研究領域 | 構造不規則系のレオロジー:アナンケオン動力学の確立 |
研究課題/領域番号 |
22H05041
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 豊田工業大学 |
研究代表者 |
椎原 良典 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90466855)
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研究分担者 |
Ivan Lobzenko 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 博士研究員 (30802293)
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研究期間 (年度) |
2022-05-20 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
26,260千円 (直接経費: 20,200千円、間接経費: 6,060千円)
2024年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2023年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2022年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
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キーワード | 金属ガラス / 第一原理計算 / 機械学習 / 分子動力学 / アナンケオン / 分子動力学法 / ニューラルネットワーク / 塑性 / 原子応力 |
研究開始時の研究の概要 |
ガラスはその非晶質性から卓越した材料機能を持つ.ガラスの産業利用を拡大するには,容易に割れないように塑性能を付加することが必要不可欠である.しかしながら,ガラスの塑性能発現機構は未解明である.原子レベルの不可逆的構造変化が集団的に励起され相互作用することがすべり帯の発生に繋がると考えられているが,その原子レベルの励起子の素性が明らかでない.本研究では,この励起子をアナンケオンと呼称し,その正体を解明する.一体どのような原子構造・幾何構造・電子構造を持つものか,どのように相互作用し集団励起へと発展するのかを明らかとする.
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研究実績の概要 |
本研究では,金属結晶における転位と同様の概念としてガラス構造体における塑性変形素子を定義し,それをアナンケオンと呼称する.今年度研究では,金属ガラスにおけるアナンケオンの素性をより詳細に調査するために,EAMポテンシャルによる金属ガラスせん断シミュレーションを実施しその結果を吟味した. 具体的には,金属ガラスにAthermal QuasiStatic (AQS)法を通じてせん断変形を与え,そこで起こる応力緩和イベントを調査する.今年度実施した内容は,(1) 金属ガラスにおける擬弾性変形と塑性変形の確認,(2) 振動解析による変形モードの確認,(3) 原子応力解析,原子結合解析,原子変位解析によるイベントの素性の調査,の3点である.それぞれの概要を以下に記述する. (1)においては,与えたせん断変形を再び除荷すると構造と応力が元の状態に戻る擬似的な弾性変形を対象とする3次元の金属ガラスにおいて見出し,これを擬弾性変形と呼称した.また同様の過程の中でも,除荷しても構造と応力が元の状態に戻らない変形があることを見出し,これを塑性変形と呼称した.これらのイベントは3次元の金属ガラスにおいては十分に議論されていない.Nudged elastic band解析を通じて,それらのエネルギーランドスケープとひずみの関係を明らかとした.(2)ではこの擬弾性変形イベントに着目し,その振動解析によるモードを特定した.この作業を通じて,擬弾性変形イベントには前駆的な原子群の運動があることが明らかとなった.(3)では,イベントにより,応力変化・結合変化・原子変位が起こった原子群をそれぞれの解析により特定し,その空間分布やパターンを調査した.これらの現象は概ね同一の原子群で起こっているが,個々の原子量としては強い相関が取れない.このことから,イベントの主体が群であることを見出した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度成果を通じて,アナンケオンとして解明すべき現象の素性が概ね明らかとなったためこの評価とした.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である今年度は,アナンケオンの解明に向けて以下の3点の研究項目を遂行する.(1) 擬弾性変形イベントにおける構造変調パターンの解明,(2) 擬弾性変形イベントから塑性変形イベントに発展する条件の解明,(3) 機械学習分子動力学による同様の解析の実施.特に,(1)と(3)については,比較的最近の機械学習技術であり,近年のガラス研究でも注目されている,グラフニューラルネットワークの援用を検討している.新しい手法を通じて,パターン特定の実現と原子シミュレーションの高精度化を目指したい.
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