計画研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
がん微小環境を構成する微小血管内皮細胞に発現する転写因子GATA2に着目し、GATA2 knockdown条件下での全ゲノム発現アレイと全ゲノム上で転写因子GATA2の結合している領域を探し出す.GATA2-ChIP-seqを用い、微小血管内皮細胞でGATA2が存在している意義付けを調査した結果、GATA2は内皮としての機能維持に重要な遺伝子(内皮特異的因子)のほとんどの制御領域に結合していること、実際にGATA2が結合することでそのターゲット遺伝子において発現上昇していることが明らかとなった。特に新規GATA2依存性の内皮特異的因子エンドムチンを見出し、これがないと増殖因子依存性の血管の遊走能、3次元管腔構造形成能に支障が生じてくることを見出した。さらにゲノムワイドChIP-seqとchromosome conformation capture(3C)アッセイからエンドムチンの転写開始点近傍と139kbp上流の遠く離れた領域にGATA2が強く結合し、これらの領域が、エンハンサーとしてのヒストン修飾を受けてGATA2依存的に内皮細胞特異的なクロマチン高次構造を取ることで内皮特異的にエンドムチン発現が生じることを初めて明らかにした。一方、GATA2がないと逆にTGF-β,snail,slug,HMGA2,SM-actinの発現上昇が生じることが全ゲノム発現アレイから認められ、このことは内皮マーカーと間葉系マーカーを用いた免疫染色とFACSデータからも確認された。即ち、安定的に分化した微小血管内皮細胞でもGATA2がなくなると、内皮としての特質が失われ、一部、内皮-上皮形質転換(EndMT)が生じることを明らかにした。
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