研究領域 | 貧困学の確立:分断を超えて |
研究課題/領域番号 |
22H05101
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅰ)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
末冨 芳 日本大学, 文理学部, 教授 (40363296)
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研究分担者 |
宮本 太郎 中央大学, 法学部, 教授 (00229890)
山野 則子 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 教授 (50342217)
黒河 昭雄 神奈川県立保健福祉大学, ヘルスイノベーション研究科, 講師 (60648450)
堀江 孝司 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (70347392)
両角 達平 日本福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (10831703)
栗原 和樹 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特任研究員 (70981794)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
26,130千円 (直接経費: 20,100千円、間接経費: 6,030千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | 子どもの貧困 / 若者の貧困 / 政策提言 / 社会実装 / 貧困学 / EBPM / 貧困政策 / こども政策 / 政策提案 / 世論 |
研究開始時の研究の概要 |
(子どもの)貧困対策でもエビデンスに基づく政策決定(EBPM)の必要性が強く求められるようになっている。実際の政策決定プロセスにおいては、科学的なエビデンスから実装に至るまでには、多数のアクターが的確に動く必要があり、また、財源・人材の確保、法的整備、建設的世論の形成が必要である。個人のプライバシーや人権の侵害などを回避する倫理的検討も必要である。本研究は、1)実装を実現するためのアクター間の協働関係の構築、2)建設的世論を形成するための方法論、3)財源、人材、行政的・法的整備の在り方、4)貧困政策の倫理的側面の検討を、(子どもの)貧困政策全体およびそれぞれの政策エビデンスについて行う。
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研究実績の概要 |
他の政策分野と同様に、子ども若者の貧困問題も科学的エビデンスから政策の実装に至るプロセスは一筋縄ではいかない。実際の政策決定プロセスにおいては、科学的なエビデンスから実装に至るまでには、利害関係を共有しない多数のアクター(政治家・行政・市民・NPO等・企業など)が的確に動く必要があり、また、財源・人材の確保、行政的・法的整備、さらには、それらを推進する建設的世論の形成が必要である。また、政策を実施することによる個人のプライバシーや人権の侵害などを回避する倫理的検討も必要である。そこで、本研究は1)実装を実現するためのアクター間の協働関係の構築、2)建設的世論を形成するための方法論、3)財源、人材、行政的・法的整備の在り方、4)貧困政策の倫理的側面の検討を(子どもの)貧困政策全体およびそれぞれの政策エビデンスについて行うことを研究目的としている。 2023年度は、1)、3)、4)に係わって、子どもの貧困に関するビネット調査の分析・報告を実施した。またビネット調査のデータをプレスリリースした上で、2024年2月29日衆議院予算委員会・中央公聴会においてこれまでのわが国における子ども若者の貧困のエビデンス蓄積もふまえ、世代別の子ども若者の貧困対策・支援策に関する意識差について報告し、子ども子育て支援法改正によっても子ども若者の貧困対策には相当に拡充の余地があることを明らかにした。データ・エビデンスを政策実装・社会実装していくという本研究の目的にとって重要な実績を残した。 国会議員調査については、2024年度に分析実施予定であるが、国会議員自身の子ども若者の貧困に関する意識を問い、かつ子ども若者の貧困問題に関心を持ち、研究者からのレク(説明)を希望する国会議員研究者を把握することができた。研究目的の実現に向けて、重要な実績を蓄積した年度となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、研究から得られるエビデンスの政策への実装にあたり、1)それを実現するためのアクター間の協働関係の構築、2)建設的な世論を形成するための方法論、3)財源、人材、行政的・法的整備の在り方、4)貧困政策の倫理的側面の検討を、(子どもの)貧困政策全体およびそれぞれの政策エビデンスについて行うことである。 研究2年度目までに、貧困政策の政策決定要因の分析のために、インターネット調査等を実施する。調査は、海外にて人々の政策に対する意識に用いられるビネット(Vignett)調査を取り入れた調査を実施し、分析することとなっており、順調に達成している。またビネット調査の結果は、わが国における子ども若者政策のための財源・政策パッケージの確立(子ども子育て支援法改正、こども未来戦略)の客観的評価を可能にし、不足している子ども若者の貧困対策について明確にしたという意味で、本研究目的3)の実現にもつながった。 また現状の子どもの貧困対策を概観し、何が実現し、何が実現していないのか、また、ある政策が実現し、ある政策が実現に至っていないのは、何がボトルネックとなっているのかの分析も進めつつある。分析に資するために、政治家、行政、NPO、報道関係者等のヒアリングを実施も順次進めており、国会議員調査分析や2024年度に予定されている子どもの貧困対策法改正を基軸とした政策アクター調査に3年度目以降も継続的に取り組んでいく。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度はビネット調査の調査・分析を論文化し、学術雑誌に投稿する。また国会議員調査の分析を進め、国会議員の貧困(子ども若者の貧困)に関する意識差・取り組み差がどのように存在し、それが何に起因するのかを分析していく。それを報告書として取りまとめ、あわせて、子ども若者の貧困に関するレク(説明)を希望する国会議員との面談を重ね、貧困が政治課題として認識され、より迅速な取り組みを進めるために、どのような要素が必要かを明らかにしていく。 国会議員以外にも、当事者団体、支援団体、行政関係者、報道関係者へのヒアリングを重ねていく。 加えて国内外で累積されてきたエビデンス、過去5年以内に蓄積された国・自治体調査・支援団体調査等から、現状の子どもの貧困対策を概観し、何が実現し、何が実現していないのか、また、ある政策が実現し、ある政策が実現に至っていないのは、何がボトルネックとなっているのかのマクロレビューを集中的に実施することとする。
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