研究領域 | データ記述科学の創出と諸分野への横断的展開 |
研究課題/領域番号 |
22H05110
|
研究種目 |
学術変革領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
李 聖林 京都大学, 高等研究院, 教授 (50620069)
|
研究分担者 |
西川 正俊 法政大学, 生命科学部, 准教授 (30444516)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
184,340千円 (直接経費: 141,800千円、間接経費: 42,540千円)
2024年度: 36,400千円 (直接経費: 28,000千円、間接経費: 8,400千円)
2023年度: 30,550千円 (直接経費: 23,500千円、間接経費: 7,050千円)
2022年度: 45,890千円 (直接経費: 35,300千円、間接経費: 10,590千円)
|
キーワード | パターン形成 / データ記述モデリング / 数理モデリング / 統合的モデリング / データ融合数理モデリング / かたちとうごき |
研究開始時の研究の概要 |
実験技術の革新的な進歩により得られる大量のデータから生命現象の本質をどう抽出するか,さらには,複数の階層と時空間スケールからなる生命の構造をどう統合的に捉えられるかというデータと数理の問題は今後の生命科学の進歩を左右する極めて重要な問題の一つになっている.本研究では生命の各層から得られるデータから生命機能の本質的な情報を抽出し,それらの情報を階層間で繋げる.これにより生命現象全体を包括的に理解可能とする統合的数理手法の開発,及びデータから現象を結びつける実装的システムの基盤創出を目指す.
|
研究実績の概要 |
これまでの数理モデルを用いた生命現象の研究では,長年,現象論的なアプローチによってその本質を数学で記述し提案してきた.特に,複雑な生命現象を単純化する視点を生かした数理モデリングの研究は,生物実験だけでは発見することが難しい生命現象の本質を仮説として提案し,生物実験による検証を通じて「仮説」を「可能性」に変えることで,生命科学の発展に貢献してきた.一方で, 実験技術の革新的な進歩により,個々の細胞の動きや遺伝子の発現状態までを定量的に計測できるようになった.生命科学におけるデータ革命と言える時代の到来である.その一方,大量のデータから生命現象の本質をどう抽出するか,さらには,複数の階層と時空間スケールからなる生命の構造をどう統合的に捉えられるかというデータと数理の問題は未だ明確に解決しておらず,今後の生命科学の進歩を左右する極めて重要な問題の一つになっている.本研究では生命の各層から得られるデータから生命機能の本質的な情報を抽出し,それらの情報を階層間で繋げる.これにより生命現象全体を包括的に理解可能とする統合的数理手法の開発,及びデータから現象を結びつける実装的システムの基盤創出を目指す.
本年度では、新しいデータ記述法となる細胞のlive imagingと数理モデルを統合する新しいモデリング手法の開発に成功した。さらに、生殖細胞の初期分化における空間との相互作用に関する数理モデルを遺伝子レベルから細胞、そして組織レベルまで統合できる数理モデルの構築に成功し、今後、実験での検証を含めて成果をまとめていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
新しいデータ記述法となる細胞のlive imagingと数理モデルを統合する新しいモデリング手法の開発に成功し、論文を執筆する段階に達している。これらの手法はデータ科学と数理生物学の両分野において極めて斬新で新規性の高い手法であり、世界で初めての成果である。 また、生殖細胞の初期分化における空間との相互作用に関する数理モデルを遺伝子レベルから細胞、そして組織レベルまで統合できる数理モデルの構築に成功し、様々な結果を得られている。今後、実験での検証を含めて成果をまとめていく予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
生命科学全体の枠組みの中で数理の世界と現象の世界をデータという骨格で繋いだ一つの構造体系として上記の問いを捉えて解決していく.現象のデータを出発点とし,実験データから情報を抽出できるデータ記述法を開発し,それぞれの階層間のデータ情報を時空間で結びつけるデータ間の記述法を開発する.以下ではそれぞれのサブプロジェクトにおける研究計画を述べる. テーマ1)生命の多層にわたるパターン形成の統合的理解(GDA,TDA) 生命の各層のパターン形成をつなぐマルチスケールモデルの構築と,形と模様データの数学的定式化による実装基盤の構築:現在、新しいデータ記述法となる細胞のlive imagingと数理モデルを統合する新しいモデリング手法の開発に成功し、論文を執筆する段階に達している.本手法をサルの受精卵の着床の発生における細胞運動の仕組みを解明する融合研究に応用していく.さらに、実際のデータ画像とin silicoの画像の類似性を比較するための数理的手法の開発を進める. テーマ2)細胞メカニクスに基づいた細胞機能操作の基盤創出(TDA) 流れ・形・パターンを統合的に考察可能な数理的手法の構築と細胞分化制御の非遺伝子操作手法の基盤創出:Live Imagingデータに基づいて細胞固有のparameterを推定する手法の開発を進めている.現時点で2次元のデータで成功しており、それを3次元のデータにも拡張していく. テーマ3)細胞内ネットワークと細胞群の分化決定をつなぐ普遍性の解明(PDA):単一細胞内の分化ネットワークから細胞集団の分化系統を記述する数理手法の開発と細胞種と数決定の普遍的仕組みの解明:生殖細胞の初期分化における空間との相互作用に関する数理モデルを遺伝子レベルから細胞、そして組織レベルまで統合できる数理モデルの構築に成功しており、今後、実験での検証を含めて結果を論文としてまとめていく.
|