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発達期の脳多元自発活動による小脳ネットワークのデザインビルド

計画研究

研究領域脳多元自発活動の創発と遷移による脳のデザインビルド
研究課題/領域番号 22H05093
研究種目

学術変革領域研究(B)

配分区分補助金
審査区分 学術変革領域研究区分(Ⅳ)
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

上阪 直史  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (70597624)

研究期間 (年度) 2022-05-20 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
39,910千円 (直接経費: 30,700千円、間接経費: 9,210千円)
2024年度: 13,650千円 (直接経費: 10,500千円、間接経費: 3,150千円)
2023年度: 11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
2022年度: 15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
キーワード脳発達 / 神経回路 / 自発活動 / 同期性 / 小脳 / 脳自発活動 / 発達 / グリア / 同期 / 神経回路形成
研究開始時の研究の概要

最近の研究は発達期の神経細胞グループが高度に組織化された多元の自発活動パターン(多元自発活動)を示すことを見出した。本研究は独自データを基に発達期の多元自発活動とその遷移を定量的に記述し、他の計画班と実験・理論の融合研究を行うことで、① どのようなメカニズムにより脳多元自発活動が創発・遷移するか、② 脳多元自発活動が創発・遷移する生理的意義は何か、という学術的な問いに答える。神経生理学、イメージング、遺伝学を駆使して発達期の多元自発活動を実験的に解析し、取得した実験データから数理モデルを作成する。作成した数理モデルを数学で解くことで発達期の多元自発活動の創発と遷移の一般的原理を理解する。

研究実績の概要

未成熟な動物が感覚入力の開始前に環境との相互作用を行える能力は、複雑な神経回路が自己組織化のメカニズムによって形成されることを示唆している。発達期におこる神経細胞間の同期した自発活動は神経回路の自己組織化のメカニズムの可能性があるかメカニズムや機能的な意義は不明である。本研究では、神経細胞間で同期する自発活動のメカニズムとしてオリゴデンドロサイトを調べ、機能的意義として神経回路発達やその後の行動への影響を調べている。本年度は発達初期かつ小脳でのみオリゴデンドロサイトを除去したマウスの神経回路再編成と行動を解析した。その結果、特定の時期におけるオリゴデンドロサイト依存性の同期した自発活動が神経回路再編成と脳の機能化に不可欠であることを明らかにした。生後3週齢の間にオリゴデンドロサイトを減少させたマウスでは、小脳のプルキンエ細胞の自発活動同期性が低下し、シナプス刈り込み(神経回路再編成の過程の1つ)が阻害されることが確認された。さらに、同期した自発活動がシナプス除去を促進する必須の条件であることも示した。発達初期かつ小脳でのみオリゴデンドロサイトを除去したマウスの行動分析により、これらの発達障害が成体の小脳機能に影響を与え、不安様行動、社会的交流の減少、運動調整能力の低下として現れることを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

オリゴデンドロサイト特異的アデノ随伴ウイルスを用いた遺伝子操作アプローチを通じて、小脳の発達期におけるオリゴデンドロサイトの役割を調査した。特に、発達初期においてオリゴデンドロサイトの削除が行われると、小脳プルキンエ細胞の同期自発活動が顕著に減少し、これがシナプス除去の障害に直結していることが明らかとなった。また、成体マウスでの行動評価から、発達期におけるオリゴデンドロサイトの削除が小脳機能に長期的な影響を及ぼす可能性が示唆されている。これらの結果は、神経回路の精緻化と脳の機能化においてオリゴデンドロサイトが果たす重要な役割を強調している。さらに、オリゴデンドロサイトとその機能異常が、神経活動の同期とシナプス除去の乱れを介して、さまざまな脳障害の病因となる可能性を見出した。これらの成果は2023年度までに達成予定の目標を十分達成していることからおおむね順調に進展していると結論した。

