| 研究領域 | 超セラミックス:分子が拓く無機材料のフロンティア |
| 研究課題/領域番号 |
22H05145
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| 研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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| 配分区分 | 補助金 |
| 審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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| 研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
杉本 邦久 近畿大学, 理工学部, 教授 (00512807)
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| 研究分担者 |
稲田 幹 九州大学, 中央分析センター(筑紫地区), 准教授 (40624979)
原田 慈久 東京大学, 物性研究所, 教授 (70333317)
南部 雄亮 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (60579803)
木本 浩司 国立研究開発法人物質・材料研究機構, マテリアル基盤研究センター, センター長 (90354399)
木内 久雄 東京大学, 物性研究所, 助教 (50818557)
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| 研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2025年度)
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| 配分額 *注記 |
324,740千円 (直接経費: 249,800千円、間接経費: 74,940千円)
2025年度: 44,460千円 (直接経費: 34,200千円、間接経費: 10,260千円)
2024年度: 56,680千円 (直接経費: 43,600千円、間接経費: 13,080千円)
2023年度: 58,760千円 (直接経費: 45,200千円、間接経費: 13,560千円)
2022年度: 124,150千円 (直接経費: 95,500千円、間接経費: 28,650千円)
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| キーワード | 超セラミックス / 高度構造解析 / 共鳴非弾性X線散乱 / 中性子散乱 / 電子顕微鏡 / 放射光 |
| 研究開始時の研究の概要 |
超セラミックスは、無機材料に分子性のユニットを組み込んだ物質材料を創出することにより触媒や電池等の実用材料に適用可能な新たな物性や機能を発動させる。先端計測手法に基づいたその場観察の高度構造解析により、超セラミックスの動作機構だけでなく合成プロセスの解明も行う。これにより一気通貫で構造-機能相関の完全理解を実現し、合成可能性予測及び物性発現予測のための知見を得る。最終的には、先端計測による構造解析・評価法を精鋭化することによって、未開拓の超セラミックスの学理構築と材料科学における学術変革という本領域の大目標の達成に貢献する。
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| 研究実績の概要 |
本研究では、超セラミックスの構造解析手法の精密化を通じて、巨視的および局所的構造だけでなく、動的構造を含めた包括的理解を目指している。これにより、超セラミックスの創製から機能発現に至るまでの全体像の解明を目標としている。この目標の達成に向けては、2023年度に構築された計測基盤を活用し、放射光および中性子を用いた高精度なデータ取得と解析に基づく研究を推進している。 本年度の研究成果の一例として、放射光を用いたA01班との共同研究では、「プロアニオン法」を用いて、アンモニアを使用せずに尿素からカルボジイミドイオンを生成する反応機構を詳細に解析した。今後この手法は、金属(オキシ)カルボジイミドの代替合成法としての有用性を実証し、さまざまな希土類系材料の合成への応用が期待される。また、A02班との連携では、Cu+/Cu2+の混合原子価状態を有する新規シアニド架橋型銅化合物を、簡便なワンポット法で合成し、X線光電子分光を用いて化学状態を詳細に解析した。Cu 2pスペクトルおよびAugerパラメータにより、両原子価の共存が明確に確認され、混合原子価に基づく極性材料設計に向けた基盤的知見が得られた。さらに、走査透過電子顕微鏡(STEM)においては、4D-STEMと教師なし機械学習を統合したナノ構造解析手法を新たに開発し、空間・逆空間にまたがるバイモーダル解析を実現した。加えて、超高分解能共鳴非弾性X線散乱(RIXS)では、NanoTerasuの高輝度軟X線光源に最適化した回折格子を組み合わせることで、従来のSPring-8装置を大きく凌駕するエネルギー分解能を達成した。その結果、酸素分子の結合次数や周囲との電荷移動状態を明確に識別可能なRIXSスペクトルの取得に成功し、化学状態の定量的評価が可能となった。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題の達成に向けては、放射光X線を用いた回折にとどまらず、共鳴非弾性X線散乱(RIXS)、中性子散乱、電子顕微鏡、核磁気共鳴(NMR)、ラマン散乱など、さまざまな先端計測手法を協奏的かつ最大限に活用した。特に、合成プロセスや動作時のその場観察による構造計測を通じて、超セラミックスの全体像の解明に取り組んでいる。本年度は、以下の研究課題に重点的に取り組んだ。 ・巨視的・局所的評価を主眼とした構造解析において、放射光および中性子施設に加え、各種分光法を複合的に活用することで、超セラミックスの生成過程の解明に成功した。 ・2024年より運転を開始したNanoTerasuにおいて、酸素分子の結合次数や周囲との電荷移動状態を明確に識別可能なRIXSスペクトルの取得に成功し、化学状態の定量的評価が可能となった。 ・4D-STEMと教師なし機械学習を統合したナノ構造解析手法を新たに開発し、空間・逆空間の両領域を対象とするバイモーダル解析の実現に至った。これらの研究課題はいずれも、B01班内の取り組みに加え、領域内の合成班・機能班・公募班との連携を通じて、超セラミックスの実践的な合成および機能理解の深化に大きく貢献している。 以上のことから、本研究計画全体としては、おおむね順調に進展していると判断できる。
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| 今後の研究の推進方策 |
新規物質群における機能発現の起源を明らかにするためには、物質そのものの本質的理解の基盤となる結晶構造、組成、形態、化学状態といった巨視的・局所的構造、および動的構造を正確に把握することが鍵となる。本計画研究では、先端計測技術を駆使した多様な高度構造解析手法を適用することにより、従来のセラミックスでは予想し得なかった超セラミックスの新たな化学状態や形態を解明するとともに、その場計測手法を用いた動作機構の解明を担うことをミッションとしている。 2025年度には、領域内の共同研究をさらに加速させ、超セラミックスの合成および機能を知的に理解するためのノウハウを実践的に蓄積していくことを予定している。特に、巨視的・局所的な構造評価に関しては、放射光および中性子施設の相補的な活用により、応用技術の開発が加速している。また、超高分解能の非弾性X線散乱計測においては、軽元素の解析に最適化された世界最高水準の装置がほぼ完成しており、これを用いた超セラミックスの新たな化学状態の解明が今後本格化する見通しである。さらに、反応・機能のその場観察による超セラミックスの可視化にも取り組んでいる。具体的には、分子ユニットの配位環境、原子配列秩序、化学結合状態、組成状態、微細構造といった多様な解析要素を連携させ、巨視的・局所的な構造評価との融合を図り、総合的な複合解析手法の確立を目指している。加えて、理論班および公募班との連携を通じて、合成可能性や動的物性の発現予測を視野に入れたマテリアルズ・インフォマティクスの検討も継続し、その手法構築を目指している。
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