研究領域 | 貧困学の確立:分断を超えて |
研究課題/領域番号 |
22H05098
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅰ)
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
阿部 彩 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (60415817)
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研究分担者 |
川口 遼 東京都立大学, 人文科学研究科, 客員研究員 (20795942)
三浦 芳恵 東京都立大学, 人文科学研究科, 特任研究員 (50981792)
梶原 豪人 福山平成大学, 福祉健康学部, 講師 (90981051)
小林 盾 成蹊大学, 文学部, 教授 (90407601)
大瀧 玲子 東京都立大学, 人文科学研究科, 助教 (20838346)
堀川 千嘉 新潟県立大学, 人間生活学部, 講師 (00734857)
堀口 涼子 東京都立大学, 人文科学研究科, 特任研究員 (80633370)
栗原 和樹 東京都立大学, 人文科学研究科, 特任研究員 (70981794)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
132,730千円 (直接経費: 102,100千円、間接経費: 30,630千円)
2024年度: 23,790千円 (直接経費: 18,300千円、間接経費: 5,490千円)
2023年度: 23,790千円 (直接経費: 18,300千円、間接経費: 5,490千円)
2022年度: 36,920千円 (直接経費: 28,400千円、間接経費: 8,520千円)
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キーワード | 子どもの貧困 / データベース / 貧困測定 / 社会政策 / 貧困対策 / 貧困 / 地域格差 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、1.自治体が実施した子どもの生活実態調査の個票データを統合し、大規模な子どもの貧困データベースを構築すること、2.自治体データベースを補完するための独自調査(初年度+フォローアップ調査)を実施すること、3.子どもの貧困の国際比較研究から日本の貧困の特徴と要因を明らかにすることの3つである。1では、自治体が実施する子どもの生活実態調査の二次利用の諸手続きの後、調査データのハーモニゼーション、データ統合、マニュアル整備等を行い、領域の各計画研究班にデータを提供する。2では調査設計から実査までの実務、3では、2のデータベース等を活用し、EU-SILC等の他国のデータとの比較分析を行う。
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研究実績の概要 |
2022年度は以下を行った:(1)データベース構築:モデル事業(JST RISTEX JPMJRX18B2、2018~21年度)にて構築された既存データベース(11自治体)を拡張し、愛知県、沖縄県の統合を行った。また、北海道調査のデータを入手し、統合の方針について検討している。(2)独自調査:2022年度東京都子どもの生活実態調査を実施した。対象地区は墨田区、豊島区、中野区の小学5年生、中学2年生、16-17歳とその保護者である(中野区は16-17歳のみ)。6月から自治体と交渉を始め、7-8月に対象自治体との協定等締結、9月に業者選定、10月業者決定および調査票設計・倫理審査、1月の調査票配布、2月回収となった。回収数は5963であった(回収率27.8% )。3月にデータ納品となり、現在、データクリーニングを行っているところである。(3)剥奪指標の国際比較:剥奪指標の構築に不可欠である「2022年子ども必需品調査」を11月、「2022年大人必需品調査」を2023年2月に実施した(n=2000)。現在、分析中である。 さらに、所得ベースの貧困基準の長期的動向と妥当性の確認および地理的分布の変化を分析するために厚生労働省「国民生活基礎調査」のデータ二次利用申請を行い入手した。また、子どものアウトカムと貧困の関連の分析の一環として厚生労働省「国民健康・栄養状況調査」の二次利用申請を進めた。 国際比較研究においては、国立香港大学らと共同で行っているEast Asian Model Family Databaseプロジェクトにおいて国際ワークショップを企画し、2022年度はアジアにおけるコロナ感染症の再拡大もあったことから2023年4月に国立台湾大学にて開催することとした。国際ワークショップでは若手研究者ワークショップも開催し、日本、韓国、台湾の若手研究者の交流を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本計画研究の領域研究内の役割は以下の3つである。(1)データベース構築 これについては、ほぼ計画通りに進捗している。2022年度は、日野市、愛知県、沖縄県、北海道の調査データをデータベースに統合する予定であったが、北海道以外は統合を完成している。北海道は調査の内容が他と大きく異なることもあり、テクニカルな問題をクリアする必要があるため次年度に継続して検討する。(2)独自調査 2022年度は、東京都の3自治体における子どもの生活実態調査を行った。自治体の選定および自治体との協議、協定の締結までに予定よりも時間を要したが、2023年1月には実査を開始し、2月に回収。データ入力まで行うことができた。これは、予定通りの進捗状況である。(3)国際比較研究 2022年は、East Asia Model Family Databaseの日本データの構築を行っており、2021年度までのモデルファミリー・データを作成した。2023年度4月から、2023年バージョンのデータベースを構築する予定である。これまで構築されたデータベースを用いた分析は、国立台湾大学、ソウル大学などの研究者らと共著で取りまとめられており、国際ジャーナルなどに投稿、国外学会にて報告されている。EU-SILCとの比較を念頭においた剥奪指標の構築については、その前段階となる社会必需品調査の基礎データを得るために2回のインターネット調査を行った。これらの結果は、2023年度の国際学会にて報告される。
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今後の研究の推進方策 |
(1)データベース構築 2023年度は、まず2022年度に実施した「2022年東京子どもの生活実態調査」を子どもの貧困データベースに統合する。その上で、2016年東京調査との比較を行い、経年変化を確認する。また、本領域の他の班が本データを活用できるように準備・配布する。 (2)独自調査 2023~6年度は、小規模のフォローアップ調査を用いて、クロスセクション・データを補完する。対象者や調査設計について、2023年6月までに班代表会議(X00班)にて決定し、本班(A01班)にって実施する。 (3)剥奪指標の分析 貧困指標の精緻化のために、剥奪指標の経年変化とその妥当性を検討する。用いるのは、2022年度に行われた一般市民へのインターネット調査からのデータである。データ分析の過程において必要と判断されれば、2023年度にも同様の調査を再度実施する。 (4)国際比較 2023年4月に国立台湾大学と国際シンポジウムと若手研究者向けワークショップを実施する。また、東アジア・モデルファミリー・データベース、EU-SILCなどとの剥奪指標の国際比較のためのデータ整備と分析を行う。
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