今後の研究の推進方策

2023年度までに発達期自発活動の同期性のメカニズムとしてオリゴデンドロサイトを明らかにし、機能的意義として神経回路再編成や脳の機能化を明らかにした。2024年度はれまでの知見を基に、発達期同期性がどのように神経回路再編成や脳の機能化を促進するかのメカニズムに取り組む。発達期オリゴデンドロサイトが放出する分子シグナルと神経回路の動的変化との関連を明らかにするため、CRISPR-Cas9とRNAシークエンシングを組み合わせた実験を実施する。発達期オリゴデンドロサイトの活動変化が神経回路の同期性にどのように影響を及ぼすかを明らかにするため、オリゴデンドロサイトのカルシウムイメージングとカルシウム関連分子の機能操作を行う。さらに、これらのこれらの操作がマウスの行動に及ぼす影響を解析する。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (14件)

すべて 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 3件、 招待講演 5件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Editorial: Functional and molecular insights of neural circuit adaptation, refinement, and remodeling2023

    • 著者名/発表者名
      Walter Alexander、Uesaka Naofumi、Midorikawa Mitsuharu
    • 雑誌名

      Frontiers in Cellular Neuroscience

      巻: 17

    • DOI

      10.3389/fncel.2023.1213640

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 口腔システム不全による脳発達と脳機能の障害2023

    • 著者名/発表者名
      上阪 直史
    • 学会等名
      第 101 回日本生理学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Developmental oligodendrocytes as a key player in developmental synchrony and the modulation of brain functionality2023

    • 著者名/発表者名
      上阪 直史
    • 学会等名
      第38回熊本医学・生物科学国際シンポジウム「機能的脳神経回路システムの構築メカニズム」
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 成長期の鼻呼吸障害が小脳の発達と機能に与える影響2023

    • 著者名/発表者名
      谷川萌、加藤千帆、小野卓史、上阪直史
    • 学会等名
      第14回三叉神経領域の感覚運動統合機構研究会 抄録_谷川1026
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 神経細胞とシナプスによる脳腫瘍進展メカニズム2023

    • 著者名/発表者名
      上阪 直史
    • 学会等名
      第46回日本神経組織培養研究会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Neuronal and Synaptic Influences on Brain Tumors2023

    • 著者名/発表者名
      Naofumi Uesaka, Daisuke Kawauchi
    • 学会等名
      シナプス研究会2023
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 結紮誘導歯周炎モデルマウスを用いた口腔-脳-腸連関の解明2023

    • 著者名/発表者名
      大杉勇人, 今井千尋, 片桐さやか, 廣田朝光, 芝 多佳彦, 豊嶋啓汰, 上阪直史, 岩田隆紀
    • 学会等名
      第66回秋季日本歯周病学会学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 大杉 勇人, 今井 千尋, 片桐 さやか, 廣田 朝光, 芝 多佳彦, 豊嶋 啓汰, 上阪 直史, 岩田 隆紀2023

    • 著者名/発表者名
      結紮誘導歯周炎モデルマウスを用いた口腔-脳-腸連関の解明
    • 学会等名
      日本歯周病学会会誌
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 細胞タイプ特異的遺伝子操作法の確立と結節性硬化症の治療戦略への応用2023

    • 著者名/発表者名
      上阪 直史
    • 学会等名
      第11回日本結節性硬化症学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 発達期小脳オリゴデンドロサイトはシナプス刈り込みと脳機能を制御する2023

    • 著者名/発表者名
      上阪 直史
    • 学会等名
      第46回日本神経科学大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Conditional expression and activation of DREADDs reveals novel impact of neuron-tumor communications on brain tumor progression2023

    • 著者名/発表者名
      Naofumi Uesaka, Daisuke Kawauchi
    • 学会等名
      1st Heidelberg Conference on Cancer Neuroscience
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [備考] 研究領域ホームページ

    • URL

      https://designbuild.kuma-u.jp/

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [備考] 研究代表者ホームページ

    • URL

      https://uesaka0808.wixsite.com/website

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [産業財産権] 小脳または大脳皮質における細胞において所定の遺伝子を発現させるためのベクター2023

    • 発明者名
      上阪 直史  関口 真理子
    • 権利者名
      上阪 直史  関口 真理子
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2023-193935
    • 出願年月日
      2023
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

URL: 

公開日: 2022-05-25   更新日: 2024-12-25  

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