研究領域 | 生体反応の集積・予知・創出を基盤としたシステム生物合成科学 |
研究課題/領域番号 |
22H05130
|
研究種目 |
学術変革領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
勝山 陽平 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (50646437)
|
研究分担者 |
小笠原 泰志 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (20732986)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
86,580千円 (直接経費: 66,600千円、間接経費: 19,980千円)
2024年度: 15,210千円 (直接経費: 11,700千円、間接経費: 3,510千円)
2023年度: 14,040千円 (直接経費: 10,800千円、間接経費: 3,240千円)
2022年度: 26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
|
キーワード | 生合成 / ジアゾ基 / 天然物 / 二次代謝 / 亜硝酸 / 放線菌 / ペプチド / 酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
反応性の高い置換基であるジアゾ基とイソニトリルに着目し、これらの構造をペプチドなどの天然物に自在に導入する酵素反応のデザインを目指す。高反応性置換基を持つ天然物の生合成メカニズムを理解することで、構成要素のライブラリーを拡充するとともに、それらを認識しうる酵素の知見を集積する必要がある。それと同時に得られた知見を利用して、実際に高反応性置換基をデザインする技術を開発する必要がある。クリックケミストリーと進化工学、機械学習を組み合わせることで効率的に酵素をデザインする方法を開発するとともに、創出した化合物に化学反応を施すことで効率的な構造多様化を実現する。
|
研究実績の概要 |
ジアゾ基合成酵素CmaA6の結晶化条件を検討することでCmaA6の構造を解くことに成功した。また、同様にAMP結合型のCmaA6の構造を明らかにした。AMPは亜硝酸AMP体の結合状態を模倣していると予想された。そのため、この構造から、亜硝酸結合位置を予測した。得られた情報をもとに部位特異的変異導入を実施し、反応に重要な残基を同定した。さらに、亜硝酸受容基質との複合体の構造を予測し、部位特異的変異導入を実施することで基質結合様式を推定した。また、クライオ電子顕微鏡を用いてもCmaA6の構造を明らかにすることに成功した。また、CmaA6の速度論解析を詳細に行い、その反応メカニズムに関する重要な知見を得ることに成功した。また、ジアゾ基合成酵素をデータベースから探索し、ネットワーク解析を用いて分類することで、この酵素群が複数のグループに分類できることがわかった。これらのうち、異なるグループに属する4つのジアゾ基合成酵素の機能解析に新たに成功した。さらに、デザインした基質ライブラリーを用いてこれらの基質特異性を解析し、これらの基質認識の傾向を明らかにした。また、一部は基質特異性がゆるく、この酵素が幅広いジアゾ基含有化合物の生産に用いることができる有用なツールであることが示唆された。 ゲノムデータベースを探索した結果、ポリケチド合成酵素と鉄/α-ケトグルタル酸依存イソニトリル合成酵素の遺伝子がクラスターをなしているケースを多数見い出せた。新規化合物の生合成遺伝子クラスターの可能性が高い複数のクラスターについて、近縁の異種宿主で発現したが、特異的代謝産物が得られなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ジアゾ基合成酵素の機能解析は順調に進んでいる。また、ゲノムデータベースとネットワーク解析を利用することで新規なジアゾ基合成酵素を見出すことに成功している。これらの一部は反応性が高く、ものつくりに有用な酵素であると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
ジアゾ基合成酵素の網羅的解析を引き続き実施する。未解析のグループに属するジアゾ基合成酵素の遺伝子をクローニングし、それらの組換えタンパク質を取得し、基質特異性を網羅的に評価する。これにより、ジアゾ基合成酵素の基質認識メカニズムを解明する。また、これらの中から基質特異性がゆるく、ものつくりに有用なものに関してはX線結晶構造解析などにより、基質認識機構を明らかにする。これにより、基質認識機構を明らかにする。さらに得られた情報を用いて基質特異性の改変を試みる。また、ジアゾ基含有化合物の探索を引き続き実施する。ジアゾ基含有化合物を生合成すると予想される生合成遺伝子クラスターを異種発現などにより解析することで、新たなジアゾ基含有化合物の創出を実現する。また、非リボソームペプチド合成酵素の機能改変を行うことで、ジアゾ基含有化合物を取り込むことのできる酵素の創出を目指す。 イソニトリル部は生合成の初期段階で導入されることが示されており、本年度は見出したクラスターのイソニトリル合成酵素の基質特異性をそれぞれin vitro実験で検証する。また、基質特異性の寛容な酵素を用いた新規イソニトリル含有化合物の創製を目指す。
|