研究領域 | CO環境の生命惑星化学 |
研究課題/領域番号 |
22H05150
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
尾崎 和海 東京工業大学, 理学院, 准教授 (10644411)
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研究分担者 |
冬月 世馬 (ダニエラチェ セバスチィアン) 上智大学, 理工学部, 准教授 (00595754)
濱野 景子 (飯塚景子) 東京工業大学, 地球生命研究所, 研究員 (40646171)
川島 由依 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (40897691)
黒川 宏之 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80713643)
洪 鵬 千葉工業大学, 惑星探査研究センター, 研究員 (80733782)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
180,700千円 (直接経費: 139,000千円、間接経費: 41,700千円)
2024年度: 42,380千円 (直接経費: 32,600千円、間接経費: 9,780千円)
2023年度: 36,400千円 (直接経費: 28,000千円、間接経費: 8,400千円)
2022年度: 29,770千円 (直接経費: 22,900千円、間接経費: 6,870千円)
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キーワード | 一酸化炭素 / 大気化学 / 物質循環 / 分光学 / バイオシグネチャー / 大気光化学 / 系外惑星 / 地球 / 火星 |
研究開始時の研究の概要 |
宇宙における生命存在可能性の議論は、主に液体の水の存在を切り口に展開されてきた。しかしながら、生命惑星の候補天体を絞り込むには、液体の水の存在に加え、温室効果気体の存在量や生命に必要な物質・エネルギー利用度を考えることが本質的に重要である。本研究では、惑星の気候状態や生命の代謝に関わる炭素に注目し、その惑星大気中での存在形態(CO2/CO/CH4)や制御要因、生命の前駆代謝に重要な有機化合物の生成率及び生物圏への供給率を明らかにする。これにより生命惑星探査に新たな理論的基盤を確立することを目指す。
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研究実績の概要 |
理論班は、最初の2年間は計画ごとに独立した複数のアプローチ(大気化学モデル、気候モデル、惑星物質循環モデル、微生物生態系モデル、固体地球の元素分配、第一原理計算、大気スペクトルモデル)の開発を進めている。 大気化学モデルを用いた研究では、本研究課題で重要な目的の一つである大気組成(CO2/CO/CH4)の決定要因を明らかにするための研究を進めた。特に、惑星内部からの還元ガス供給フラックスや大気CO2濃度および中心星のタイプ(F, G, K型星)について系統的な感度実験を行い、CO大気の形成条件を明らかにすることに成功した。さらに、初期地球のような還元的大気をもつ惑星の大気はCO/CO2-CH4/CO2のパラメータ空間上で大局的に分類できることも明らかとなった。これらの研究成果は国際学術誌で報告した。このほか、CO大気が気候状態に及ぼす影響を評価するための気候モデルを用いた研究や大気散逸の素過程を考慮したモデル開発を進めたほか、第一原理計算によるCO同位体種の紫外線吸収スペクトルの算出も行い、理論モデルへと応用する研究を進めた。このほか、初期大気のCO2/CO/CH4の決定要因についての研究では、マグマオーシャンが対流により断熱温度構造をもつという仮定のもと、マグマオーシャン中の酸素フガシティ構造及び地表の酸化還元度を推定するモデル開発を行った。物質循環モデルの開発では、嫌気性微生物生態系と炭素循環および炭素同位体比を考慮したモデル開発を行い、初期地球(42~26億年前)の地球環境変遷を復元する理論研究を行った。加えて、大気化学モデルによって得られた大気構造に基づいて反射光・放射光スペクトルの計算が可能になるよう輻射輸送コードを改良した。これにより、CO大気の観測可能性について評価することができるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き、班内の各計画ごとに異なる理論モデルの開発を進めた。本研究課題のなかで主軸となる大気化学モデルを用いた研究は順調に進展し、CO大気の形成条件を系統的に明らかにすることに成功している。さらに、CO2/CO/CH4の大気中存在比に基づき還元的惑星大気を大局的に分類できることを見出すなど、重要な知見を得ることができた。また、CO大気から海洋へのホルムアルデヒドの沈降フラックスも評価した。これらは他班の研究にも重要な成果である。今後は、生命の前駆代謝に必須の有機酸についてより詳細な検討が可能なモデルの開発を進める。このほか、マグマオーシャンの酸素フガシティ構造と大気CO2/CO/CH4の関係を明らかにする研究ではモデル開発は進んでいるが、高圧下でのFe3+の安定性についての情報が重要であることが明らかになったため、これについては次年度検討を要する。 以上のことから、おおむね順調に進展しているものと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、各モデル群の開発や数値実験だけでなく、各モデルの結果を有機的に繋げた研究を進める。これにより地球型惑星の大気組成(CO2/CO/CH4)の決定要因の解明や時間進化を明らかにする研究へと着手する。 大気化学モデルを用いた研究では、これまでにCO暴走に至る条件を明らかにすることに成功した。次年度はこれをさらに発展させ、モンテカルロシミュレーションを用いた大規模な数値実験を行うことでCO暴走が生じる惑星環境についての大局的理解を得ることを目指す。特に、これまで境界条件として与えていた惑星内部からの還元ガス組成についてはマグマの酸素フガシティと関連させ、大気CO2濃度については炭素循環に基づいて決定する。これらは固体地球の酸素フガシティ構造の理論研究や物質循環モデル研究など、これまで独立して研究を進めてきた理論モデル群の融合を目指すものである。このほか、得られた大気構造についての計算結果は随時輻射輸送モデルへと与えることで惑星大気の観測可能性を評価する研究も並行して進める。 一方、各モデル群を用いた研究についても個別研究も進める。これまでの大気光化学モデルの計算により、大気から海洋へのCO溶解速度や海水中でのCO消費反応が炭素循環評価に重要であるとの知見が得られている。CO溶解のpH・温度依存性についての室内実験結果を考慮した理論モデル開発を進めるほか、大気中でCOから派生する生命の前駆代謝に必須の有機酸(グリオキシル酸など)の生成率をシミュレートできるようモデル開発を継続する。このほか、これまでに測定したCO同位体種の紫外線吸収スペクトルをモデルへと組み込むことで火星大気への応用を目指す。さらに、初期地球の大気組成進化を扱う理論モデルの応用や炭素・硫黄同位体比の導入についての研究を進める。
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