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neo-PTMsの生命機能解析

計画研究

研究領域人工翻訳後修飾:neo-PTMsが造る細胞内ケミカルネットワーク
研究課題/領域番号 22H05020
研究種目

学術変革領域研究(B)

配分区分補助金
審査区分 学術変革領域研究区分(Ⅱ)
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

島津 忠広  国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (10618771)

研究期間 (年度) 2022-05-20 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
40,170千円 (直接経費: 30,900千円、間接経費: 9,270千円)
2024年度: 13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
2023年度: 13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
2022年度: 13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
キーワード翻訳後修飾 / neo-PTMs / 人工翻訳後修飾 / メチル化修飾 / SAM / ケミカルバイオロジー
研究開始時の研究の概要

生物はATP、SAM、アシルCoA等を、“天然の化学修飾試薬”として生体因子を化学的に修飾することで、生命機能調節に用いていることが知られている。ヒトを始めとした真核生物では、DNAメチル化修飾やヒストンの翻訳後修飾 (post-translational modifications; PTMs) はエピジェネティクス調節、疾患等に重要な役割を果たす。本研究では自然界に存在するPTMsに限定せず、化学的(A01:山次)あるいは、酵素的(A02:五月女)に導入可能なneo-PTMs(人工的に引き起こされる翻訳後修飾)について、これらが生命機能に果たす役割を明らかにしたい。

研究実績の概要

本年度も引き続き、自然界であまり知られていない翻訳後修飾であるタンパク質のHis残基に起こるメチル化修飾について着目した研究を実施した。その結果、これまで個体レベルでの生命機能が不明であったHis残基メチル化酵素であるMETTL18がマウスの膵臓で高発現しており、これに一致してRPL3のHisメチル化が膵臓で顕著であること、Mettl18ノックアウト(KO)マウスではメチル化が完全に消失することが分かった。KOマウスは半致死性を示し、生存したマウスは低体重であった。さらに、KOマウスでは血中インスリンが低下し、耐糖能が増悪することが判明した。KOマウスの膵臓では特定のタンパク質、特にYコドンに富んだタンパク質の蓄積が見られたが、このことは動物細胞で見られた結果と一致していた(2021, Matsuura, Shimazu et. al. )。さらに、タンパク質のアグリゲーションは小胞体ストレス応答(UPR)を引き起こすことから、UPR経路の活性化を検証したところ、PERKのリン酸化が亢進することや、IL-6やIL-1beta等の炎症性マーカーの発現亢進が起きていた。以上から、Mettl18欠損は膵臓において異常タンパク質の蓄積、炎症を誘起して膵beta細胞におけるインスリン産生を低下させることで低体重、高血糖などの糖尿病様の表現型を示すことが示唆された。
また、人工翻訳後修飾の研究ではChIP-seq解析により、H3K9メチル化をゲノムワイドに測定したが、顕著な違いは見られなかった。今後は、特定のメチル化酵素の過剰発現やノックアウトなどを組み合わせることで、人工翻訳後修飾(neo-PTMs)が駆動するエピジェネティクス変化を明らかにしたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題では、人工的な翻訳後修飾、およびこれまで自然界であまり存在が知られていない翻訳後修飾について、その生理的意義を明らかにすることを目的としている。このうち、Hisメチル化修飾に関する研究については、今年度予定通りに解析が進み、Mettl18が果たす動物個体での生命機能のが明らかとなりつつある。一方で、非天然型のSAMが果たす役割については、当初の計画に従ってChIP-Seq解析を行った。結果としては、非天然型SAMを導入しても培養細胞ではヒストンH3K9のメチル化レベルに有意な差は認められなかった。この原因としては、1.細胞内で非天然型SAMと天然型SAMは自然に異性化が進行すること 2. 内在性のSAMが十分に存在する状況で実験を行っていること 3. 内在性のヒストンメチル化酵素が存在する状況で実験を行っている などが考えられた。H3K9メチル化酵素のKO細胞やそのレスキュー細胞を用いて、SAMを導入するとともに酵素の発現をONにする等の工夫により、細胞内での非天然型の役割が明らかにできる可能性がある。以上の進捗状況を総合的に判断して、概ね計画通りであると考えられる。

今後の研究の推進方策

次年度は、これまでに実施してきた1. 人工翻訳後修飾によるエピジェネティクスに関する研究、2.マウス個体におけるメチル化修飾の役割について、それぞれ論文発表に必要なデータを取得して論文発表を目指すとともに、3. 人工翻訳後修飾による代謝調節に関する研究を進めたい。

報告書

(2件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Nanyang Technological University(シンガポール)

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] Histidine N1-position-specific methyltransferase CARNMT1 targets C3H zinc finger proteins and modulates RNA metabolism2023

    • 著者名/発表者名
      Shimazu Tadahiro、Yoshimoto Rei、Kotoshiba Kaoru、Suzuki Takehiro、Matoba Shogo、Hirose Michiko、Akakabe Mai、Sohtome Yoshihiro、Sodeoka Mikiko、Ogura Atsuo、Dohmae Naoshi、Shinkai Yoichi
    • 雑誌名

      Genes & Development

      巻: 37 号: 15-16 ページ: 724-742

    • DOI

      10.1101/gad.350755.123

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 合成コファクターが明らかにしたタンパク質His残基メチル化修飾2023

    • 著者名/発表者名
      島津 忠広
    • 学会等名
      第23回日本蛋白質科学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] neo-PTMsプローブが明らかにしたタンパク質ヒスチジン残基メチル化修飾2023

    • 著者名/発表者名
      島津 忠広
    • 学会等名
      第96回日本生化学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] タンパク質His残基メチル化修飾の生理機能2023

    • 著者名/発表者名
      島津 忠広
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] タンパク質ヒスチジン残基メチル化修飾によるスプライシング制御2023

    • 著者名/発表者名
      島津 忠広, 芳本 玲, 鈴木 健裕, 赤壁 麻衣, 五月女 宜裕, 袖岡 幹, 堂前 直、眞貝 洋一
    • 学会等名
      第16回日本エピジェネティクス研究会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Molecular biological analysis of protein histidine methyltransferase in skeletal muscle2023

    • 著者名/発表者名
      五輪 愛未, 島津 忠広, 眞貝 洋一
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] neo-PTMsプローブを用いたタンパク質ヒスチジン残基メチル化酵素の発見とその機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      島津忠広
    • 学会等名
      日本薬学会第143年会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [備考] 人工翻訳後修飾:neo-PTMsが造る細胞内ケミカルネットワーク

    • URL

      https://neo-ptms.com/

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書 2022 実績報告書

URL: 

公開日: 2022-05-25   更新日: 2024-12-25  

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