研究領域 | データ記述科学の創出と諸分野への横断的展開 |
研究課題/領域番号 |
22H05108
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 杏奈 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (60796449)
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研究分担者 |
藤原 義久 兵庫県立大学, 情報科学研究科, 教授 (50358892)
古徳 純一 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (70450195)
椋平 祐輔 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (60723799)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
159,900千円 (直接経費: 123,000千円、間接経費: 36,900千円)
2024年度: 34,060千円 (直接経費: 26,200千円、間接経費: 7,860千円)
2023年度: 33,410千円 (直接経費: 25,700千円、間接経費: 7,710千円)
2022年度: 23,400千円 (直接経費: 18,000千円、間接経費: 5,400千円)
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キーワード | 医療 / 経済 / エネルギー / 資源 |
研究開始時の研究の概要 |
応用探索班ではデータ記述科学の適用可能分野を広げるため,分野の垣根を超えて普遍的に適用できる,高次元データの「かたち」と「うごき」を可視化する記述子の開発に挑戦する.本申請では,科学技術を社会へ普及する上で重要な医療・経済・エネルギー分野を対象に,高次元医療データの VRによる可視化,TDAを用いた大規模経済ネットワークの解析とその応用,地下資源開発のための地下構造推定と生産予測を実施する.それぞれの分野における革新的データ解析手法の提案,課題解決が実現する他,記述子の普遍性を追求することで,より広い学術・科学技術分野への適用も可能となり,データ記述科学の開拓と発展に力強く貢献することになる.
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研究実績の概要 |
計画1.1VRを用いたデータ探索プロトタイプ開発:高密度障害物によるDSA画像の部分劣化の除去に着手した。テストデータは頭頸部血管ファントムに高吸収体(シリンジ)を載せて撮像し、収集した。学習データを使いながら深層学習を開発した。その結果、従来手法と比較してほぼ同程度の精度で予測ができることがわかった。高次元医療画像を直接的かつ直感的に操作可能な、VRによるデータ空間探索技術について検討を始めた。また、従来はスムージングの方法として知られていた拡散方程式フィルタが医用画像のコントラストを明瞭にすることにたいしても有用であることがわかったので、これについて論文を投稿した。
計画2.1大規模経済ネットワークの構造と時間変化を記述する可視化手法の開発:株式市場における株価変動は、銘柄数が1000程度あり、50年間にわたる期間における日次の時系列データであり、その高次元データの形と動きを捉えるために、パーシステントホモロジーの手法を応用した。コロナ禍、リーマンショック、バブル崩壊などの経済危機の前後に、1次のホモロジーに対応する生成消滅対に著しい変動があることを発見した。1次のホモロジーに対応する株価変動の特徴を理解するために、ベッチ数、パーシステント図のランドスケープなどのベクトル化や逆解析などを進めた。
計画3.1トポロジカルデータ解析に基づく構造と流れの新たな記述子・数理モデルの提案:パーシステントホモロジーによって複雑な岩石構造を解析し,流路となるき裂ネットワークを定量的に抽出した。先行研究ではき裂の凹凸は考慮していなかったが、実際の1枚き裂を有する岩石の画像に適用することで、き裂に存在する凹凸面によって生じる優先流路を抽出することができた。浸透率の推定式を適用することで、実験結果に近い浸透率の値を推定することができた。また、パーシステントホモロジー以外にもMedial Axisを利用した解析手法の検討を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
領域会議等で他の班と意見交換をしたり、個別ミーティングを設けることで相談でき、積極的に議論を図っているため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに引き続き、領域会議等で他の班と積極的に意見交換をしながら進めていく。例えば、経済危機の前後における、株価変動の高次元データの形の変化の存在は、主成分分析や他の高次元データ解析では捉えにくい、相関構造をトポロジカルデータ解析が検出している可能性がある。それを明らかにしながら、多体相関との関係を理解していく。また、例えば喫緊の課題であるインフレに関係する物価変動や、大規模な経済ネットワークへ本手法を応用する研究も進める。 そして論文化していく。
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