研究領域 | 超セラミックス:分子が拓く無機材料のフロンティア |
研究課題/領域番号 |
22H05148
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
前田 和彦 東京工業大学, 理学院, 教授 (40549234)
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研究分担者 |
内本 喜晴 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (50193909)
大矢根 綾子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究グループ長 (50356672)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
199,290千円 (直接経費: 153,300千円、間接経費: 45,990千円)
2024年度: 33,930千円 (直接経費: 26,100千円、間接経費: 7,830千円)
2023年度: 32,760千円 (直接経費: 25,200千円、間接経費: 7,560千円)
2022年度: 63,960千円 (直接経費: 49,200千円、間接経費: 14,760千円)
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キーワード | 超セラミックス / 光触媒 / 二次電池 / 生体材料 / 分子イオン / 人工光合成 / カーボンニュートラル |
研究開始時の研究の概要 |
分子性コンポーネントに由来する超セラミックスの構造の異方性(階層性)や化学的多様性を活用することで、電子移動の整流性を持つ材料系を合成班と協働して構築する。物性開拓を行うC01班とも連携して、電子/正孔再結合を抑制した高性能光触媒、高速・高安定駆動する二次電池材料、抗感染性と骨再生能を併せ持つ生体機能材料を開発する。従来のセラミックスでは成し得なかった低濃度CO2の高選択的変換等、分子性ユニットを含む超セラミックスならではの革新的機能を創出する。さらに、領域内から生み出される新物質群の機能評価を行うことで構造―機能相関を分析し、有望材料の抽出と機能発現のための超セラミックスの設計指針を示す。
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研究実績の概要 |
(光触媒)可視光水素生成反応に活性な光触媒である層状ペロブスカイト型酸窒化物K2LaTa2O6Nの層間修飾を試みた。この材料は、可視光吸収能を維持したまま、H+/K+交換、エチルアミン(EA)インターカレーション、水酸化テトラブチルアンモニウムによる剥離(その後の再スタッキング)など、様々な層間修飾を施すことが可能だった。Pt助触媒を最適量添加した際、メタノール水溶液からの水素生成活性は、EAインターカレーションによりホスト材料の層間間隔を広げることで約60倍に向上した。しかし、その後、剥離・再積層を行ってナノシート凝集体とすると、EAインターカレーションを行った試料と比較して、活性が低下することがわかった。 (二次電池)層状ペロブスカイト構造を有する酸フッ化物Sr3Fe2O5F2を、フッ化物イオン電池の正極として展開した。フッ化物イオンが極めて小さな体積変化(0.17%)でスムーズに(脱)挿入され、優れたサイクル安定性を実現した。70サイクルでの容量は116.7 mAh g-1に達し、クーロン効率は98%であった。特に、Sr3Fe2O5F2からSr3Fe2O5F2.5への充電過程では、酸素がレドックスに関与し、O 2p軌道における正孔生成を見出した。 (生体材料)リン酸カルシウム系超セラミックスの合成技術開発を進め、タンパク質担持リン酸カルシウムナノ粒子の合成指針を明らかにした。具体的には、アニオニックな薬物分子であるヘパリンをリン酸カルシウムナノ粒子に共担持することによって、ナノ粒子に水中分散性を付与できるだけでなく、塩基性タンパク質の担持効率を向上できることを明らかにした。臨床応用されている塩基性タンパク質(塩基性線維芽細胞増殖因子)のモデルタンパク質(シトクロムC)を用いた検討の結果、約75%の高い担持効率を達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の通り、個々のグループでの研究が着実な進展を見せ、さらには新たな異分野間共同研究が複数立ち上がっている。未発表成果ではあるが、光触媒や二次電池については従来の比較対象物質を超える性能をもつ新材料も見出されつつあり、超セラミックスの新機能創出という点で研究は順調に進んでいる。このような現状を鑑み、本計画研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
(光触媒)2022年度に見出したKGF-9について、A班と協力して新規な合成ルートを開拓し、CO2還元光触媒活性の向上を図る。これを通じて、内圏型超セラミックスの光物性、CO2還元光触媒特性を系統的に明らかとする。外圏型超セラミックス光電極として、A班で合成された薄膜型無機材料表面に分子を配列させたものを用いて、CO2還元反応に応用する。これにより、無機材料薄膜の特性がCO2還元活性に与える影響を明らかとする。K2LaTa2O6Nについては、カチオンドープによる高活性化と薄膜電極による外圏型超セラミックスへの展開を図る。 (二次電池・電極触媒)引き続き層状ペロブスカイトを中心に探索範囲を酸フッ化物だけでなく、窒フッ化物、硫フッ化物に拡張し、アニオン(F-、O2-、S2-、N3-)配列と結晶内分子形成、イオン拡散に最適な結晶・局所構造、電子構造の要素をA01班と共同で明らかにし、カチオン置換も駆使して高容量電池材料を生み出す条件を明らかにする。また、超セラミックス電極触媒開発のための設計指針を明らかにする。今年度は、高電位における超セラミックス電極触媒表面での酸素分子形成挙動を、A01班と共同で明らかにし、高活性酸素発生触媒の設計指針を明らかにする。 (生体材料)2022年度の成果をもとに、リン酸カルシウム系超セラミックスの合成技術の高度化を進めるとともに、細胞等を用いたin vitro機能評価を行い、超セラミックスのバイオ機能の制御指針を追求していく。2023年度は、臨床応用可能な薬物(タンパク質、イオン)を用い、擬似生体内環境下において活性を保持した薬物を有効濃度で徐放することのできる薬物担持リン酸カルシウムの設計・構築指針を明らかにする。
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