研究領域 | 性染色体サイクル:性染色体の入れ替わりを基軸として解明する性の消滅回避機構 |
研究課題/領域番号 |
22H05071
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
風間 裕介 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (80442945)
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研究期間 (年度) |
2022-05-20 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
26,650千円 (直接経費: 20,500千円、間接経費: 6,150千円)
2024年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2023年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
2022年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
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キーワード | 性染色体 / 雌雄異株植物 / ヒロハノマンテマ / X染色体 / 染色体消滅 / 性染色体消滅 |
研究開始時の研究の概要 |
ナデシコ科雌雄異株植物ヒロハノマンテマ(Silene latifolia)のY染色体に座乗する性決定遺伝子(GSF)と、X染色体に座乗する性決定補助遺伝子(GPF)の機能と進化過程を解明し、「植物性染色体の進化におけるX染色体の性決定機能分担のメカニズム」を明らかにする。 Y染色体上に存在する、めしべの発達を抑制(オス化)するGSF遺伝子の候補、およびX染色体上にめしべの発達を促進する(メス化)遺伝子GPFの候補について、それぞれのコピー数を変動させて花の形態構造を詳細に観察する。本実験を通して、Y染色体が消失しても性は消滅せず、X染色体によって性的二形性が保たれるかどうかを検証する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、ナデシコ科雌雄異株植物ヒロハノマンテマ(Silene latifolia)のY染色体に座乗する性決定遺伝子(GSFY)の進化と、X染色体に座乗する性決定補助遺伝子(GPF/SlWUS1)の進化を解明し、「植物性染色体の進化におけるY染色体とX染色体の性決定機能分担のメカニズム」を明らかにすることである。雌雄異株植物は、両性花植物から進化したと考えられている。XY型の場合、Y染色体上に雌ずいの発達を抑制する遺伝子(GSFY)と、雄ずいの発達促進する遺伝子との2つの性決定遺伝子が必要である。このうち代表者らは、昨年度 GSFYを同定し、シロイヌナズナのCLV3遺伝子オーソログであることを明らかにした。さらに、シロイヌナズナにおいてCLV3遺伝子と逆に雌ずいの発達を促進するWUS遺伝子が、X染色体上に座乗することも明らかにした。 常染色体にも、CLV3のオーソログとWUSのオーソログが1コピーずつ存在する。すなわちCLV3はY染色体と常染色体に、WUSはX染色体と常染色体に存在する。これらの遺伝子のコピー数の比(WUS/CLV3)を求めると、オスでは1、メスでは2となることから、コピー数比によって雌しべの発達制御機構をうまく説明できる。一方で、シロイヌナズナなどの両性花植物ではコピー数比が1でもメスのように雌ずいが発達することから、ヒロハノマンテマのGSFYは強力な雌蕊抑制能を持つことが示唆された。そこで、GSFY及びSlCLV3の機能解析を行い、GSFYの機能強化について検討した。その結果、GSFYペプチドの活性がSlCLV3の活性よりも高いこと、雌ずい原器ではGSFYの発現量がSlCLV3の発現量と比較して高いことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SlCLV3をクローニングし、発現様式と生理活性に関するデータを予定通りに取り終えた。その結果、GSFYとSlCLV3の機能及び発現の違いを明らかにし、GSFYがSlCLV3よりも強い機能をもつことが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、GSFYとSlCLV3との受容体への結合活性の違いを調査し、GSFYとSlCLV3の生理活性の違いを受容体への結合力の違いで説明できるかどうかを検証する。さらに、これらのCLV3ペプチドを作用させた場合のSlWUS1及びSlWUS2の発現量への影響を調査し、WUS/CLV3系でヒロハノマンテマの雌ずい発達制御機構を説明しうるかを検証する。その上で、Y染色体が消滅した場合に、X染色体上のSlWUS1の発現量やコピー数の変化によって性決定が行えるかどうかを実証していきたい。
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