研究領域 | 税務データを中心とする自治体業務データの学術利用基盤整備と経済分析への活用 |
研究課題/領域番号 |
22H05009
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅰ)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
近藤 絢子 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (20551055)
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研究分担者 |
深井 太洋 学習院大学, 経済学部, 准教授 (50828803)
重岡 仁 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部・教育部, 教授 (60900008)
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研究期間 (年度) |
2022-05-20 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | Child Penalty / 就労調整 / 生活保護 |
研究開始時の研究の概要 |
自治体の行政記録情報である税に関する『業務データ』および福祉関係の情報との接合データを用いることで、個人や世帯の経済状況を正確に把握し、ライフイベントに伴う労働供給の変化や、税・社会保障をはじめとする諸制度の変化に対する家計の反応を明らかにする。 具体的には以下の研究課題について分析を進めていく。 課題1. ライフイベントごとの所得及び就労状態の推移 課題2. 税制や社会保険制度に対する個人の反応とその背後にある構造パラメターの推定 課題3. 税務・医療情報と被保護者情報の接続による生活保護リスクの分析
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研究実績の概要 |
ライフイベントに伴う労働供給の変化や、税・社会保障をはじめとする諸制度の変化に対する家計の反応を理解することは、適切な政策設計に欠かせない。しかし既存のサーベイ調査に基づくデータでは、正確な所得の把握が難しく、特に日本において実証分析の蓄積が遅れてきた。本研究では自治体の行政記録情報である税に関する『業務データ』を用いることで、個人や世帯の所得を正確に把握し、その情報を用いて精緻な分析を行う。具体的には以下の研究課題について分析を進めた。 課題1. ライフイベントごとの所得及び就労状態の推移:出産後に母親の就業率や収入が急激に下がる現象はChild penaltyと呼ばれ、男女間賃金格差の解明や家族政策に関する制度設計に重要な指標である。この計測のために、出産前後における同一人物の就業状態や収入を比較する。本年度はまず、欧米での先行研究と同様の手法により、業務データを用いて所得におけるChild penaltyを測定し、各自治体についての暫定的な推計値を得た。 課題2. 税制や社会保険制度に対する個人の反応:まずは配偶者控除や社会保険の扶養の所得制限に合わせた就労調整による収入分布の偏りを明らかにした。加えて、2018年の配偶者特別控除の制度変更やライフイベントの前後での収入分布の変化などについて記述的な分析を行い、ディスカッションペーパーとして公表した。 課題3. 税務・医療情報と被保護者情報の接続による生活保護リスクの分析:本領域の学術利用基盤整備班(A04)と連携しながら、まずは生活保護に関する情報と税務データの接合が可能な自治体を特定した。学術利用基盤整備班(A04)が2024年度初めのデータの取得に向けて自治体と連携し作業している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題1と2に関しては順調に分析を進めており、とくに課題2についてはディスカッションペーパーを取りまとめて公開するなど予定よりやや早く進んでいる。一方で課題3についてはやや遅れており、平均するとおおむね順調な推移といえる。
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今後の研究の推進方策 |
本領域の学術利用基盤整備班(A04)より2023年度のデータが提供され次第、拡張した分析を行う。また、課題3でもちいる福祉データについても2024年度の早い時期に提供される見込みであり分析を始める。
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