計画研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究の目的は、固体表面を媒体として様々な金属錯体や金属ナノ構造を構築して、酸化物固体表面で新しい触媒活性金属錯体構造や触媒反応場を創出し、直截的物質変換に発展させることである。平成22年度は、イリジウムダイマーやルテニウムクラスターをγ-アルミナやK-ドープしたγ-アルミナ、シリカ等の酸化物固体表面に含浸法で固定化し、適当な温度で加熱真空排気や水素処理を行うことによって、固定化イリジウムダイマーや固定化ルテニウムクラスターを調製した。これらの表面で形成される固定化クラスター錯体の構造は、in-situ FT-IR、固体NMR、拡散反射紫外可視分光スペクトル、XRD、XRF、ICP、X線吸収微細構造法、DFT計算等の構造解析手法によって解析した。γ-アルミナ表面に固定化したイリジウムダイマーが、イソプロパノール中、343Kで様々なケトン類の水素移動反応に有効であることを見出し、その触媒特性を明らかにした。一方、同触媒を二酸化炭素と水からのギ酸生成光反応に応用したところ、紫外光照射触媒反応中に固定化イリジウム種が顕著に溶出してしまうことがわかった。また、K-ドープγ-アルミナに担持したルテニウムクラスターが、常圧の水素下、363Kでニトリル類の選択水素化に高い活性と選択性を示すことも明らかにした。また、高い酸素吸蔵・放出能を有するセリウム系複合酸化物固溶体を利用した新しい金属ナノ触媒の開発のために、セリウム-チタン酸化物固溶体を文献に従って合成し、その表面にニッケルを担持したニッケル担持セリウム-チタン複合酸化物固溶体を調製した。XRD、ICP、BET、TPO、TPR、XAFSによる構造解析を行い、調製したニッケル担持触媒の酸素吸蔵・放出能力を明らかにした。
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