿岸生態系及び森林地域での航空機及び地上フィールドキャンペーンを実施することができた。ただし、沿岸域の赤潮観測については、当初、有明海での観測も計画していたが、航空機運行委託先との打ち合わせの結果、2つのサイトで特定の時期に快晴時の赤潮データを取得することは難しいという結論になり、東京湾での観測に集中することになった。東京湾では航空機の観測データは予定通り取得できた。アラスカの森林では当初の予定通り航空機と現場での観測が取得できたことから、今後はこれらのデータの分析を進め、植生機能情報と分光データの比較結果を取りまとめる。高解像度ハイパースペクトルデータを取得するために開発を進めてきたドローンシステムについては、当初の予定よりも備品の調達や測器の開発が遅れたものの、無事完成し、テストフライトを行って、複数のサンプル画像を取得することができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、取得した高解像度の航空機データの解析やハイパースペクトルデータによる赤潮検出アルゴリズムの開発を進めつつ、衛星データによるアジア地域の広域赤潮検出や北海道厚岸沖などの特定の赤潮発生地域のデータ解析を進める。衛星による赤潮マッピングについては、データ処理及び公開システム(A-COP)の開発を進めており、2023年度はプロトタイプを完成させる予定である。また、アラスカの森林では当初予定通り航空機と現場での観測が取得できたことから、次年度以降はHISUI, EnMap, PRISMAなどの衛星ハイパースペクトルデータの収集と解析に移行する。また、国内の森林サイトとして北海道苫小牧市の北海道大学苫小牧研究林にて、ドローン観測を含めたマルチスケールの森林機能観測を進める予定である。
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