研究領域 | プラスチド相転換ダイナミクス |
研究課題/領域番号 |
22H05075
|
研究種目 |
学術変革領域研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
岩瀬 哲 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 上級研究員 (40553764)
|
研究分担者 |
藤井 祥 弘前大学, 農学生命科学部, 助教 (20867717)
|
研究期間 (年度) |
2022-05-20 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
36,010千円 (直接経費: 27,700千円、間接経費: 8,310千円)
2024年度: 11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
2023年度: 11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
2022年度: 12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
|
キーワード | 色素体 / 分化可塑性 / リプログラミング / 核様体 / 再生 / 遺伝子発現制御 / カルス / 転写因子 / 葉緑体 / アミロプラスト / ストロミュール / アンカー型タンパク質 |
研究開始時の研究の概要 |
色素体(プラスチド)の分化可塑性は細胞の分化可塑性と相互依存的であるが、両者の分子レベルでの関係はほとんど明らかになっていない。本研究では、色素体と核、両方のゲノムに着目することで、色素体が細胞と協調的に相転換する分子機構を解き明かす。色素体のダイナミックな分化転換が起こる2つの系、葉緑体からプロプラスチド/アミロプラストへの分化転換、プロプラスチドからアミロプラストへの分化転換のメカニズムに迫る。トランスクリプトーム解析、プロテオーム解析を基盤として色素体と細胞の相転換を協調的に制御する候補遺伝子を特定し、その因子の機能を遺伝学的、生化学的アプローチにより明らかにする。
|
研究実績の概要 |
色素体(プラスチド)の分化可塑性は細胞の分化可塑性と相互依存的であるが、両者の分子レベルでの関係はほとんど明らかになっていない。本研究では、色素体と核、両方のゲノムに着目することで、色素体(プラスチド)が細胞と協調的に相転換する分子機構を解き明かす。主として色素体のダイナミックな分化転換が起こる2つの系、葉緑体からプロプラスチド/アミロプラストへの分化転換、プロプラスチドからアミロプラストへの分化転換のメカニズムに迫る。初年度として色素体の相転換に影響を与える候補因子を選抜することを研究目的とした。これまでの申請者ら研究から、発現誘導後に短時間で葉緑体のクロロフィル量変化を誘発する複数の転写因子等を見出している。これらの因子の発現誘導後のトランスクリプトーム解析およびこれらの因子と結合するDNA領域の機能ゲノミクス解析等を行い、色素体局在や色素体DNA複合体(核様体)との相互作用、あるいは色素体コード遺伝子の発現への影響を指標に、色素体分化に強い影響を与えうる候補因子を選抜した。また、植物の通常の発生段階において、色素体の変化が顕著に起こる細胞種に着目し、既存のデータや、新規に取得する色素体、細胞レベルのオミクスデータから色素体分化に影響を与える候補因子の選抜を試みた。これらの因子の一過的な過剰発現系や、機能欠損植物体を用いたストレス付与実験等から、実際に色素体の形態や機能の変化が起こることを確認し、機能解析を遂行する候補因子を複数選抜することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
選抜した因子が実際に色素体の相転換に影響を与えうるか検証するためのハイスループットな実験系を立ち上げるために、色素体をターゲットにした機能性ペプチドを用いた遺伝子デリバリーシステム、マイクロボンバードメント法など種々の手法を検討した。しかしながら、当初の想定に反し、ハイスループット解析の再現性が悪く、色素体の分化に影響を与える候補因子の絞り込みが当初の計画よりも遅れてしまった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、初年度に選抜した候補因子の機能解析の中で実際の色素体の変化を詳細に捉えることが必須である。このため、選抜してきた候補因子の一過的な過剰発現系や、機能欠損植物体を用いたストレス付与実験系等における色素体の変化を、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて経時的に観察する。また、候補因子の機能発現にはパートナーとなる別の因子が必要であることを仮定し、それらの因子を単離するためにプルダウン法などを用いて高解像度なタンパク質のプロテオーム解析を行う。研究遂行上、色素体の分化に影響を与えうる新規候補因子の選抜のためには、よりハイスループットな機能解析系が望ましいため、初年度に試すことができなかった方法についても取り組む。既に選抜さえてきた候補因子に関しては、遺伝学的・生化学的アプローチにより色素体相転換の分子メカニズムを明らかにしていく。
|