研究領域 | パラサイトミメティクス:寄生虫が持つ高度機能因子の同定とその利用 |
研究課題/領域番号 |
22H05059
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
八田 岳士 北里大学, 医学部, 准教授 (00455304)
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研究期間 (年度) |
2022-05-20 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
40,170千円 (直接経費: 30,900千円、間接経費: 9,270千円)
2024年度: 13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
2023年度: 13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
2022年度: 13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
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キーワード | 吸血性節足動物 / 唾液 / 薬理物質 / 創薬研究 / 外部寄生虫 / 唾液分子 / 産業応用 / 免疫抑制 / 抗血液凝固 / 血管新生抑制 / マダニ / ワクモ |
研究開始時の研究の概要 |
宿主動物に対し「寄生されていることすら気づかせない」寄生生物が独自に発達させた生存様式については、未だ十分に着目されているとはいいがたい。とりわけマダニ等の吸血性節足動物が保有する唾液生理活性物質については、医薬品としての創薬を前提に多くの有用分子が発掘されてきた経緯があるにもかかわらず開発途上の段階にある。そこで本研究では、吸血性節足動物、特にマダニの唾液物質における抗アレルギー作用、血管新生抑制作用および抗血液凝固作用について、Functional Screeningを中心に研究を推進し、既存薬との対比を行うことで革新的な「マダニ唾液物質由来の創薬R&D」を目指す。
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研究実績の概要 |
外部寄生虫として存在する多様な吸血動物において、「薬剤師」とも称される動物はマダ ニをおいて他にいない。なぜならマダニは私たちの体表に長期間寄生して、多種多様な薬理物質を宿主体内に放出しながら吸血を成し遂げる必要があるからである。本研究は、マダニ唾液物質の中でも、有用性の点でイノベーションが期待できる①抗アレルギー物質、②抗血液凝固物質、③血管新生抑制物質について、作用メカニズムを解明することにより、分子機能・構造など科学的根拠に裏付けられた新薬創製のシーズを得ることを目的としている。本年度は、まず高解像度Sialome解析を主に行った。未吸血、吸血開始後1,2,3,4日目、および飽血直後のマダニより唾液腺を回収し、全RNAを用いたRNAseq解析およびAlphaFold2を用いた分子高次構造予測と計算科学的解析による分枝ドッキングシミュレーション解析により、唾液腺内発現分子の同定と発現動態の解析、および宿主分子に対する分子間相互作用の予測により抗アレルギー、抗止血、または血管新生抑制物質に関わる分子を選抜した。特に、宿主ケモカインとの結合が予測されたHlCBP1遺伝子については、RNAiによる機能抑制の結果、刺咬部位にT細胞が有意に集簇していることを発見した。すなわち本分子がT細胞遊走阻害機能を有する可能性がある。そこで、ドッキングシミュレーションを行ったところ、本分子はCXCL1ケモカインのレセプター結合部位に対する高い結合性(S値:-43.5268)を有する可能性を見出した。その他のケモカインに対する結合性についても同様にシミュレーションする予定である。一方、HlCBP1を安定的に発現する293細胞の樹立にも成功した。現在、in vitroでの結合活性について検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していたプロテオーム解析であるが、研究資材であるマダニの増産がかなわず断念した。そのため、トランスクリプトームデータを元に得られた予測アミノ酸配列から、高次構造を予測し、計算化学的にドッキングシミュレーションを行う方法にて代替することとした。このため、当初計画とは異なる手段をとることとなったため、やや遅れているという評価となった。
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今後の研究の推進方策 |
HlCBP1については、安定発現293細胞の樹立に成功したが、その他のマダニ唾液分子については、種類によって発現が成功する場合と困難な場合があった。そこで、293細胞だけでなく、昆虫細胞におけるウイルスフリー発現系についても考慮することとした。他方、キチナーゼ、チマダニン、ヒスタミン結合タンパク質などと相同性の高いものがあり、これらの細胞株樹立についても検討していく。これにより、以下の実験系を適宜進めていく予定である。 ①抗アレルギー物質のスクリーニング:マダニ唾液分子発現293細胞の培養上清を用い、LPSなどで刺激したマクロファージ、T細胞 あるいはDCに対するIL6など炎症性メディエーター発現に及ぼす影響を評価する。効果の高い分子については、モデルマウス(IL-33Tg)などを用いて評価を行う。 ②抗止血物質の解析:上記と同様に培養上清を用い、APTT法やPT法などのクロット析出時間を指標に評価する。効果の高い分子については、LPSまたはTF誘導DICモデルマウスを用いて動物の生存時間,生存率を指標に評価を行う。 ③血管新生抑制物質の解析:上記と同様に培養上清を用い、HUVECなどの血管内皮細胞の増殖率や脈管形成率を指標に評価する。効果の高い分子については、メンブランチャンバー法を用いてHT-1080細胞が惹起する新生血管の視野占有率を指標に評価を行う。
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