配分額 *注記 |
24,310千円 (直接経費: 18,700千円、間接経費: 5,610千円)
2011年度: 12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
2010年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
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研究概要 |
二酸化炭素は炭素化合物の燃焼最終生成物であり,熱力学的に安定な,不活性な化合物である.一方で,二酸化炭素は安価で豊富な炭素資源であり,その有効利用は科学的興味に留まらず,社会的にも大きなインパクトをもつ.二酸化炭素を活性化し有機合成にもちいるには,より安定な結合を生成する系を選び,かつ反応の活性化エネルギーを下げる触媒を開発しなければならない.本研究では,二酸化炭素の活性化を鍵とする以下の二つの反応について,新規9族金属錯体の開発に重点をおき触媒開発に取り組み、以下の成果を挙げた。 1)二酸化炭素還元反応の高活性化と可逆性の検討 われわれが開発したピンサー配位子をもつイリジウム錯体は,水酸化カリウム存在下での二酸化炭素と水素の反応で,これまでで最高の活性を示した.この塩基をトリエタノールアミンに変更することで逆反応であるギ酸の分解も行えることを示した。水素の安定的な貯蔵方法としてギ酸を用いる可能性を拓いた。 2)エポキシドと二酸化炭素の交互共重合反応の触媒開発 これまでの研究で最も高い活性を示していたクロムやコバルトのサレン錯体に代えて、チタンやゲルマニウムなどの錯体が触媒作用を示すことを明らかにした。クロムやコバルトが3価の金属であり、サレンがジアニオン配位子だったのを、チタンやゲルマニウムなどの4価金属に変更した際、配位子もトリアニオン性にしてトータルの電荷を保ったことが成功の鍵である。より低毒性の金属を用いられるようになったことで、生成物の利用範囲が格段に広がった。
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